#009.迷宮三層へ 「回復魔法を使えるようになる」
三層に下りると、またがらりとモンスターが入れ替わった。
ゴブリンのかわりにオークが出てくるようになった。
そして銀色の角を持つ凶暴な顔つきのウサギが出た。アルミラージとか、俺的に命名してしまいたいところだが、シルバーホーンという名前が既についている。
さすがに一撃とはいかなくなったが、2撃では倒せる。
盾防御に失敗したときには、ダメージは1や2は食らってしまうが、最初の頃の11しかなかった頃とは違い、いまの俺のHPは30を超えている。1や2程度のダメージは、どうということはない。
そしてHPとMPは、どうもレベルアップのときに満タンに戻っているっぽい。
あんまり減っていないのでこれまで気づかなかったが、どうもこの世界はそういう仕組みらしい。
《Lvがあがりました。戦士Lv5になります。転職可能職業が解放されました》
戦士Lv5で解放される職業は、格闘士と修行僧だった。どっちも素手で戦う職だと思う。
試しに転職してみたら、剣関係のスキルが灰色になって使えなくなったので、間違いない。
『フットワーク』とか『集中』とか、戦いの役に立ちそうな1ポイントスキルをとっておく。
1ポイントで取得できるものを、俺は1ポイントスキルと呼ぶことにした。
素手で戦うスキルもあったが、剣のあるいまは無用と思って、取らずにおいた。
……と思ったのだが、すぐ次の戦闘で状況が変わった。
キン――。
甲高い音を立てて、剣が砕けた。
「硬ってえええ――っ!」
ゴーレムというモンスターが、体が石でできていた。
正確にいうと石ではなくて、土なんだが……。照りが出るまで磨き上げた土団子が、石の硬さを持つというアレだ。
剣がなくてどうやって戦う? ――と考え、一瞬で閃いた。
「転職! ――修行僧へ!」
修行僧Lv1で攻撃する。盾も投げ捨て、二本の腕で打撃を加える。『格闘』という素手戦闘のスキルも取得した。
硬いゴーレムは、斬りつける攻撃に体しては強いが、打撃は弱点となるようだった。
《Lvがあがりました。修行僧Lv2になります。新しい呪文を覚えました》
さすがに三層ともなるとモンスターの経験値もよくなってくるのか、一体倒しただけで修行僧のLvが2になった。
「呪文……だと?」
ステータスをオープンしてみる。
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名前:ダイチ
種族:ヒュース ♂
年齢:25
職業:修行僧Lv2
HP :51/51
MP :12/12
STR:51
CON:61
INT:13
WIS:16
DEX:53
AGI:51
CHA:30
LUK:22
装備 :青銅の剣、革鎧、スモールシールド
スキルポイント:243
取得可能スキル:(一覧)
スキル:
『大陸共通語/読み書き』『盾装備』『鎧装備』『転職』『剣術』『剣術Ⅱ』『格闘』『盾防御』 『盾防御Ⅱ』『魔石ドロップ率上昇』『ギルドロップ率上昇』『アイテムドロップ率上昇』『幸運上昇』『魅力上昇』『腕力上昇』『敏捷上昇』『体力上昇』『器用さ上昇』『フットワーク』『集中』
呪文:
「ヒールハンド」
転職可能職業:
「平民Lv5」「戦士Lv5」「商人Lv1」「農民Lv1」「木こりLv1」「猟師Lv1」「狩人Lv1」「格闘士Lv1」「修行僧Lv2」
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呪文欄というのが増えていて、そこに『ヒールハンド』という呪文があった。
名前からすると、回復魔法の一種か。
おお! 回復魔法が使えるようになった!
あと、これまで微動だにしていなかったMPが増えていた。WISもすこし増えている。
なるほど。MPやINTやWISといったあたりは、魔法系の職業のLvを上げていかないと増えないわけか。
さて。これで戦闘中に回復する手段を手に入れた。
薬草はまだたくさんあるし、ポーションも未使用のまま残っているのだが……。
バックパックにしまいこんであるものを、戦闘中に使うわけにもいかないんだよな。
冒険者の人たちは、いったいどうやっているんだ?
回復手段を手に入れて、ますます余裕が出てきたところで……。
俺は四層に下りてゆくことにした。
次回、宝箱からスンごいものが出てきます。




