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子分
タキちゃんが村長の息子といっしょになったとき、みんなはタキちゃんをうらやんだ。
たしかに村長の家は大きいし、ほかの家にくらべて金も人もあっていいなあとおもったが、ときどきみるタキちゃんの顔は、どんどん疲れて、はやくとしをとっていくようだった。
そういうタキちゃんをみると、なんだか勝ったような、すっきりとした気になるのだ。
夫にそういうと、鼻にしわをよせるようなわらいをうかべ、「おめえ、ガキんときからタキに、子分みてえにつかわれてたからなあ」とわらわれた。このあたりの子どもは、すんでいる浜がちがってもいっしょにあそんで育つので、みんな幼馴染だ。
「 『子分』?」
まあ、タキちゃんのほうが、年がうえだ・・・
「おめえはそうやって、ぼうっとしよるから、タキもいうこときかせやすかったんじゃろ」
いうことを?
―― きいただろうか?




