リプレイ1回目(4)
教会に帰ってからもシュンの混乱は収まらなかった。周りがご馳走にがっついている中、シュンだけはボーと食べ物を眺めていた。
「あいつらまったく夢と一緒だった。そんな偶然ってあるのか?」
「あいつらって?」
「のわ!!」
突然声がするものだから、視線を向けると案の定アリシアだった。
「食べないの?食べないならもらっちゃうよ!」
そう言って手を伸ばしてきたアリシアから食べ物を庇う。その様子が必死すぎたのか、アリシアは噴出したように笑った。
「じょ、冗談だよ。そんな必死にならなくたっていいじゃない」
まったくおかしいんだからと言ってアリシアはちょこんとシュンの横に座った。ふとそこでシュンは思った。仮に俺の夢が本当だったとしたら、このままこいつがこの町にいたらまたフリューゲルの野郎に目を付けられるんじゃないか。一度そう考えると不安だけが募っていった。今の自分はまだまだ無力すぎる。例えまた同じことがあったとしてもアリシアを守りきれないだろう。
なんとかしないと・・・
そんなことを考えながら夜は更けていった。
◇◇◇
俺は大まかに今後の方針を立てた
1アリシアを伯爵のもとに養子に行くように説得する
あの夫婦のことはよく覚えている。まさか伯爵だとは思っていなかったが、あの人たちならアリシアを守ってくれるだろう。その時が来れば、アリシアを説得しよう。
2どんな理不尽をも跳ね返せるように強くなる
もう自分の目の前で大切なものを壊されるのは嫌だ。悔しい思いももうしたくない。それには力がいる。あれが本当にあったことだというならフリューゲル、なにがあろうと今回の人生で殺してやる。
どうやって強くなればいいか考えた結果。俺は町の自衛団に入ることにした。自衛団とは、町の住人や町専属の冒険者など腕っぷしに自身のあるやつらの集まりであり、村の近くに魔物が出た場合に討伐任務にあたったり、盗賊の襲撃などに備えるための町個体の戦力である。
実は騎士団に入るという手もある。領地の統治を任されている貴族は必ずそれぞれの騎士団を持っている。そして貴族たちは大抵騎士を派遣し、統治している村々を巡回させている。それは治安向上の意味もあるのだが、税の徴収などの役割をも果たしている。つまり一石二鳥の役割を果たしているのである。
ちなみに騎士団に入るのは難しい。まだ地方などの騎士団は正式な騎士団というよりは貴族の私兵団の色合いが強いため、自分の能力さえ示せれば問題はないのだが(それでも今のシュンには絶望的)、中央、特にここ帝国の首都ウルサザールの騎士団は皇帝直属の騎士団ということもあり、人気も高く強さのみではなく、その人物の品位や位の高さなど、その他の部分もまた多くを求められる。
閑話休題
今のシュンには自衛団に入って鍛えてもらうのが一番現実的に思えた。そしてその日からシュンの努力の日々が始まった。