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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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雑踏

 インフラ=システムを使えるからと言っても、足で情報を集める必要があることには変わりない。私が請負うのはシステムで行動予測が不可能な人間だからだ。


 雑踏を歩く。シェアカーや昔ながらの公共交通機関網が発達しているおかげで、移動の手間というのはほとんど感じない。自分のデバイスと街中の交通網がほとんどシームレスになっている。目的地を決めて入力すれば、移動のためのシェアカーやらの手配は自動で行われる。あとはガイドに従うだけだ。


 そんなわけで、道行く人々は移動のため、というより散歩や街の雰囲気を楽しむ人達がほとんどだ。目的を決めず、無為の中に楽しみを見つける。こんな平穏な街にあって、明確な目的を持って誰かを見張る、という行動を目立たずに行うのは骨が折れた。


 インフラ=システムの使用許可がおりてまず行ったのは、過去に"異分子"だった人間をリストにすることだった。そのリストを見て私が驚いたのは、"異分子"の人数の多さ、そして、それらの人々の多くが既に生体情報検知装置を取り付けられ、要監視対象とされていることだった。これはつまり、私のような仕事をしている人間が、私以外にかなりの数存在しているということだ。おそらくは政府関係者だろう。元、"対網"かも知れない。


 その中でここ数年で死亡した人間の数は約1割。この国の死亡率は大体0.1割なので、10倍近く"異分子"だった人間達が死んでいることになる。少なくともアサクラが言っていた"異分子"が何らの原因で死んでいるということは確認できたわけだ。


 アサクラによると元"異分子"が殺されているらしい。まず一番調べるべきは過去に私が調べて生体情報検知器を埋めた人物だろう。次の殺しのターゲットになりうることと、前の調査記録と比較して不審点がないかを洗えるからだ。


 それに、インフラ=システムが使えない少女は、おそらく過去に調べた"異分子"からこの事件を解明しようとするはずだ。

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