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ごめんね、アイ
ごめんね、愛。
最後の言葉が君への言葉じゃなくて。
最後の時間が君のものじゃなくて。
本当はずっと君の傍にいるのが正しいと思ってたんだ。
でも、僕の身は一つしかなかったから。
せめてこの世界が、少しでもいいほうに行くことを願うよ。
そのために僕は、頑張ってきたんだ。
世界が回ってることを信じたんだ。
それでも、ごめんね。
世界が、正しくあることを願うよ。
君のいる世界が。
そして、ごめんね、Ai。
どうか許してほしい。
君のいない世界にしなければならない。
僕が作り出して、僕が勝手に消そうとしたことを。
でも、僕にはもう時間はないみたいだ。
結果的に二人の娘を誠に託すことになった。
Ai、もしも君が変わらず存在する未来があるのであれば、愛を導いてほしい。
僕が出来なかったことを。
さよなら。




