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プロローグ 新たなる犠牲者
その時、車にひかれた高校の制服を着た少女が血まみれで道路に倒れていた。
運転手は衝突のショックで頭でも打ったのか意識を失っている。
ことは簡単だ。
高校生の少女は、ひかれそうになっていた小さな子供を守るためにその身をなげうったのだ。
その子供はひかれる寸前に少女に突き飛ばされ、寸前のところで命が助かった。
しかし、突き飛ばされた先にあった電柱に背中を強く打ち付けてしまい、今では意識を失っている。
たいして高校生の少女の状態はひどい。
その出血量から見ても、普通の医療手段をとったところで少女はもう助からないだろう。
万が一助かったところで、彼女は病院生活を余儀なくされるはずだった。
そこに、村雨 菊次郎という人間がいなければ。




