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第壱話 白き少女─神秘(ミステリー)─

 ──西暦3028年。



『敵襲っ!! 上空100万kmに敵星の戦艦を発見! シェルターへお急ぎ下さい!』

 屋外にたくさん設置されたスピーカー。危険を知らせるサイレンと共に、けたたましく男性の声が響く。


「セイドー! 早くしろ!」

「今行くっ」

 父親の怒鳴り声にセイドは大声でかえした。

 思春期の少年に成長を遂げたセイド。細身の体だが長い手足、すらりと高い身長。既に父親よりも大きくなっていた。

 セイドは眉間に皺を寄せつつ、大事な物だけを大きな鞄に詰め込む。軽く溜め息をつき窓から空を見上げる。相変わらず外のスピーカーからけたたましく響く声。どんよりと曇った空。時刻は現在4時。曇り空のせいかいつもより薄暗い。

 セイドは曇った空を軽く睨み、大きな鞄を持って家を出た。


(全く……、何だって今更戦争なんだ?)

 セイドは心の中で文句を言いながら、両親と供にシェルター(避難所)へ走る。


 シェルターへの道のりの途中、建物の陰より人々の苦痛に満ちた叫びと鈍い打撃音が微かに響いた。両親は気付かなかったが、セイドはその音が否に耳に入り足を止めた。

(なんだ?)

 なんのけもなしにセイドは建物の陰を覗き込む。そして、息を飲んだ。そこには。


 沢山の人々の死体。


 手や足、時には首を切られた惨殺死体。立ち込める血の臭い。そんな中に、妙に鮮やかに映える血の赤。吐気を覚える程の光景。

 そして、その真ん中には一人の少女が佇んでいた。

 華奢な体に細い手足、小柄な身長。腰まである長い綺麗な銀青色の髪。

 体じゅうのあちこちに血を浴びた様な少女が、セイドに背を向け立っていた。

 少女は人の気配に気付き振り返った。瞬間、二人は目があった。


 少女の瞳は、鮮やかな、赤。


 セイドはまた、息を飲んだ。

 真紅の瞳、驚くほど美しい少女であった。

 年齢はセイドとあまり変わらなく見える。何やら焦点の定まらぬ瞳をしている。

 虚ろとも言える瞳が、静かにセイドを見据える。


「何ボサッとしてる。死ぬぞっ」

 が、すぐ父親に引っ張られ、少女の姿は見えなくなる。




 当時、セイクレッド=リーンカルスは15才。

 この年、突然何処だか分からない星が地球に攻撃をしかけてきて、宇宙戦争が始まった。

 31世紀の地球。かなり宇宙への進出も果たしていたが、未だ地球が見つけることのできていない星である。


 そんな最中セイドは、驚く程綺麗な娘を見た。

 とても妙な所の多い娘。──たくさんの惨殺死体の中で一人で立たずんており、全身に血を……、返り血の様な物を浴びている。年齢はそうセイドと変わらない。透き通る様な白い肌。綺麗な銀青色の髪。印象的な赤い瞳。見る者の目を奪う美しい容姿──。

 とても妙な娘。だけどセイドにはそんなこと関係なかった。彼女に目を奪われた。見目の美しさだけではない。


 彼女の何かが、全てが、セイドの目と心を釘付けた。



 その後、父親は戦争に兵士として借り出され戦死。母親はセイドをかばい逃げ遅れ焼死。セイドは親戚の家をたらい回しにされた。

 そして17になった時、兵士の招集礼状がセイドの元へ来た。

 戦争になんて手を染めたくなかった。だけど、親戚の家をたらい回しにされる生活は地獄だった。何より招集礼状は、絶対だった。

 兵士にならざるを得なかった。



◇◆◇◆◇◆



 ──西暦3032年、現在。

 セイクレッド=リーンカルス、19才。



「おーい、セイド!」

 一人の男がセイドを後ろから呼び掛けた。

「あぁ、リラ。何?」

 声に気付いたセイドは振り返りつつ言う。

「『リラ』じゃねぇ!! 女みたいな名前で呼ぶなっ! 『ライアン』か本名で呼べよ!」

「『リラ』って可愛いじゃん」

 セイドを呼び掛けたのは、『リラ』こと『ライアン』こと『リライアンス=カーライド』。セイドと同じ年の19才。緑色の瞳に、腰まである長い茶色の髪を一つにまとめている。彼の本来のニックネームはライアンである。が、セイドは女性を思わせる程の長い髪を持つリラへの冗談でリラと呼んでいた。


