#011.鑑定石の使いかた 「魔石がざっくざく」
俺は鑑定石を使っていた。
《鑑定石で鑑定石Lv2を鑑定しました。これは「鑑定石Lv2」です。アイテムの鑑定をLv2の強度で行えます。相場は5000ギルです》
「……よし」
鑑定石を色々な持ち物に使ってみたところ、効用と売買相場価格まで出てくることがわかった。
しかし鑑定石自身は、「鑑定石Lv2」という名称だけしか判明していない。
もしや……と思って、二度目の鑑定を試みてみたわけだが……。
ビンゴだった。
二度目の鑑定で、詳細情報がやっぱり出てきた。
念のためもういちど――三度目の鑑定をかけてみる。
《鑑定石で鑑定石Lv2を鑑定しました。これは「鑑定石Lv2」です。アイテムの鑑定をLv2の強度で行えます。相場は5000ギルです》
三度目は、ないらしい。
わかったことは……。
・未鑑定アイテムは、一度の鑑定で名前がわかる。
・二度目の鑑定で詳細までわかる。
・詳細では売買価格がわかる。
俺にとって嬉しいのは、最後の機能だ。
しかも鑑定石自身は、5000ギルの高値。
たぶんこれは入手しにくいレアアイテムで、5000ギルなんて値段で売るのは勿体ないのだろうが……。
その必要があったなら、躊躇いなく、3万ギルの足しにする。
金も装備もアイテムも、すべてのものより、彼女が優先だ。
鑑定石で、これまでに手に入れた謎な色の魔石も鑑定してみることにする。
橙色のコアの魔石が、最初の1本のあとに、もう2本でてきていて、合計3本になっている。
そのうちの一本を鑑定する。
《鑑定石で「黄の魔石」を鑑定しました。第五階梯の魔素を秘めた魔石です。相場は1000ギルです》
「……あれ?」
魔石と鑑定石を、それぞれの手に持ったまま……首をひねる。
黄色でなくて、橙色のはずなんだけど。
三本の魔石を、よーく見比べてみると……。
「ああ! これ黄色か!」
橙色と黄色は、わりと似ている。
最初の一本が橙色だったせいで、つづく二本も同じ色だと思いこんでいたが、じつは違う色だった。黄色だった。
《鑑定石で「橙の魔石」を鑑定しました。第四階梯の魔素を秘めた魔石です。相場は200ギルです》
こちらは橙で間違いない。
しかし嬉しい誤算だった。
黄色と橙色から、いきなり値段が跳ね上がってくれた。
その下の黒と茶色と赤の三種類が、10、20、50と、たいした値段ではなかったので、あまり期待はしていなかった。同じ法則で上昇するなら、つぎは100と200のはずだったし。
ちなみに、黒と茶色と赤なら、ざくざくとある。もう、いちいち数えていない。
だが3万ギルに、まだまだ足りていないことは明らかだった。
もっともっと稼がなければ……。
もっと……。もっとだ……。
彼女をはやく、あんな檻から出してやらないと……。




