大噴火
「どうして私が嫌だって言ってることするの?どうして私の嫌がることするの?やめてって言ってるよね?」
ヨシト「だから!これは!俺が俺に向けての誕生日プレゼントとして買ったんだ!共有の財布からは出してないんだから別に良いだろ?結局リコも使うんだからありがとうって言って使って楽すれば良いんだよ!」
キッチンにドーンと置かれた食洗機。
真っ白で眩しいくらいにピカピカしている。
正直に言って作業スペースが狭くなって邪魔でしかない。
楽したら良いってなに?恩着せがましいにも程があるでしょ。
「食洗機可の食器はどれか区別してるの?食洗機用の洗剤は?食器をキレイに洗う食洗機自体の掃除の仕方も大丈夫?私は使わないから。ヨシトが食洗機の手入れもしなよ。」
ヨシト「なんだよ。素直にお礼も言えないのかよ。可愛くねーな。説明書読みながらやるっつーの。」
「そう言って斜めドラムの洗濯機の手入れ、全くしてないよね?2人のことなのに、何で私だけがするの?」
ヨシト「それは俺より…」
「気付いた人がやれば良いんだよねぇ。ヨシトは気づかなさすぎだよ。洗濯機の掃除も、洗濯洗剤の在庫の管理もそう。同じ物を見てるはずなのに、見えてないのが本当に不思議なの。それとも本当に見えてないの?勝手に洗濯洗剤と柔軟剤が補充されると思ってる?どこに収納してるか知ってる?在庫がどれくらいあるか把握してる?何のメーカーの洗濯洗剤使ってるか知ってる?どこのお店が特売セールしてるか知ってる?洗剤の値段の比較したことある?現実を見ようとしてないの?ねぇ、朝から晩まで仕事してしんどいのはお互いそうでしょ?家事しなきゃいけないのは、一人暮らしだろうが二人暮らしだろうが一緒でしょ?何で私は一人暮らしの時より家事の量増えてんの?何でヨシトは家事の量減ってんの?私は、2人で家事したらすぐ終わるもんだと思ってたよ。ヨシトはさぁ、私のこと、家政婦かハウスキーパーか奴隷だと思ってない?私ヨシトの世話焼き係じゃないんだけど。母親みたいに世話する係じゃないの。そんなに世話してもらいたいなら実家に帰ってお母さんにお願いしなよ。それもお願いだよ?母親でさえ「お願い」することなのに、何で彼女の私には無言でやらせるの?おかしくない?週1回2回しか洗い物しないくせにでかい口叩くんじゃないわよ。」
一気にまくし立てるように言った。
一切後悔はしてない。
ピカピカの食洗機がキッチンで威圧感を放っている。
ブチギレて捨てに行かないだけ感謝してほしいくらいだ。
ヨシトは黙っている。
何とか言えよ。それとも何?今すぐ実家帰んのか?食洗機は持ってけ!
長く重い沈黙にイライラしながら口を閉ざしていた。
ヨシト「俺はリコの負担を少しでも減らそうと…」
「洗濯だけでなく、斜めドラムの洗濯機の手入れも押し付けて?知ってる?ヨシトの服ってほとんど乾燥機駄目なの。その洗濯表示も全部確認して、覚えて、仕分けて、洗濯してるの。何が楽なの?言ってみてよ。」
ヨシト「何だよ…気にせず全部つっこめば良いだろ。」
「じゃあ、自分で全部つっこんで。これからは洗濯は完全に別々にしましょ。これで万事解決。」
ヨシト「それは困る!何でそうなるんだよ!洗濯と料理の役割分担の意味ねーだろ!」
「役割分担?自分がどれだけ負担を背負ってるつもりでいるのか知らないけど、せいぜい2割くらいでしょ。笑わせないで。洗濯は別、ご飯も別にしましょう。私の物は食洗機に入れないで。そもそもこの家の食器が食洗機に対応してるかどうかも分からないし。対応してない食器を入れたら、割れたり溶けたりするらしいから気を付けた方が良いわよ。」
本当に同棲なんてするんじゃなかった。
私は後悔しながら自室に入った。