「ところで何?」

 ニックネームのことでモメた後、ようやく本題に入った。

「あぁ。隊長がお呼び」

 セイドの問いにリラが答える。

「なんで」

「明日の攻撃、セイドに操縦してくれってさ」

「やだよ」

「自分で言ってこいよ」

 ──隊長の意思を伝えただけのリラに、セイドは思いっきり嫌な顔して否定した。リラは溜め息で返す。



 ここは、(コア)

 核の空軍基地兵士訓練場。 核とは、地球共和国の中心。地理的にではなく、機能的の中心である。

 政治から科学・医学・軍事力・警察・司法・学校まで、地球上の最先端の集まる場所である。場所は太平洋のほぼ真ん中、海底の更に地中。数箇所からのワープでしか行くことができなかった。

 セイドとリラは、宇宙戦争の兵士に招集され、核の空軍基地内兵士として生活していた。兵士の灰色の制服に身を包み、攻撃へ出る日以外は核内の寮で生活し、日夜訓練に明け暮れる。



 空軍兵士隊長室。

 セイドは制服に乱れがないかをチェックし、軽く咳払いをする。そして扉の横の壁にあるインターホンのボタンを押す。

「隊長。セイドです」

 セイドはインターホンに向かって張りのある声で言う。

「入れ」

 インターホンより隊長の低い声が響く。と同時に、扉がシュンッという音をたて開いた。

 セイドは1歩隊長室に足を踏み入れ背筋を正し、右手を振り上げ敬礼をした。

「空軍兵士第1班副隊長、セイクレッド=リーンカルス。参りましたっ」


 セイドは空軍兵士第1班副隊長……、事実上の空軍兵士全部の副隊長を努めていた。

 背は高くも細身の体、とは裏腹に大変な運動神経、何より大変な戦闘感覚の良さで、若干19才で異例の大抜擢をされてから既に半年が経っていた。


「ライアンから聞いたか?」

 隊長がセイドに聞く。

「はい」

「そうか。じゃあ頼む……」

「単刀直入に言います」

 セイドは隊長の言葉を遮り口を開いた。

「絶対っ、嫌です」

 その言葉に隊長は怪訝な顔をする。

「何故だ!?」

「何故も何もないですよっ! 俺はっ、1号機専属のパイロットですよ!? 明日は2号機と3号機の出撃の日じゃないすか! なんで俺が操縦しなきゃならないんです!?」

「お前のが腕がいいからだ!」

「んなこと関係ねぇです!」

 隊長相手に崩れた敬語で怒鳴りつけるセイド。隊長室から漏れて響く二人の声。

 これはいつもの言い争いだった。

 隊長室の外では立ち聞きするリラ。呆れつつ溜め息をする。

(コイツはまぁ、隊長相手に良く言えるよなぁ)


 セイドはまた、空軍艦1号機の専属パイロットも努めていた。

 軍艦は、数字が小さいほど最新針で、大きく、操縦も扱いも難しい物となっている。現在1号機の操縦が出来るのはセイドのみというほど、1号機の操縦は難しく、同時にセイドの戦闘能力は優れていた。

 またリラも、セイド同様の空軍第1班の兵士である。第1班の副隊長がつまりは空軍兵士全部の副隊長であるという様に、要は第1班は腕的にエリート集団である。セイド程ではないがリラも、戦闘能力が高く第1班入りをしていた。

 二人は空軍兵士第1班の最年少兵士であった。




「お前はよく隊長相手にあそこまで言うよな。毎度のことだけどよ」

 隊長室からの寮までの帰り道、リラが呆れて口を開いた。

「だって隊長だからって遠慮してたら人の意見無視されんじゃん」

 セイドは眉間にしわを寄せて言う

「俺は戦争なんて大っ嫌いなのっ! だから必要最低限しか動かないよ」

 セイドの瞳に怒りと悲しみの色が浮かぶ。セイドは、この宇宙戦争により両親を亡くしている。よって、戦争に手を染めてしまっている自分自身が、今の状況がとても嫌だった。

 セイドの『戦争嫌い』の理由をリラも知っている。だがリラは、あえて軽く流す。

「まっ、戦争が好きなヤツなんてそういねぇだろうけど……、ん? おっ! セイド! あれ見ろ!」

 リラは自分の言葉も言い終わらぬうちに、喜々としてある方向を指差した。セイドの肩を思いっきり揺さぶりながら。


 ここは、(コア)の中の科学研究所。寮への近道となるため通っていた。リラが指差したのは観察室という、廊下に向かった壁が1面窓という部屋。中は、壁には所々に小さな何かの機械がついてるものの、ほぼ真っ白な無機質な部屋。その隅に一人の少女が腰を下ろしていた。

