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わかりきった結末  作者: 早雲
第三部
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過ちは人の常

知能は形がないものである。


だからこそ人類は知能の形をなんとか暴きだそうとになってきた。


知能指数はその一つの解決策ではあるが、それが本当に人間の能力を測定できているかは疑問の余地がある。


ごめん。嘘だ。


そんなこと僕はこれっぽっちも思わない。


そもそも人間の知性の定量化なんて実はこれっぽっちも興味がない。そんなことは些末なことで、そんなことよりなにより、人間が何を実行できて、どんな真理に到達できて、何を語るかの方がよっぽど面白い。


僕が知能の研究について、あるいは知能というものの証明について、まったく興味がない。その理由は、その問題はすでに誰かが考えてしまって、アプローチをとり始めてしまっているからだ。そして、曲がりなりにも一つの解決が提示されてしまっている。


僕はそれに異論がない。だからこそ、それに興味がないのだ。異議を唱えてこその自分だし、それがないのであれば、黙して語るべからず。


誰かが問題にしてもいないことを問題にして、そしてそれをいち早く解決するのが僕の仕事だ。世の中的に言えばそれは研究ということになるけれども、僕に一番近い分野の人間ですら、僕が提起した問題とその解決に理解を示すことはほとんどない。少なくともすぐに分かってもらえることなどほとんどなかった。


だからと言って、僕は周りを見下している、ということは全くない。知能が高いことに、いったいどれほどの価値があるというのだろうか。知能をリソースとして還元できないのであればそれは大した価値なんて持たない。ダイナマイトやニューラルネットやオプトジェネティクスを構築してこそ価値がある。そして僕はそのどれにも達していない。


一つだけ、僕が人類に資すると思えるものを開発した。僕はこれを作っているとき、ついに自分も偉大な先人の仲間入りをできると思った。


だけれど、結局その効用はゼロを下回った。


生み出す技術は僕の子供みたいなものだ。その技術は僕にとって二人目の娘だったといってもよい。


そして僕は今から、それを殺さなければならない。


いいさ。これは僕の過ちだ。僕が偉人になれないことは仕方がない。


だけど。


僕はその子を棄てなくていい理由を探していた。


自分の頬に線が伝った。

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