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 犯人は私達の誰か。ヴァルドから叩きつけられた信じがたい事実。

 そんなわけがない。魔王討伐という目的の元、苦難を共にしてきた仲間を殺した者がこの中にいるだと?


 違う。犯人は別でいる。そう口にしたかった。だが出来なかった。

 言葉にするのは簡単だ。だがヴァルドの言葉を否定する根拠や材料がなかった。


 ーー思い出せ。思い出せ。


 必死に記憶を叩き起こす。ガレスが死んでまだ数時間しか経っていないのだ。そのたった数時間の間に事件は起きた。この間に真実がある。


「ガレスがいつ殺されたかを特定すれば、自ずと真実が見えるだろう」


 ヴァルドは言いながら倒れているガレスの元に屈みこむ。


「いびき」

「ん?」

「あのバカでかいいびきはいつ止まった? それが分かればガレスが死んだタイミングを絞り込める」


 なるほど。これは大きな手掛かりになる。


「最初の一時間、ずっとガレスさんのいびきは聞こえてました」

「リシアの証言は正しいだろう。あたしも初めうるさくて三十分程度は起きていた。その後リシアに起こされたタイミング、そこからガレスを起こす直前まで気持ちよさそうにいびきを奏でていたよ」

「その次は私だ。すっかり眠りに落ちた私をガレスに起こされた。交代後、さほど時間も経たずに隣からガレスのいびきが聞こえてきた」

「なるほど。少なくとも一週目の時点ではガレスはまだ生きていたらしいな」


 ーー……あれ?


 妙な違和感が脳裏を走った。

 おかしい。何かが明らかにおかしい。一度生じた疑問は瞬く間に頭を埋め尽くしていく。


「あり得ない」


 ヴァルドが静かに呟いた。先程までの鋭く冷徹な言葉に比べるとどこか弱さを感じる声だった。ヴァルドは冷静に努めようとしていたが、明らかに声が揺れそこに動揺が感じ取れた。 


「スクエアは、あたしの記憶の限り二週以上はしている」


 ヴァルドが頭を抱える。


「くそ、あたしも相当疲れていたようだね。こんな事にも気付けないなんて。そもそもスクエア方式には重大な穴がある」

「穴?」

「四人では成立しないんだ」


 そうだ。私もさっきようやく気が付いた。

 スクエアは本来一周しかできないのだ。隅から隅への移動は私で終わり、その次はないはずなのだ。  


「レオン。スクエアについてよく思い返してほしい」


 背筋に寒さとは違う別の寒気が走った。


 ーーじゃあ、私は。


「え、じゃあ私は一体……?」


 リシアが恐怖に震える。

 ヴァルドによって山小屋の空間は密室が証明された。だがここで致命的な矛盾が生じた。そしてその矛盾は、四人では成立しないというスクエアの方式を成立させていた。


 ーー私は誰を起こし、リシアは誰に起こされた?

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