「おい! あの娘っ、すっげ美人じゃね!?」

 リラは彼自身の女好きという性格も手伝って大騒ぎ。セイドは、あまりの話題の変化に呆れつつも、その少女に目をやった。 その瞬間……、セイドの中で何かが弾けた。


(あれ? あの娘……)


「しっかし……、あの娘なんであんなとこに居るんだ?」

 リラが首をかしげて言う。無理もない。『科学研究所の観察室』と言うくらいの部屋、本来は研究対象を観察するための部屋である。リラはこの廊下を良く通るがいつもは植物か動物がいる部屋である。『人間』がいることはおかしいはず。

 が、セイドにはリラの言葉は届かず、そんな不思議にも気付かない。

 セイドは観察室の中の少女に目を奪われた。

 奪われつつもセイドの中で弾けた『何か』を探っていた。


(あれ? なんか見たことある……? うん。あるよ……っ)

 記憶を少しづつ遡って行く。

(もしかして……、あの時の……?)

 セイドの中で一つの記憶が鮮明に蘇る。

(もしかしなくても……、あの時の……っ!)


 セイドの中で蘇った記憶は、15才の時に見かけたあの少女。

 宇宙戦争が始まった頃に見掛けた少女。全身に血を浴びて、たくさんの惨殺死体の真ん中にたたづんでいた、あの少女。

「あの時のあの娘だ!」

 セイドは思わず声をあげていた。その時。

「あなた……、シンシアのこと知ってるの?」

 セイドとリラの後ろから、女性の声が響いた。振り返ると、白衣を来たこの研究所の科学者であろう女性が立っていた。ウェーブのかかった肩までの金髪の髪、澄んだ青い瞳。細身でスラッと背も高く、張りのある声。20代の綺麗な女性である。

 と、いろいろ見定めていたのはリラだけで、セイドはそれどころではなかった。

「シ……、『シンシア』って言うんですか!? あの娘!!」

 思わずその女性にセイドは駆け寄った。


 セイドは、あの日よりあの娘が忘れられなかった。

 確かに妙な娘。だけど1度目があっただけの娘、何故こんなにも気になるのか。自分でもわからなかった。


「え……、ええ。多分そうよ」

 セイドの喜びとは裏腹に、女性からは曖昧な返事が返ってきた。

「あなた……、あの娘のこと、知ってるんじゃないの?」

「いえっ、小さい時に1度見かけただけです! っそれよりっ、『多分』ってどういうことですか!?」

 セイドは、再び女性に詰め寄る。はやる気持ちを、押さえられず。

「ちょ……、ちょっと待って」

 女性はセイドの勢いに押されつつ言った。

「あなた達一体誰? 正確な名前と身分が分からないと、そんな詳しく教えてられないわ」




「……えっ」

 女性は、セイドとリラの身分証を手渡され驚いた。

「空軍第1班の兵士!?」

 空軍を初めとして、軍の兵士の中で第1班となると腕的にエリート集団であるということは、核にいるものなら皆がしることであった。ひとしきり驚いた後この女性は、二人の顔を見て感心した。

「じゃあ……、あなた達があの有名な……」

「有名?」

「ええ。だって、兵士になってすぐ第1班でしょ? 有名にもなるわよ」


 兵士になってすぐ第1班入りを果たすのも、10代で第1班入りを果たすのもセイドとリラまで誰も成し遂げてはいなかった。

 女性の誉め言葉に、おだてられ易いリラが髪を掻き上げつつかっこつけて言った。

「まっ、それほどでも……」

「特にセイクレッド君!」

「…………」

 そんなリラの言葉を遮り、女性はセイドに話しかける。「え……、俺ですか?」

「そう! なんたって、副隊長な上に1号機のパイロットでしょう? 凄いわ」

 ──ま、いいけどねぇ。俺なんて史上最年少とはいえ平兵士だし〜。んな空軍兵士最強の男と化してるセイドと張り合おうなんざ思ってねぇよ──と、後ろでブツブツすねるリラ。



「フロンティア=ファスターさん?」

 女性ことフロンティアの身分証を見てセイドが言う。

「ええ。『フロン』でいいわよ」

 フロンティアことフロンが答える。

 フロンは、核の科学研究所の科学者であった。宇宙学と遺伝学で博士号を取得している。なかでも、宇宙学は宇宙力学から宇宙航行学、宇宙生物学など、地学だけではなく生物や化学、幅広い知識が必要なため大変難しい学問であった。フロンは、史上4人目の宇宙学博士で、初の女性、更に史上最年少、『天才』と核の中でも有名な科学者であった。



