第4章:再戦
第4章
翌日、街の力自慢達が広場に集まって居た。
どうやら、例の切り裂き魔事件の犯人を捕まえようと、集まって来たようだ。
「ガライのおっさんも切り裂き魔の被害にあったんだ!これ以上は、我慢出来ん!切り裂き魔を捕まえて縛り首にしてやろう!」と如何にも大工の棟梁が叫ぶ。
周りの筋肉自慢達が、オー!!っと叫んでいる。
「俺らは、街の英雄になるんだー!」
『オー!』
「切り裂き魔を捕まえよー!」
『オー!』
「よしっ!怪我をしたものは置いて行くぞ!腰が引けた者も置いて行くぞ!」
『オー!』
「よ〜し…出ぱ…」
「ちょっと待って!!」
と意気揚々としている、力自慢達を押し退けてプリムが叫ぶ。
それに気付いた棟梁が
「これはこれは…王女様。何か用ですか?」と聞く。
プリムは走ってきたのであろう、息を切らせながら答える。
「私も連れてって!」
周りの連中がザワっとした。
棟梁は落ち着いた表情で
「王女様…私達は遊びに行くんじゃありません。街に平和をもたらすために、危険な旅に出かけるのです。」
「ええ…分かってる。分かってる!ケド、私はあの人を斬った切り裂き魔を倒したい!捕まえたい!お願い!荷物持ちでも、何でもやるからっ!」棟梁は、やれやれと言った顔で
「まぁ、王女様に荷物持ちなんかやらせたらアッシが打ち首になってしまいやすぜ」と苦笑いする。
「それに、王女様は武術が得意そうで…」
王女とは裏腹に、武術が得意らしいプリム。
かなりのオテンバ娘って事が分かる。「それじゃあ…私も連れてってくれるのね!」と嬉しそうに言う。
「まぁ、その辺の若い連中よりかは役に立ちそうですからね。」と周りを見渡しながら言う。
「やったぁ〜。私、頑張る!ガライさんを斬った奴を倒すわ!」と明るく言った。
「それじゃ…そろそろ行きますか…」と言おうとした時だ。
「ちょっと待ってくれ!」と再度引き留められる。棟梁は振り向くと、剣を持って完全武装したガライが立っていた。
「ガ…ガライさんっ!どうしたんですかい?」と棟梁は驚く。
「あの時は油断したとは言え、このまま引き下がるには剣士としては許せない!私も連れて行ってくれないか?」とガライはいつになく真剣な顔をして答える。
「ちょっと…ガライさんっ!腕を怪我してるしっ!だから、無理は…」とプリムが言いかける。
「私は無理などしては居ない!奴は私に傷を付けた!このまま引き下がる訳には行かないんだ!!」
「…っ」とプリムはガライの気迫に押され声のならない声をあげる。
「頼む!棟梁!私も一緒に…」と再度頼む。「まったく…」棟梁は頭を掻きながら、
「武術のエキスパートに剣術のエキスパート。この2人が居たら私達の出番が無くなってしまうな!」と笑いながら言う。
「じゃあ…」
「ああ!!構わないよ。むしろガライさんが居た方が心強い!」
と言い振り返り、少し間を空けてもう呼び留められない事を確認して、叫ぶ。
「敵は目の前だ!行くぞっ!」
『オォーっ!!』
調査隊の声は街の奥にある山の中まで響き渡った。