第1章:浮浪剣士
第1章
ここは、とある田舎の街。
町は素朴な感じの家が立ち並びほのぼのした空気とは裏腹に、町は活気に捕われていた。
「あ〜あ…。暇だなぁ〜。」
金髪にポニーテールの女が町のBARでクリームソーダを飲みながら、机に伏して居た。
それを見たBARの主人が声をかけてきた。
「はっはっは(笑)プリム。今日はご機嫌斜めかな?」
プリムと呼ばれた女は、不機嫌そうな顔をしながら答える。
「そんな事、無いもんっ!ただ今日は"あの人"が居ないから暇なのよっ!」
「はっはっは(笑)例の王子様かい?」
「違うわよっ!そんな…」と顔を赤らめて答える。
「まったく、一国の王女様が町をうろつく事はおろか、たまたま行き着いた浮浪剣士に恋をしてしまうとは世も末だな」
どうやら、プリムは一国の王女であり城を抜け出してはこの街にちょくちょく顔を出していた。
まぁ、意味は無いと自分では言っているが…あきらかに"あの人"目的で来ていた。「はっはっは…今日は、"あの人"は例の連続切り裂き魔の調査に行ってて2〜3日は戻らないと思うぞ」
例の連続切り裂き魔事件とは、近日…街の人が山奥に拐われて翌日になると、ズタズタに切り裂かれ、死んでいる事件が多数あった。
その為に、街の腕の立つものや浮浪剣士が時々山に行っては、切り裂き魔討伐に出掛けるのであった。
「心配だなぁ〜…って言っても、ガライさんが切り裂き魔なんかに殺られる訳無いわね」
ガライとは、プリムがお気に入りの"あの人"の事だった。
「はっはっは。あの人はそんな雍な人間じゃねーだろ。…おっと」
と、外が少し騒がしくなった。
「また出たな。」とBARの主人は、ニヤリと笑った。
「えっ?例の切り裂き魔!?」とプリムが聞いてきた。
「違う違う…。最近、切り裂き魔の他にも街を騒がしている盗賊団だよ。」
「盗賊団!?早く、城の警備兵に知らせなきゃっ!」と慌てる。が、
BARの主人は、落ち着きながら
「いや良いんだよ。別に奴らは何も悪い事はしてないんだから(笑)」
プリムは意味が分からなくなり、とりあえずドアの外に出てみた。