◇◆◇◆◇◆



「倒れてた!?」

 思わずセイドは叫んだ。


 ここは、フロンに『シンシア』と呼ばれていた少女のいる観察室の隣、フロンの研究室である。観察室もフロンの部屋である。

 ここの研究所の科学者には一人一つの研究室が与えられる。大きな最新鋭のコンピュータに、各々の学問に合わせた機械等、泊まり込んでの研究もできる様にキッチンまで備えられている。フロンの研究室の中は植物やソファが部屋の隅に置いてあり、研究室と言ってもただ堅苦しいだけの部屋ではなかった。


 部屋に入るとフロンがコーヒーを差し出す。部屋の真ん中にある大きめのテーブルを3人で囲み、フロンが『シンシア』と言うらしい少女のことを話し初める。


「ええ。それも妙なのよ」

 フロンは、沈痛な面持ちで語る。

「あのね、惨殺された数人の民間人の死体の真ん中で……、倒れてたの」

 え……、と言おうとして、セイドは言葉にならなかった。

「うっわっ。なんっだそりゃ……」

 リラは驚きながら言う。

 が、セイドの耳には届かない。セイドはフロンの言葉に、15才の時に見掛けた『シンシア』を鮮明に思い出した。

(あ……、あの時と同じ……──!?)

 言葉で聞いただけではなんとも言えないが、セイドにはシンシアの発見された状態と昔見掛けた時のシンシアの状態が同じに思えてならなかった。


「あ……、後ね」

 続けて口を開いたフロンの声に、セイドは我に返った。

「血まみれだったらしいわ」

(血……──)

 セイドは固まった。固まったまま、フロンの言葉だけは聞いていた。

「あ……、でもね。あの娘……、シンシア自体は無傷で、その血も周りで死んでいた民間人の……、血……」


(あの時と……、同じだ……っ)

 リラは唖然。セイドは呆然としている。



 フロンの放った言葉にセイドは確信した。

 15才の時に見掛けた、何故か心惹かれた少女。なんだかとても妙な娘だった。そして、今。またもその『妙』な状態で発見された少女。惹かれると同時に謎も高まる。

(彼女は、一体なんなんだ?)


「その娘が殺したとかかぁ?」

 その時セイドの隣で、リラが割りと軽く言い放つ。その言葉に、セイドは一瞬目を見開き固まる。後、過敏に反応。

「それはないっ! ないないっ、絶対ない!!」

 思わずセイドは立ち上がり、頭からリラを怒鳴りつける。突然のことに、リラはおろかフロンまでも目を丸くしている。

 惨殺死体の真ん中にいた無傷だが血まみれの少女。もしかしてこの少女が……、誰しも思うことである。


 だがセイドは、何故だかリラの言葉を認めたくなかった。

 そんなことはない、と強く思っていた。


「お前……」

 しばし驚いた後、リラはボソッと言った。

「いつになくムキになるな」

「え……」

 リラの言葉にセイドは驚く。思いもしなかったが、言われてみればそうかもなと感じた。

「ハッハーン」

 その時、リラはニヤ〜ッと笑い、うんうん、と何か納得した様にうなづいた。

「な……、何?」

「いや、やっと来たねぇ」

「だから何が?」

 ニヤけるリラに対し、訳のわからないセイド。リラはセイドの肩をポンポンと叩く。

「セイド君の遅い春が!!」

「はぁ!?」

 拳を掲げ力説するリラ。セイドは余りの突拍子のない話題の変化に怪訝な声を上げた。リラはそんなことおかまいなしに力説し続ける。

「お前と知り合ってはや2年! 俺は心配だった訳よ。お前、どんなに可愛い娘見ても、綺麗な姉ちゃん見ても、1ミクロも興味示さねぇんだもんっ。初恋は? って聞いてもまだないっつうし。もしやこいつはモーホー!? みたいな」

「……〜〜っ」

 リラの冗談混じりの力説を聴き終えた時、セイドは声なき声をあげ、キレる。

「誰がホモだー!!」

 セイドの怒りの拳がリラに炸裂。

「それに俺、あの娘のこと好きな訳じゃないよ……」

 セイドはかなり焦りながら言う。

 リラの言う通り、セイドは19才にして初恋もまだなく、女性自体にさして興味もなかった。ゆえにこの手の話題になれていなかった。

「何を言う!」

 リラはセイドの言葉に反論。セイドをビシッと指差し、またも力説する。

「今まで女のおの字も知らなかったヤツが、ここまで女の子に興味示してんだぞ!」

 確かにセイドは、『あの娘』ことシンシアに見とれた経験はあった。が、それが何か特別なこととは、セイドはあまり考えていなかった。

「だ……っ、だって15才の時に1回目が合っただけだよ!?」

 ますます焦るセイドにリラは勝ち誇った様に言う。

「だったら、んなガキの頃に目が合っただけのヤツを、なんで今もなお覚えてんだよ。」

「……っ」

 リラの鋭い指摘にセイドは言葉を詰まらせた。

(確かに、なんでこんなに印象深いんだろうとは思ったけど……、それはあの『妙』な状態ゆえじゃないのか?)

