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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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異分子

 ここにきて、かなり状況が入り組んでいた。特に”異分子”がどのような状態を指すのか。整理する必要があった。


 私はデバイスを起動して、メモを入力していく。


 まず、異分子でない人々。彼らはインフラ=システムで行動予測が可能であり、インフラ=システムの存在を知らない。


 次に、”無自覚な異分子”。彼らはインフラ=システムでの行動予測が何らかの理由で不可能になっているが、インフラ=システムの存在は知らない。多くの場合、自分のプライバシーにかかわる情報リテラシーが”高すぎて”意図せず情報を隠してしまうことが、インフラ=システムによる行動予測が不可能になる原因だ。


 さらに、”元異分子”という状態。これらに当たるのは、”無自覚な異分子”が位置情報と生体情報取得装置を埋め込まれることで、インフラ=システムによる行動予測ができるようになった人たちだ。”無自覚な異分子”はシステムの存在は知らず、ただデータ不足で行動予測が不可能になっているだけなので、位置や生体情報を得られるようにすることで、行動予測が可能になる。そして”元異分子”は私が位置情報と生体情報の検知器を打ち込んだ高校教師が当てはまる。また、今回の事件で行方不明になっているのも、”元異分子”達だ。


 そして、”自覚ある異分子”。彼らはインフラ=システムで行動予測が不可能で、且つ、インフラ=システムの存在を知っている。あるいは、インフラ=システムの存在を知っているからこそ、システムでの行動予測が不可能になる、と言い換えたほうが正確だろう。これは政府のインフラ=システムを運用している官僚達や、その仕事に関与している私やアイが含まれる。また、ウサミも元官僚なので、この区分だろう。彼らにはたとえ位置情報と生体情報の検知器を打ち込んだとしても、行動予測は不可能となっている。予測されることを認識している人間は予測通りに動かない。インフラ=システムの仕組み上、この状態になると、行動予測の計算が不可能になり、”不明”のエラーが出る


 エイロネイアの連中は、”自覚ある異分子”だ。かなりややこしいが、”元異分子”がインフラ=システムの存在を知ることで、再び行動予測が不可能になった状態だ。”自覚ある異分子”と状態としては同じなので、彼らにもまた、位置情報と生体情報の検知器を打ち込んでも、行動予測はできない。


 かなり状況は混沌としているうえに、敵はインフラ=システムで行動予測が絶対に不可能ときている。


 私は、ため息をつきたくなった。

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