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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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その中にあって

 国防省内の綱状組織対策課。


 設立の経緯や変遷を私が知ることができたのは、友人が死ぬ間際に送ったメッセージと資料のおかげだった。


 その組織の中にあって、宇佐美正一という人物は、変遷する組織の歪みの影響を受ける形で、汚れ仕事を請け負ってきたらしい。


 彼からのメッセージには、宇佐美正一による追撃を受けて、"対網"とは別の部署に所属する国防省の役人が死亡したこと、そして彼自身もその追撃から逃れられないであろうことが書かれていた。


 つまり、私の友人、そして少女の父親は宇佐美に殺されたことになる。


 そして現在、宇佐美正一は消息を絶った。少なくとも、私のような民間人がアクセスできる範囲からは、宇佐美の痕跡は見つからない。



 私は彼女の部屋のデスクに置いてあるメモを読んでいた。そこには、彼女が独自に元"異分子"殺しを調べる、という内容が書いてあった。そしてしばらく、この部屋にも帰らないということも。


 眉根を揉んで、天井を見上げる。


 彼女は確かに元々知能が高い。そして、考えを行動に移すことが多くなった。それはきっと成長だと言える。


 だが、この状況は私にとっては好ましいものではなかった。この事件の調査をするにあたって、どこをどう解釈しても危険が付き纏う事は必至だ。


 それに、宇佐美正一のこともある。彼がこの異分子殺しに関わっているかどうかはわからない。だが、もし国防省がこの殺人をしでかしているなら、そういった種類の汚れ仕事を多く請け負ってきた宇佐美が関わっていても不思議じゃない。


 徐々に入っていった、私と彼女の間の亀裂。それはついに臨界点を迎えてしまったのかもしれなかった。

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