 考えを巡らせて黙り込んだセイドに、リラはなんだか勝ち誇った笑みを浮かべ、はっきりと言った。

「セイド。良く聞け。

 『恋愛に時間は関係ない』、んだぜ?」




(時間は、関係ない……?)



 その言葉は、セイドの中に響き渡った。セイドの中の何かにコトリとはまる。


 あぁ、そうか、と納得するセイド。


(俺は、あの娘のことが……?)




「……うわ、キザ! いっつもそんなこと言って女の子口説いてんの!?」

「フッ。まぁな」

 なんだか込み上げて来た恥ずかしさを隠し、ギャグに逃げたセイド。リラは得意気に返す。


 『俺はあの娘が好きなのか?』、セイドは心の中で自問自答を繰り返す。だけど答えはわからない。経験がないゆえに、恥ずかしさが渦巻く。



「それはそうとフロンさん」

 恥ずかしさから、話題を本題に戻すことにより逃げたセイド。リラは話題を反らすなと怒る。が、セイドは無視を決め込んだ。


「そんな所にいた理由とか……、彼女自身はなんて言ってるんですか?」

 セイドが真剣に言ったのに対し、フロンは口ごもる。

「え……、いや。その……ねぇ」

 フロンは一瞬悩んだ様に言葉を切ったが、すぐ決心したかの様に口を開いた。

「実はあの娘……、地球語を話さないの」

「──!?」

「じゃあ、地球人じゃないんスか?」

 即座に反応したのはリラ。セイドは目を丸くしたまま固まっている。

 次々と現れる彼女の不思議。疑問は消えない。

(あの娘は一体、何者なんだ?)


「地球人かどうかは、まだちゃんと検査してないからわからないわ」

 フロンの言葉にリラが何か思いついて、ニヤけた顔をする。そして冗談混じりに言った。リラのこんな時でも明るさを失わない性格は長所であり短所であろう。


「この宇宙戦争の敵星の刺客だったりして」

「考えられなくもないわ」

 冗談混じりだったリラに、フロンが真面目に、しかも即座に返す。

 ニヤけた顔のまま、え、と驚くリラ。セイドは一呼吸置いてから反応出来た。

「!?」

 反応は出来ても声は出ない。そんなセイドの反応を見て、フロンは静かに説明を始める。


「実はあの娘……、シンシアがあそこにいるのはね、暴れてたからなのよ……」

「──は?」

 隣の部屋で大人しく座っている『シンシア』の印象からかなりかけ離れたフロンの言葉に、セイド、リラ共に目が点になった。


 『シンシア』は昨日、惨殺された人々の真ん中で倒れていたところを発見され、保護された。そしてそのまま戦災孤児として保護室へと送られた。


 しかし、目が覚めたとたんに暴れだしたのだ。地球人にはわからない何処かの言葉を発しながら。

 フロンの目には、その暴れるシンシアの姿は怒っていると言うよりも脅えて見えた。

 ここがどこなのかわからない、お前達は誰なんだ。

 言葉はわからないが、フロンはそう感じ取っていた。暴れている、と言うのも、無差別に傷付けるのではなく、我が身を守ろうとしている様に見えていた。


 因みに『シンシア』と言う名前は、麻酔から覚めてからは打って変わって大人しくなったシンシアに、フロンがダメ元で地球語で名前を聞き続け、やっと発した言葉であった。

 地球語が通じてるのかはわからない。だから名前なのかどうかはわからないが、とりあえずフロンは名前を『シンシア』とした。

 最初にセイドがシンシアの名前をフロンに聞いた際、フロンが言った『たぶん』はこのためだった。


 なんにせよ、暴れるシンシアの力は男3人でも押さえられない程強く、急遽麻酔銃を撃ち眠らせた上で、やっとここに運び込んだんだのだった。


「はっきり言ってあの力は普通じゃないわ。普通の地球人……、とは思えないの。そういう意味で『敵星の刺客』っていうのも有り得なくはないのよ」

 沈痛な面持ちでフロンは語る。セイドはおろか、リラも放心している。話す言葉も見付からず、フロンを眺めつつも目が泳ぐ。

「後ねあの娘がここにいるのは」

 フロンは更に沈痛に語る。瞳が厳しくなる。

「『シア保護反対派』がいるからなのよ」

「な、なんで!?」

 セイドは思わず声をあげ、立ち上がる。思いもよらぬ言葉に我が耳を疑う。

「なんたってあの異常な程の怪力でしょ? それに、あの目……。どう見ても正気じゃないわ」

 言い難そうにも、はっきりとフロンは言う。話を聞いていくうちにセイドの表情は雲っていく。フロンは説明を続ける。

「何より、倒れていた場所。血まみれの姿。──変よ……」

 より一層声を秘そめるフロン。


 『シンシア』は何処を見てるか分からない虚ろな目をしている。『正気じゃない』と言われても文句の言えない瞳。更に、倒れていた場所も姿もおかしいのも納得でき、セイドは反論の言葉が見付からなかった。


