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machine head  作者: 伊勢 周
8章 ジィーナとリル
84/286

デート?  

今回三ツ葉きあ様より頂戴した挿絵を掲載しています。

もしも挿絵などを好まない場合、お手数ですが、挿絵の表示をオフに設定の上ご覧下さいませ。


 とある場所に慎ましやかに建っている、お世辞にも住みたいとは言いにくいアパート。

 そのアパートの一室。隣に出来た高層マンションが原因で陽の光がなかなか入ってこないため、とっくに東の空に太陽が昇っているというのに室内は薄暗い。


「はぁぁぁぁぁぁぁ……」


 食卓に突っ伏した少女が、盛大にため息をついた。肩のあたりで揃えられた紺色の髪の毛も、今は食卓の上に投げ出されて散り散りに寝そべっている。


「ため息ついたら幸せが逃げるよ」


 食卓のすぐ傍にある流し台で洗い物をしている長い黒髪の女性は、その手は休ませずに、食卓に突っ伏しため息を吐き続ける少女にちらりと視線だけを向けて、迷信めいた忠告をする。


「だってぇ……」

「あんたもしつこいね。もう一週間以上もその調子。だっても何も、その状況、あんたが途中で寝ちゃうのが悪いんじゃない。どうやったらそんな状況で、一瞬で気絶するように寝られるのか教えて欲しいものだわ。ほら、片づけ手伝って。マーガリン溶けちゃうから冷蔵庫に仕舞って頂戴」


 洗い物を終えて、流し台の下にかけていたタオルで手を拭きながら、未だに食卓で突っ伏している少女に向かって食事の後片付けを手伝うよう催促する。少女はしぶしぶと上半身を起き上がらせて、言われた通りにマーガリンを冷蔵庫に仕舞いこんだ。


「それじゃあ、スカイガーデンに買い物行ってくるから。生方宗助君だっけ、その人も、ちゃんとついでに探してくるから、そんな心配そうな顔しなさんな」

「あと千咲さんと、不破さんっていう人も」

「はいはい、わかってる。二時間くらいで戻るからさ、出来れば掃除機かけておいてくれると嬉しい。じゃ、留守番頼んだからね、リル。こないだみたいにフラッと外にいかないでね。マジで」


 黒髪の女性はそう言って、買い物鞄を肩にぶら下げて、玄関へと向かう。


「じゃあ、行ってくるね、リル」

「わかった。行ってらっしゃい」


 紺色髪の少女は、黒髪の女性――ジィーナを快く送り出した。



           *



 五月も末に差し掛かり、天候に恵まれ気持ち良い日差しが降り注ぐ中、汗だくになりながら黙々と野外訓練場のグラウンドを走り続ける人影が三つ。


「…………すいません、不破さん、白神さん。俺が命令無視なんてしたばっかりに……」


 人影の内の一つ、生方宗助が、両隣で並走する不破要と白神弥太郎に対して謝罪の言葉を述べる。


「いや、いいんだ……気にすんな……。それより、黙って走らないと宍戸さんに見つかったら大変だぞ」


 不破が、グラウンドの端で腕を組んでいる宍戸の方を伺いながら、なるべく気付かれないようにとぼそぼそ声で宗助に応える。もう片方の白神はというと、随分と走り回ったと言うのに涼しげな顔で宗助の隣を走っている。汗はぐっしょりとかいているが。


「よし、ラスト五周……」


 流れ落ちた汗が乾いた地面に落ちて、砂地に点を描いた。彼らがなぜグラウンドのトラックを走り続けているのか。その理由を語る為に少しばかり時を遡る。



 ほんの三十分程前。

 全体合同訓練を終えた宗助は、少しばかりの自由時間を利用して、洗い場で砂埃でも落とそうかと考え隊舎に戻ろうとしていたのだが、そんな時、「おい、生方」と声をかけられた。


「はい」


 返事をしながら振り向くと、そこには副隊長の宍戸と、苦笑いを浮かべた不破が居た。



「罰トレーニングですか……」


 宗助が、宍戸に言い渡された言葉を復唱する。


「罰ではない、戒めだ。お前らの先の任務、カレイドスコープの護送。結果は見事に失敗。多少情状酌量の余地はあったが……生方。お前の命令無視の件は別だ。重く受け止めろ」

「……はい……」

「不破。お前は生方の教育係だろう。連帯責任だ。共に罰トレーニングを受けてもらう。白神もだ。いいな」

「……はい……」


 有無を言わせない、とはまさにこういう事なのだろうと宗助は頭の中で考えつつ。しかし全面的に自分が悪い事は解りきっているので反論もない。ただただ説教ともつかない宍戸の罰……戒めトレーニングの概要を聞いていた。

