第三話 姫との初見
間を空けて申し訳ありませんでした。
では続きをどうぞ。
ガタゴト・・・・。
中継・・うぇ・・・でーす・・・・うぅぇ・・・。
・・・・・うぇ。
今馬車で王都(嘔吐)に向かってまっしぐらでーす・・・・・・おぇ。
かんぜんによいまし・・・・うぇ・・・た。
「君はさっきから何をやっているんだ?」
「見てのとおり、乗り物酔いです・・・・・・おぇ。」
「ここで吐くなよ。」
なら馬車を止めてほしいのだが・・・・。
ちなみに俺のことを『君』と呼んだのは、俺とあまり変わらない青年。
位は救護隊長らしい。
吐くなよと忠告してきたのが隊長だな。
あの子は別の馬車に乗っているらしい。
・・・・・ちょっと残念。
「もう少し我慢してくださいよ」
と救護隊員。
悪いが持つのはあと五分程度だぞ。
・・・・うぇ・・・・気持ち悪ぃ・・・。
「あと・・おぇ・・何分くら・・・・うぇ・・で着きますか?」
「分っていう単位がどんなもんか知らないが。」
単位の基準が違うのか?
「あと少しだ。」
アバウトすぎますよ隊長さん・・・・。
・・・・・・おぇ・・・。
俺は普段車じゃ酔わないんだが・・・・。
揺れすぎだぞ、この馬車・・・。
「吐きそうなんで・・うぇ・・すけど・・・・・・?」
ん?止まった。
「着いたぞ。」
俺は隊長達に連れられ外に出る。
その瞬間俺は圧倒されていた。
都市のでかさと華やかさに・・・。
「ようこそ。ここが王都『ルディアス』だ。」
隊長が言った。
「別名では、『幻想都市』とも呼ばれてるけどね。」
例の救護隊長。
「幻想都市?」
「そう。ここは遠くから見ると蜃気楼やら何やらでほとんど見えないから。」
そうなのか。
だからあの高い位置にある草原から見えなかったのか。
「さぁ、もたもたするな!」
「ちょっ!?どこ行くんですか?」
「どこってこの国の王の元に決まっているだろう。」
左様ですか?
またもや半ば強制的に連れて行かれた。
王の前に出るのにこの服はどうかと思うが・・・・。
「待たせているからな、着替えなくてもよいそうだ。」
とか言われてそのまま・・・。
謁見の間の扉の前まで来ちゃったよ。
「お前はここで待っていろ。」
先に隊長格二人が入っていった。
しばらくして戻ってきた。
「よし。入れ。」
といっても俺あんたらに縛られてるから・・・。
連れて行かれるしかないんだけどね。
王の玉座の数メートル離れたところに立たされた。
横には王妃様かな?
あれ・・・・もう一人いる?
って・・・え?
あの子さっき草原にいた娘じゃん!
姫様だったの!?
「主か?あの忌々しいヴァンゴを一撃で葬ったというのは・・?」
王様が口を開く。
って王様声高っ!威厳がねぇ!
俺がキョトンとしていると王様が笑って言った。
「私の声のことか?」
「い、いえ・・・そういうわけでは・・・。」
「気にせんでよいぞ。私の声はこの国の名物だ。」
自分で言っちゃうんだ。
「まぁ、この話はよい。」
「はい。」
「どうやって葬ったのじゃ。」
縄が解かれた。
隊長のほうを見て、隊長がうなずいたので、鞘から刀を抜いた。
ちなみにこの鞘は馬車の中で酔う前に作った。
「何だその武器は?」
「これは刀という武器です。」
「刀・・・?」
「はい。俺の国の伝統的な武器です。」
言い切る前に王様が立ち上がり俺の方へ少し近づいた。
「どのように使うのだ?」
「突くためのものではなく切るために使います。」
「大剣と同じか・・・?それにしては細すぎぬか?」
王様は何か指示を出した。
すると兵士の何人かが大きな木の幹を持ってきた。
「これを切って見せよ。」
俺は頷く鞘を下に置き最上段に構えた。
そして、刃筋を少し寝かして一気に袈裟懸けに振りぬいた。
「どうしたのだ?」
1拍遅れて大木の幹が斜めにずり落ちた。
王様は目を見開いていた。
「切り口がきれいだな。」
大剣は叩ききるから、断面がボロボロになる。
しかし刀は切り裂くや引き切るに近いから断面がきれいになる。
「刀とやらを少し貸してくれんか?」
「はい。」
俺はいったん刀を鞘に納めて、王様に渡した。
「意外と重いな。」
不純物ゼロの鉄(表面はチタンコート)だからな。
王様は二回ほど素振りをして、鞘に収め返してきた。
「振りにくくないか?」
「俺は慣れてますから。」
・・・・・・・・・・・・・・。
しばらくして王様は声を発した。
「この者の私に対する態度から悪意はないと判断!」
みんな静かに聴いている。
「よってこの者を釈放する!」
「ありがとうございます。」
城の中庭に出た。
そこにはさっきの少女、もとい姫様がいた。
次回をお楽しみに!