「そんなものだから、あのたくさんの惨殺死体はシアがやったんだって意見が強くて……。あの娘を切って捨ててしまえみたいな意見すらあって……。だから私が引き取ったの」


(じょ……)

 『冗談じゃない』と言おうとして、セイドは言葉にならなかった。思わず隣の部屋で座り込むシンシアに目をやる。全身に力がこもる。

 フロンも、手に力を込める。

「確かに変よ? 妙、だとも思うわ。だけど、何の検査もせずにそんな決めつけるなんて……っ。

 駄目よ……っ。させないわっ、切って捨てるなんて……っ」


 このフロンの意見は少数派だった。不思議なシンシアのいでたちに、多くの者が不気味さを感じていた。

 ――何か異質な者――


 ゆえにフロンの言葉に力が入る。気を引き締めなければ負ける、と感じていた。


「フロンさん」

 その時、シンシアを眺めたまま放心して固まっていたセイドがようやっと口を開いた。そして、決心したかの様にフロンを見る。

「俺も協力します! 俺に出来ることがあったら言って下さい!」

 セイドはフロンの目を見て言った。真剣に、切実な想いで。

「冗談じゃない……っ。切って捨てるなんて……っ」


(やっと……、会えたのに……)


 そんな想いが、セイドの中に自然と込みあげてきた。


 まだ会って2回目。15才の時の1度目は会ったとは言えるのかすらわからない。そう考えるとまだ何も交流していない。

 だが、セイドの中で既にシンシアは、大半をしめるほど大きくなったいた。


 何故だかは、セイドにはまだわからない。


 フロンは、セイドの切実な様子にかける言葉が見付からない。

「シアは、絶対俺が守るっ」

 拳に力を込めてセイドははっきりと言った。


「セイド君……」

 フロンはセイドの真剣な思いを感じた。

 そんな中リラは、同じくセイドの真剣な思いを感じはしたが、それを敢えて茶化す。

「ほー……。ねっつれつーぅ」

「ち、違……っ。べ、別に……っ」

「照れるな照れるなっ」

 ──リラはシリアスな空気に長時間耐えられないたちである。




「あーあ……」

 一騒ぎした後、セイドは大きな窓の向こうのシンシアを眺めながら大きく溜め息をついた。

「『地球人じゃない』……、かぁ」

 シンシアのいる観察室は、今セイド達のいる部屋にも大きな窓があり、ドアで繋がっている。

「セイド君……、まだそうと決まった訳じゃ……」

 フロンはボソッと言う。が、セイドは一人考えを巡らせていて聞いていない。

「ねぇ、フロンさん……」

 セイドは窓越しに『シア』を見つめたまま神妙な顔をする。そして静かに口を開く。

「『シア』……、暴れてたって言うけど、今は落ち着いてますね?」

 観察室の中にいる『シア』は、虚ろな瞳で何処か1点を見ながら座っている。今の状態のシアを見ると、暴れていた、という事が信じられない。

「え? あぁ。そうね。麻酔から醒めてからは落ち着いてるわ」

 フロンの言葉にセイドは、ある考えを思い付く。


(と言うことは、今なら近付いても大丈夫かも……?)