 言い渡されたのは、グラウンド百周。一周三〇〇メートルのトラックなので、単純計算で三十キロ。

 その結果が、現在の三人の状態である。かれこれ走り続けて三十分は経過している。もともと常人離れした体力の持ち主達なのであるが、厳しい訓練の後に間髪入れずにという状態のため、三人とも流石に疲労の色が見えた。それからもしばらく走り続けた後。


「よし、これでノルマ完了!」


 三人揃って宍戸に与えられたノルマをこなし、整理運動として大きく呼吸をしながらゆっくりと身体を慣らすように歩いていると、彼らの背後からまたしても宍戸の声が飛んできた。


「おい生方。お前、あともう十周追加だ」

「え」

「返事は はい だろうが。トレーニング中にぐだぐだと喋りやがって、反省が足りてないらしい。わかったら、さっさと走れ」

「は、はい!!」


 宍戸は不機嫌そうな顔で腕を組んだまま顎でトラックをくいっと示し、宗助は慌てて駆け出した。


「俺が遅いと感じたらさらに十週追加だ」

「はい!」


 半ばヤケクソで走る宗助と、それを厳しい目で見続ける宍戸。一応ノルマを終えた不破と白神は、駆けて行く宗助の背中を生暖かい目で見るしかなかった。


「……がんばれ、宗助……。そのうち終わるさ、そのうちな……」




 トレーニングを終えた三人組はレストルームで円卓を囲っていた。といっても宗助は机に突っ伏していたが。


「しかしまぁ、見事にしごかれてんなぁ、宗助。ははは。名門高校のスパルタ野球部みたいな走りっぷりだ」

「……笑いごとじゃないですよ、ほんと……。俺何かあの人に悪い事したっけな……」


 突っ伏しながら、不破の言葉に対して恨めしそうに返す。すると白神がいつも通りのニコニコ顔で宗助に話しかける。


「いやぁ、生方さんが悪いとかじゃあなくて、宍戸さんはああいう人なんですよ」

「ああいう人、って言いますと?」

「興味ない人には普通ですけど、見込みがあるなって思った人に対してはとことん厳しいんです。あんなに楽しそうな宍戸さん、初めて見ましたよ。不破さんも、昔はずいぶんとしごかれたんですよね?」


 白神と宗助が不破の方へ視線を向けると、不破は苦笑いで応えた。


「あれはしごきっつうより、イジメだと思ったぜ……」


 相当な思い出があるらしく、たったのその一言で宗助は重々しい何かを感じ取り、やけに背中が重くなる。


「それで、今度はこっちにその矛先がきたと……」


 うんざりした声で宗助が愚痴っぽく漏らす。通常の訓練や鍛錬に加えて、毎日気の遠くなるようなノルマを課せられる。それが今日でちょうど五日続いているのだが、宗助の体力は既に限界だった。

 ふらふらと歩く宗助を見た小春が「だ、大丈夫!? 生方君! ふらふらしてっけどぉ、ちゃんと寝てる!?」と心配して尋ねると、彼は「えぇ、毎日ぐっすりですよ、おかげさまで」とくたびれきった顔でサムズアップするというちぐはぐな事をやってのけ、おかげで更に小春の心配が加速し、彼女の手によって無理矢理医務室にぶち込まれ栄養剤を点滴されるという出来事もあった。

 一体いつになれば宍戸の監視から解放されるのだろうか。宗助は物憂げな顔でこの一週間を振り返る。


「まぁまぁ、良いんじゃねぇの? やられてる時はたまったもんじゃなかったが、今ではあれのお陰でかなり根性ついたって思う事もあるぜ? ほら、身体起こして、これ飲めよ」


 不破はそう言って、宗助の目の前にあるコーヒーを飲むように勧めた。カップから白い湯気が適度にはらはらと沸き立っている。宗助は不破に言われるままにむくりと起き上がり、コーヒーカップを右手で持ち上げて口をつける。ブラックコーヒーの苦みに少し顔を顰めた。果たして疲労が溜まっている時に飲む飲み物だろうか、と疑問を抱きながら少しずつコーヒーを口の中に流していく。


「明日は休みだろ? 流石のあの人も非番の日まで侵略はしてこないだろうし……あ、」


 そこまで言って、何かを思い出したようで一旦言葉を止めて、そして。


「そうか。そういや、お前明日は千咲とデートだったな」

「ゴォフッ!」


 盛大に咽た。


 激しく咳をして、気管に侵入したコーヒーを無理矢理に追い出す。ちらりと盗み見た白神の笑顔が若干引き攣っているような気がするが、宗助は見えていない事にした。


「デートじゃありません! ただのお詫びの荷物持ちです!」

「お詫びだろうがなんだろうが、女と男が二人で出掛けるっつうのは、世間一般で言うデートって奴なんだよ」

「それはそうかもしれませんけど、例外っていうのも世の中には沢山存在します!」

「それにしてもまぁ、入隊して二か月足らずで千咲を落とそうとは、お前も怖い物知らずっつうか、ミラルヴァに向かっていくあたり今更か。それでも背後に気を付けて生活する日々が続くぞ、気を付けろ。あいつはあんな性格だけど人気だからな」


