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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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対網

 かつて国防省内の"対網"と呼ばれていたセクションは、正式な名称を"網状組織対策課"といった。網状というのは個々のセル(細胞)のようなテロ組織が横断的に繋がりを作っている状態を、そう呼んだらしい。階層的な指揮系統を持たず、柔軟なのに堅牢なテロリズムで繋がったネット。そんなテロ組織への対策のために"対網"は設置された。


 しかし、どのテロ対策組織も苦労する様に、突発的なテロを防ぐことは"対網"にとっても至難を極めた。国防、という範囲が同盟国にまで及ぶにつれ、対応しなければいけないテロは増えていった。


 そんな中、彼らが目をつけたのは、"ヒトの行動予測"に関するテクノロジーだった。予防的な捜査活動というのは官僚組織の活動としては多少異質なものではあった。それでも彼らは着実に成果を上げた。まだまだ未成熟なテクノロジーではあったが、テロ活動をしようとする人間の行動には特殊なシグナルがあった。検知しやすい行動であったと言える。


 やがて、通信の相互監視が世界中で実現され始め、テロの時代は徐々に収束していった。"対網"はその役目を終えるはずだった。しかし、一度構築したテクノロジーを手放すことは彼らの誰にも出来なかった。彼らはその技術を"一般化"することに決めた。つまり、全国民に対して、その技術を適用させようとした。


 だが、事は単純ではなかった。テロという特徴的なシグナルを持った行動には、効果的だった"対網"の行動予測システムも、一般的な、ごく普通の生活行動を予測するのは困難だった。何事も一般化する時にかかる労力は、システムそれ自体の開発よりも大きい。


 困った彼らは官民問わず、技術者と技術を収集し出した。そして、ある時、警察省内部に国防省とは別の、独自の行動予測システムが作られている事を知った。


 それが、私と友人が作ったシステムだった。


 後の顛末は知っての通り。友人は死に、システムは国防省が奪い、彼らの技術と統合した。そして、私はと言えば、そのシステムを友人の意思に反し、国防省のために完成させ、今も汚れ仕事をしている。


 それが、インフラ=システムだった。

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