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わかりきった結末  作者: 早雲
第三部
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敵より怖い

 旧市街の古びたホテル。宇佐美正一はその一室を拠点にしていた。僕の推測は、すくなくとも場所に関しては、正しかった。ホテル近くのバイオメトリクス関係のインフラにアクセスする事で宇佐美が小一時間前にホテルに帰って、部屋にいることまで突き止める事ができた。


 だけれど、結果的に言えば、僕にとってそれから起こったことは明らかな惨敗だった。


 荒川達の上層、国防省は、この件に関して傍観したところで問題ないという結論に達したらしい。つまりは僕に積極的に協力せず、かと言って宇佐美を助けるような真似もする必要がないと判断したのだ。


 それは僕からしても妥当に思える判断だった。荒川達は僕がすでにシステムの情報をジャーナリストにリークしてしまった後だからこそ、これ以上問題を広げないために僕に協力しようとしたのだ。まさかそのジャーナリストまで殺されることも、それによって状況が振り出しに戻ることも考えていなかったはずだ。だからこそ、リセットされた状況を見極めて、静観するという判断は間違っていない。僕と宇佐美、ひいては"対網"のどちらに与しても面倒は大きいからだ。


 もっとも、だからといって全く不快なことには変わりないのだけれど。


 しかし、もちろん荒川達は面と向かって僕に協力をやめるとは言わない。協力するフリをするつもりだったのだろう。僕が役人達の上の判断に気付けたのは、彼らの通信も傍受していたからだ。


「武器の手配をしましょう」


 白々しく荒川は言う。


 怖いのは敵よりも無能な味方と言うが、非協力的な彼らはまさにそのナポレオンの言に当てはまっていた。このままだとさらに不利になるだろう。

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