表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏の《百物語会》 ― 人魚のはなし ー  作者: ぽすしち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/32

だれをうらなう


「ち、ちがう、タキちゃん、あたしもあんとき薬をわたそうとおもうたんじゃ。でもな、むかし、村長のところのウラカタをする婆様にいわれたことをおもいだしたんじゃ」




  『 おまえはそれをこどもにやろうとするが、やめておけエ。

       いまと変わらず用心しておけえ、用心しておけえ 』




「 ・・・ああ・・・。なんじゃ・・・、あんたに言われとるおもうたん?あんたに?だって、『いまとかわらず用心』しろゆうたじゃろ?それを、・・・おもいだして・・・?」


 タキちゃんが泣きながらいきなりわらいだす。

 わらいがおおきくなって、こえをだしてわらい、からだをゆらし、くびを前にふってわらう。


「 はあ?どうしたってあんたじゃなかろオよオ、それをおもいだしたア?あんたがア? ―― あんたも、あの婆さんのゆうたことを?『用心』して薬をわたさんかった・・・」



 ひどく楽しそうにわらい、あたしをみた。



「 ・・・うちも、ほんとうはあの肉入りの粥なア、うちの子にやろうかどうか、ものすごオまよおたンよ。殿様の薬じゃゆうたら、きっとからだにいいもんじゃ。 ・・・だけどなあ、あのウラカタの婆さまのことばをおもい出してなあ・・・。ありゃあ、あんたにじゃなくて、こっちにむけて言っておったんよ。ほら、うち、むかしっから『用心』しとるから。 ・・・あんたが、やっぱり薬をくれんから・・・あの、『肉』いりの粥も、まずはあんたにやって、どうなるかみて、『用心』しようおもうてなあ。だって、 ―― あんたより、あの《薬売り》のほうが信じられるとおもうたんよ」


 タキちゃんはこえをひそめるようにして、あたしをわらった。





「 そうじゃろ? あの《薬売り》は、ここで『人魚の親子』がとれたのをおしえてくれて、うちがひろったこどもの頭も、その『人魚の子ども』じゃゆうて、あんたらがかくしてたことを教えてくれた。ひろったあの子どもの頭もな、あんな岩場にうちあげられておったのに、顔にひとつも傷がなかったんよ。ふつうの水死体じゃねえとおもうたわ。 ―― たくさん嘘をついとるのは、あんたのほうじゃ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