「フロンさん……」

 思いたったら居ても立ってもいられず、セイドはフロンの目を見て口を開いた。


「俺に、シアと話をさせて貰えませんか?」

「あぁ、それならドアの隣にインターホンあるから……」

「そうじゃなくて」

 セイドはフロンの言葉を遮る。

 もはやセイドには、窓越しもインターホン越しも、そんな物では我慢出来なかった。

 遮る物が邪魔。


「俺は面と向かってシアと話したい。直にシアと会いたい」


「な……っ」

 セイドの言葉にフロンは我が耳を疑う。そして、思わず椅子から立ち上がり叫んだ。

「何を言うの!? 駄目よっ、そんなのっ」

「なんでですか?」

 慌てるフロンにセイドは静かに返す。止められる事は想像していたから。

「なんでって……」

 不意にフロンの脳裏には、保護室で暴れた時のシアが鮮明に蘇った。

 普通の女の子とは思えぬ力で暴れたシア。大の男3人を相手に対等に、いや、むしろ上回る力で暴れたシア。


 ――危ない――


「また、また暴れるかもしれないじゃないっ」

「そんなのやってみなくちゃ分からないじゃないですか」

「やってみて駄目だったらとうするのよ!?」

「俺達兵士は、体術も一通りこなせるんです。大丈夫ですよ」

 セイドの瞳は必死であった。

 何を言っても聞かないセイドにフロンは軽く溜め息をつく。

 暴れた時のシアを目のあたりにしているからこそ、『シアに近付く』ことは絶対にいけないとフロンは考えていた。

 フロンは自分を落ち着かせ、説得の言葉を選ぶ。


「男3人でも敵わないのよ!? 駄目よっ」

 セイドはシアと直に会ってみたい一心で食い下がる。


「でも、もしかしたらっ、俺のこと……、覚えてくれてるかもしれないし……」

 思わず溢れたセイドの中にある淡い期待。心の中で、可能性は限りなく薄いけど、と思いながら。

 セイドはうつ向き、15の時に見たシアを思い出す。

 拳に力がこもる。


「セイド君……」

 セイドの悲痛な思いにフロンは返す言葉がなくなる。


「それはないんじゃね?」

 セイド悲痛な思いを切り裂くかの様に、リラが口を挟んだ。少し、呆れ顔で。聞きたくなかった言葉にセイドは固まる。リラは呆れ顔のまま続ける。

「だってよ〜、ガキの頃に1回、目が合っただけっ、なんだろ? んなのあの娘にとっちゃなんでもないことだって」

 リラは『だけ』の部分を強調し、冗談混じりの嘲笑をうかべる。

 しばしの間、の直後。

「そんなこと言うなーっ!」

 セイドの怒りの蹴りがリラに炸裂した。


「フロンさんっ。お願いします!」 リラを撃退したセイドは、再びフロンに詰め寄る。

「絶対大丈夫ですから!」

 その後ろで逆襲に燃えるリラ。

「貴様ぁっ」

「うわっ!?」



 数分後、セイドの熱意に負けたフロンが、シアのいる観察室へのドアの前でたじろぐ。手にはフロンの身分証、と同時に(コア)内での鍵である。フロン関連の部屋はこのフロンの身分証とフロンの指紋が有れば開く様になっている。


「ホントに……、行くのぉ……?」

「はいっ!行きますよ〜」

 不安気に弱々しく聞くフロンに対し、セイドはニコニコとごきげん。『遂にシアと会える』、そう思うと自然に顔もほころんだ。


「もうドア、開くんですか?」

「え? いや……、この身分証通せば開くけど……」

 と、フロンはそのカードキーを見せた。フロンは指紋を照合し、後は身分証を通すだけのところで決心がにぶっていた。

 その時、セイドの目の奥が光る。


「ん……?

 わっ」

 セイドは持ち前の運動神経を生かし、早業でフロンから身分証を奪う。唖然とするフロンに、勝ち誇るセイド、更に呆れるリラ。セイドは自分の長身を生かし身分証を、フロンの届かない高さに持ち上げる。


「ちょ、ちょっと〜っ。セイド君は空軍の若きホープなのよ〜っ!? そんな子怪我させたら私、研究所から追放されちゃうよ〜っ」


セイドは『取れるものなら取ってみろ』と言わんばかりに、カードキーを高く上げたまま、ニコニコ顔。聞く耳を持たないセイドに、フロンは奥の手を出す。


「セイド君っ。もしセイド君がシアのとこ行って怪我でもしたら、シア、今度こそ本当に切って捨てられちゃうかもしれないわよ!?」

「うっ」

 フロンの奥の手な一言に、セイドは言葉を無くす。

(そうかぁ……)

 セイドはしゃがみ込む。頭を抱え、考えを巡らす。

(そうだよなぁ……。余計なことして事態悪化させたら元も子もないもんなぁ。

 でも、せっかく会えたんだし話くらい……。でももし悪化させちゃったら……)

 『でも、でも』と考えは堂々めぐり。グルグルと悩んだ後に、セイドの頭に一つの考えが浮かんだ。


(あ、そっか……。もし悪化させちゃったら、

 守ればいいじゃん?)


 ある意味安易。だが、最善のことにセイドは思えた。不本意ではあるがセイドは、戦闘能力は高く、更に『空軍兵士副隊長』と、権力もそれなりに持っていた。

 守れる自信はあった。


「ではっ、シアのとこに行ってきますっ」

 不意に立ち上がるセイド。その顔は自信に満ちていた。

 セイドの言葉にフロンは目を丸くする。

「なっ!

 ちょっとーっ、いい加減諦めてよーっ」

「大丈夫ですっ。俺が何がなんでも守ります!」

「……っ!

