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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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追跡

 『不明』の文字が男の頭上に踊る。


 インフラ=システムは膨大な個人情報をもとにヒトの行動予測をしている。だからシステムに接続していることは即ち、その個人情報にもアクセスできるということでもある。特に、無制限の使用を許可されている場合ならなおさら。


 私はその男の行動予測の表示を個人情報に切り替える。ウェアラブル=グラスの文字が切り替わる。



『性別:不明』

『所属:不明』

『年齢:不明』

『学歴:不明』

『心理学主要5因子:不明』

『IQ:不明』

『遺伝型:

セロトニン受容体のコピー数:不明

オキシトシン受容体のコピー数:不明

etc.』


 私は思わず吹き出してしまう。こんなに身分を隠そうとしているのに、かえって明らかすぎるだろう。どう考えても、この国の政府の人間だ。


 男は私が尾行していた高校教員に近づいた。私はシェアカーを降りて、男を目で追った。175-180cm、細身、黒髪。ゆったりした服に、バケット・ハットを目深にかぶっている。男の行動予測の表示は変わらず『不明』のままだ。


 男が高校教員の耳元でなにかを囁いている。その直後、高校教員の行動予測の表示にノイズがかかった。彼の行動予測の表示も、『不明』という文字が現れた。


 ビンゴ。かなり時間を要すると思っていたこの調査だが、思いの外素早く進展があった。ややもすると、インフラ=システムの許可された使用制限時間を超える可能性もあった。だが、どうやら追い風が吹いているらしい。


 私はその男を追うことにした。この男がどこに所属し、何の目的で動いているのかを確認する必要がある。もしもアサクラの仮説が正しくて、彼が"対網"の局員で、且つ元"異分子"を殺そうとしているのであれば、それは防がねばならない。


 姿を見失わないよう、尾行する。彼は狭い路地に入り早足で歩く。尾行に気がついているのだろうか?疑念が頭をよぎった。


 そんなことを思っていると、後ろから声がした。


「カイトウ マコトさん。何の用でしょうか?」

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