リプレイ1回目(1)
頭に靄がかかったような状態の頭に手を当て、ゆっくり身を起こす。外はまだ薄暗く、完全に夜が明けていない。少し目覚めるのが早いかとは思ったが、もう一度寝るほどの時間はないだろうと考え、そのまま起きることにした。なにかひどく長い夢を見た気がした、、、周りに視線を向けるとどうやら教会のいつも寝ている部屋のようだ。
ふと枕元においてある固そうなパンが2つとガラクタとしか呼べないようなものが目に入る。それを見て優しい気持ちになり自然と笑顔を浮かべた少年は昨日のことを思い出す。昨日は自分が生まれてからちょうど8年目にあたる日であったらしい。自分が孤児である時点で正確な誕生日などはわからないのだが、ここサンドレア協会の孤児院に捨てられた、司祭様に拾われた日がそれぞれの誕生日とすることが恒例となっていた。
しかしなんの夢だったか・・・なにか大切なことを忘れている気がする。
「痛!!」
急な頭痛に襲われシュンは頭を抱えた。そして走馬灯のように夢が鮮明に呼び起される!!
「アリシア!!」
シュンは思わず叫んでいた。横を向くとアリシアが寝ていた。しかし、シュンの大声で起きたのか、眠たそうに眼をこすりながら起きた。
「シュン?どうしたの?」
まぎれもなくアリシアだった。よかった!生きてる!!思わずシュンはアリシアを抱きしめた。
「ちょ、ちょっとシュン皆が見てるってば!」
恥ずかしそうに顔を赤らめたアリシアはしかし、嫌そうな素振りは見えない。しかし、急にどうしたのか不思議そうであった。
全てが夢!全てが夢でよかった!!本当に
「なんでもない」
満面の笑みでそう答えるシュンをみつつ、アリシアは納得のいかなそうに首をかしげながら起き上がった。只の日常がこんなにも幸せだなんて知らなかった。シュンはその幸せを噛みしめていた。しかし
夢と呼ぶには鮮明すぎる記憶、今でも血を吐きだしそうな悔しかった思い、そして痛み。シュンは自分の両手も見つめながらあることを思いついた。
「我に安らかなる癒しを、ヒール」
魔力が手に集まってくるのがわかる。そして自分が回復魔法を使えるということに愕然とした。なんで自分は回復魔法が使えるんだ?まさか、あれが本当にあったことなんてないよな?
そ、そんな馬鹿なことないよな。どうかしてる
結局疑問に思いながらも、答えが出ないままシュンはとりあえず現状を保留にした。