 守れなかったらどーするのよー!」


 リラは二人のやりとりを呆れて眺めていた。さも自分には関係ないと言う顔で。そんなリラが目についたフロンは助けを求める。

「ねぇーっ、リラ君もなんか言って〜」

「……リラじゃねー」

「う〜っ。ライアーン〜っ」

「……」

 フロンにすがられ、リラはため息をつく。そして仕方なく口を開いた。

「諦めたらー?」

「そうよ〜っ。ねっ?」

 いまいちやる気の感じられないリラの言葉だがフロンは便乗し、セイドを説得にかかる。リラはそんなフロンの肩をトントンと叩く。


「違う違う。あんたが」

 振り返ったフロンをリラは指差す。フロンはきょとんとする。

「どおして……っ」

 ──ピッピー、プシュー

 フロンの言葉を遮る様に機械音が響く。セイドはフロンがリラの方を見た隙に、シアのいる部屋へのドアを開いた。

「ちょっ! セイドく……」

「はいっ。フロンさん」

 セイドはフロンの身分証をを投げ渡す。言葉なくフロンは慌てて受けとった。

 そしてそのままセイドは、じゃ、と一言残しシアの部屋へと入って行った。


「ちょっと……っ」

 止めようとするフロンの肩をリラが押さえる。必死な顔のフロンだが、リラは笑う。ドアが閉まると同時にリラが口を開いた。

「大丈夫だと思うぜ?」

「え?」

「アイツは、戦争嫌いだけど、戦いの天才だから」




 セイドは、静かに座るシンシアの前にしゃがみ込んだ。窓の外ではリラは呑気に、フロンは心配そうに中を除き込んでいる。シアは、ピクリとも反応を示さない。固まっているかの様に感じる程シアは動かない。

 そんなシアに、多少の違和感を感じつつもセイドは、シンシアの顔を見つめた。


(なんか……、凄い美人)


 まず思ったのはそれだった。


 セイドには、特にシアの目が印象的であった。

 何処を見てるか分からない虚ろな瞳、であるのは確かだが、赤く大きな瞳。綺麗な二重に長い睫毛。……何故赤いのか。普通なら疑問は残るが、セイドにはもはやどうでも良かった。

 後、セイドの目に残ったのは、シアの右耳にのみつけられた赤いピアスだった。


(なんか、シアの瞳の色みたい。でも、なんで右耳だけ?)


 そんな風に、シアに心奪われつつふとセイドは考えた。

(この娘と……、俺?)

 セイドの頭に、自分とシアの並んだ姿が浮かんだ。が、一瞬で怪訝な瞳になる。

(なんか釣り合わない……)


 と、次の瞬間我に返った。

(……って、やっぱ、俺にとってのあの娘……、恋愛対象なのか?)

 答えの出ない自分への疑問、次第にセイドの顔は赤く染め上がった。恋愛事に免疫のないセイド。なんだかよくわからないが、そのよくわからない事をグルグルと考え込み頭がパンクしそうになっていく。


(まだ良くわからんっ。話したこともないのにっ)

 と、強引に自己解決をする。


 セイドは心を落ち着かせる為に深呼吸をした。改めて、シアを見つめる。

 シアの綺麗な赤い瞳。セイドは、吸い込まれそう、と感じた。長い髪、流れるような美しい髪。銀色なのだが、光の当たり具合によっては青味がかる不思議な色。細い華奢なからだ。透き通る様な白い肌。

 目を、奪われる。


セイドは、手を握り締め、意を決してシアに話しかけた。


「あの……、シンシアさん?

 4年位前に俺のこと見たことあると思うんですけどー……、覚えてませんか?」


 努めてニコやかに話しかけるセイド。だが、無反応なシンシア。

「……」

 そんなシアの反応を何となく予感していたセイドは少しうつ向きため息を吐く。

(ま、そぉだよねぇ。んな子どもの頃に一瞬目があっただけのヤツなんて……)


「ナニカヨウカ」


(……え?)

 不意に綺麗な女性の声が響いた。しかしセイドには通じない言葉、地球語ではなかった。

 セイドは目を見開きふと見上げると、ずっとうつ向いたままであったシアが、顔を上げセイドの方を見ていた。


「!?」

 声にならない声を上げるセイド。窓の外から様子を見ていたリラとフロンも目を見開いた。


(もしかして……、今の……。)



 ――シアの声?――






─────第1話 【白き少女─神秘(ミステリー)─】 終了

ここまで読んで下さりありがとうございます。

長期連載になる予定です。よろしければお付き合い下さい。


まだまだ初心者です。

よければアドバイス等、辛口な批評を頂けると嬉しいです。

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