 ははは、と呑気に笑う不破に対して、『話を聞け、すぐ隣にそれが原因で背後を狙いかねない人が居るんだよ空気読んでくれ!』と宗助は訴えたかったが、そんなことは口の外へ出せる筈もない。疲労が限界に達している事も有り、それ以上の反論はしなかった。

 再度机に突っ伏しながら、デートという言葉を頭の中で反芻する。


(違うって……。多分)


 千咲とのデート。宗助の言葉ではお詫びの荷物持ち。一体どういった経緯でそんな話が生まれたのか。それを説明するにも、これまた数日程時をさかのぼる必要がある。



          *



 とある日の訓練の合間の昼食時、その時はたまたま千咲と宗助は二人で食事をとっていたのだが、その日の千咲はなにやら、考え事をしているようだった。

 何かを言うべきか言わぬべきか、迷っているような、そんな様子。

 そういった時に無暗に話しかけるものではないかな、と考えていた宗助は、彼女が何か話すまでとりあえず待ってみることにしたのだが……。


「……あのさ」

「お、おう……」


 神妙な顔で話を切り出した千咲に対して、宗助も何か身構えて受け答えしてしまう。


「あんたのプレゼントで思い出したんだけどさ……」

「うん」

「入院してた時は色々あって頭に無かったんだけど……。あんた、こないだのスカイガーデンで買った私の品物とか、どこに置いてたの」


 ぎくり。宗助の身体が硬直する。

 なかなか今さらな話ではあるが、あのレスターとナイトウォーカーが引き起こしたリル・ノイマン誘拐未遂事件に巻き込まれ負傷し入院して、その退院直後に研究所へ出向いたため、このタイミングで話題に上るのも仕方が無い事ではある。


「……いやぁ、あの時は本当に必死で――」

「言い訳とかは良いから、品物どこに置いたの?」


 縄張りに外敵が侵入した時の獅子のような威圧感のある声(宗助にはそういう風に聞こえた)で、事実の説明を急かす。


「本館一階のロッカーの中に入れっぱなしでした」

「やっぱり。そんな所だと思った」


 お叱りを受けると思って縮こまっていた宗助にとって、千咲のこの反応は予想外だった。あの緊急時に買い物袋沢山抱えて走れと言う方が無茶苦茶であるのだが、宗助は今心の殆どの部分が罪悪感に囚われているので、そういった思考は欠片も出てこない。


「スカイガーデン、こないだの騒ぎからようやく営業再開するみたいなのよね。それで、あの時の混乱で買ったものを落とした人とかもいるだろうって事で、レシート持ってれば、買ったものが回収できるみたいでさ」

「へぇ」

「あんたの話通りなら、買ったものは全部ロッカーに詰めてたんでしょ。レシートは全部取ってるから、めでたく回収できるって訳」

「成程。それでその話が何に繋がるんだ」

「………荷物持ち」


 妙な間を開けて、彼女は言った。


「なんでもいう事聞くって言ったよね? それを使うわ。荷物持ち。非番が重なってる日くらいあるでしょ」


 言う事を聞く聞かない以前に前回は無理矢理荷物持ちとして連れて行かれたのだが、現在宗助は千咲や岬にめっぽう弱いので何も反論しない。結局自動的に


「お供させていただきます」


 と宗助が言うと、千咲の先程までの硬い表情はなりを潜め、そのまま普段通りの彼女へと戻っていったのだった。以降、彼女はどこか機嫌よさげに見えたのだが、はたして彼女の心の真実は過ぎ去ってしまって判らない。


 話は少しそれたがつまり、その『荷物持ち』の日が翌日へと迫っている、という事なのだ。

 どこでその話を嗅ぎつけたのかは不明だが不破が好き勝手を言い、その横で白神が静かに微笑み続ける(宗助には怖い顔に見えた)という妙な状況の下、宗助は「もうどうにでもなれ」とその日は早い目に床に就いた。



 そして千咲との荷物持ち当日。天気は快晴。適度に風もあり、外出日和である。千咲はいつものポニーテールではなく、髪の毛を半分後頭部で結い、半分を下ろしたハーフアップスタイルで宗助の目の前に現れた。


「今日は髪、なんか凝ってるな」


 と宗助が指摘すると、


「気分」


 と、たった三文字でぶっきらぼうに答えるのみ。


挿絵(By みてみん)


 こういった、女性がいつもと違う髪型で現れた場合は何はともあれ褒めるか、それとなく指摘すると良いものだと宗助は思っていたのだが、予想していた反応とありのままの現実との激しいギャップにまたしても及び腰になってしまう。


