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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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受理

「依頼を受ける」


 訝しむような表情が目に浮かぶ。私はアサクラにメッセージを送った。できうる限り傍聴を防ぐように工夫している。


 要件はこうだ。調査の依頼を受けるから、不特定多数の人間に対するインフラ=システムの使用許可を頼む。


 私は彼がどのようにしてインフラ=システムの使用許可を私に与えることが出来るのか考えてみた。普通に考えて国防省のシステムの使用許可を警察省の人間が取れるわけない。するとアサクラは国防省の人間とコネがあるということになるのか?彼は彼で危ない橋を渡ろうということだろうか?


 今更だが、私は自分がしようとしていることが異常なリスクを負うとこだと自覚する。あまりに不確定要素が多すぎるのだ。


 だが、残念なことにこれは負わなければいけないリスクだった。何故なら少女がこのゲームに乗ってしまったのだから。彼女の知能であれば、この元"異分子"殺しを解明をしてしまうかもしれない。そして、インフラ=システムを含めた、この事態の公表をしてしまうかも知れない。


 それは正しい事だ。この国の人々の行動はシステムによって搾取され、プライバシーは消失し、何人かの人はそのせいで命を落とした。それは全ての国民が知るべき事だからだ。そして、システムは無効になる。彼女は英雄になるかも知れない。あるいは、ことを成す前に殺されるかも知れない。

 

 私は彼女の正義とは反対のことをしようとしていた。つまり、彼女より早く事態の究明をし、事実を公表せず握りつぶそうとしていた。彼女を止めて、命を守らなければならないのだ。


 やがて、アサクラからメッセージがきた。


「使用許可を申請しました。明日0時から30日間インフラ=システムの不特定多数に対する無制限の使用が可能になります」


 そして、一言添えてあった。


「無茶言って、すみません」


 少しだけ、微笑みが漏れた。

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