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わかりきった結末  作者: 早雲
第四部
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その依頼

「先生、お客さんはどうでしたか……?」


 アサクラが帰った後、少女が応接間に入ってきた。


 私は彼女を見やって、大きく深呼吸をした。嫌なことはできるだけ端的に伝えるのが吉だろう。


「元"異分子"が政府に殺されているかもしれないそうだ。その調査を依頼された。違法な手段を使えとのことだ」


 彼女は怪訝な顔をする。


「違法な手段、とはインフラ=システムのことでしょうか」

「そうだ。"異分子"に対してはシステムは効かないが、すでに生体情報をモニタリングされている元"異分子"ならシステムで行動予測ができる」

「そうですが……」


 私の懸念を彼女も感じているのだろう。私はそれを口に出す。


「問題は大きく二つ。一つ目はこの仕事を受けることで、私が政府に使い捨てられる危険が増すこと。現状でも危ういんだ、こんな仕事をすればなおさらだろう」

「二つ目は?」

「二つ目は技術的な問題だ。もし、政府の人間が元"異分子"を殺しているのなら、インフラ=システムを使っても予測できない。なにせ、政府の人間も"異分子"なんだからな」

「どういう事でしょうか?」

「つまり、インフラ=システムの存在を知っている政府の人間は"異分子"という事になるから、その行動はシステムでは予測できない。そして政府の人間="異分子"が元"異分子"を殺すとしても、同様にシステムでは予想できない。少々ややこしいが」


 彼女は少々思案顔をした後、私に訊いた。


「それで、先生。どうするのですか?」

「断ったさ。これ以上危ない橋を渡っても仕方あるまい。それに技術的にも難しいとくれば、それは十分断る理由になるだろう」


 私は彼女がなんとなく渋っているように見えた。彼女はインフラ=システムや今の政府を良しとしていないはずだ。なら、私と同じく、彼女もこのインフラ=システムを使う調査の依頼を断るという意見のはずだ。


 だが、彼女は私の予想と異なることを言った。


「その依頼、受けませんか?」

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