「ほら、行くよ」


 彼女は長い脚を優雅に足踏みさせて、右手のひとさし指に車のキーチェーンをはめてくるくると回しながら、先に歩き出した。



 場所は移りスカイガーデン。天井落下事故や宗助とレスターがさんざんあちこちで暴れまわったのだが、およそ二週間の経過と共に何事もなかったかのように元通りになっていた。

 天井落下は誤魔化せるものではなく、地元のメディアを軒並み賑わせる事となったのだが、全店建築物調査が行われ安全は折り紙つきになっているという。

 平日だがそれなりの賑わいを見せているところから見ても、先日の事件の影響は少なかったらしい。

 サービスカウンターにて千咲と店員が大量の荷物の照合を行う中、宗助はとある事を思い出していた。そう、二週間ほど前に、ちょうどこの場所で彼が命がけで守った少女と、その彼女へのプレゼントとして買ってあげたぬいぐるみ。彼女は必死の逃走劇の途中に「落とした」と言っていた。

 購入した際のレシートは取っておく主義ではないが、財布を整理していないから入っていたはず。そう思い財布の中を確認すると、やはり残っていた。

 不破の話では、記憶操作によりリルは自分の事は覚えていない、という事だった。しかし、せっかく「喜んでもらえれば」と買ったのだ。あの時の記憶がなかろうと、彼女があのぬいぐるみを気に入ったという事実は無かった事にはならない。なんとかすれば、彼女の手元へと届ける事はできるだろう。

 宗助は未だに荷物の受け渡しをしている千咲と係員の元へ行き、レシートを手渡す。


「すいません、これもお願いします。届いていなかったらいいですけど」

「はい、承ります」


 店員はレシートを少し眺めて、(日付などを念のため確認したのか)すぐに快い返事をしてカウンターの奥へと下がって別の係員に二、三の言葉を伝えていた。


「お待たせしました、こちらでよろしかったでしょうか?」


 数分した後に別の係員が紙袋を持って来て、宗助に確認を求めてきた。大雑把に見るとわからないがよく見ると小さな血痕が幾つか付着しており、宗助はつい苦笑いしてしまった。


「はい。これです。ありがとうございます」


 宗助が礼を言って袋を受け取ったすぐ後に、隣の千咲がずらりと並んだ荷物をバックにこう言った。


「これで全部っぽい」


 サービスカウンターを占拠しかねない量の買い物袋に、周囲の人間の好奇の目が突き刺さる。


「……ショッピングカートかなにかを借りてこよう」


 きっと彼女は、買い物でストレスを発散するタイプの人間なのだ。よくあれを全部持てたもんだな、と少しだけ過去の自分を尊敬した宗助であった。



          *



 ショッピングカートを二台借りてなんとか荷物を載せて、ゴロゴロと音を立てながらショッピングモールを歩く。


「ねぇ。さっき荷物貰ってたけど、何か買ってたの?」


 千咲が興味ありげに荷物の山を見つめながら宗助に話す。


「あぁ。ちょっと、別行動してた時に、うん」

「何買ったの?」

「…………ぬいぐるみ」


 下手に隠すとばれた時が恐ろしい。仕方なしに、非常に言いにくそうに眉間に皺を寄せて言うと、千咲がいかにも「おもしろいもんみつけちゃった!」といった感じの、半笑いの表情で宗助を見る。


「え、なになに? 宗助、もしかしてあんた、そういう趣味あったの?」

「俺のじゃねぇ!」


 宗助が少し大きめの声で否定する。すると擦れ違った女性が驚いた顔で宗助の方を振り向いた。視線を感じた宗助は、少し大きな声を出し過ぎたと反省しながらそそくさとカートを押す。


「まぁ、皆には黙っててあげるけどー。あ、でも小春とかぬいぐるみとか好きだから受けるよきっと」

「だから俺のじゃないって――」「ねぇ」


 宗助が再び千咲の言葉に対して反論を入れようとしたところ、何者かの声が突然割り込んできた。振り向いて声の主を確認してみると、そこに居たのは今しがた擦れ違った女性だった。


「……はい?」


 宗助が応じると、二十代後半くらいだろうか、長い黒髪の女性は、宗助の顔をまじまじと見て、そして千咲にも視線を移した。


「……あの、何か?」


 千咲が訝しげな顔で再度彼女に尋ねると、その女性は、まるでクイズ番組に出演するタレントが、難問をいち早く解き、自信満々に正解を大声て唱える直前のような、納得した上で正解を確信した表情を見せた。


「あなた、もしかして! 生方宗助君!?」

「……え? あ、はい」

「それじゃあ、この隣の子は千咲さん!」

「は、はぁ」


 突然見知らぬ女性に名前を言い当てられ、宗助も千咲も、口をぽかんとあけて佇むしか、反応のしようが無かった。



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