葬儀
七、
熱もひいてすぐにもとのように働けるようになり、また、まえとかわらない日がもどったが、村長の家にになんだか人のでいりがあって、落ち着かんね、と女たちではなしていたら、つぎの日の夜、タキちゃんとこの一番下の子が死んだ。
葬儀は、村の者みんなで手伝うので、あたしも行った。
タキちゃんは上の子ふたりを両腕にかかえて、泣き疲れたように、ぼうっと座っていた。
声もかけられず、ほかの村からも来る弔問の客が多いことに驚いて、いそがしく働いているあいだにおわり、つぎの日、棺がかつがれて墓へゆくのを見送ったときも、列の後ろの方に親族にささえられるように歩くタキちゃんに、ちかよることもできなかった。
あの薬を渡していたら、あの子は死なずにいただろうか?
そのことだけが頭をまわってはなれない。
じつは、あの薬はじぶんで飲んでしまっていた。
タキちゃんのところで粥をたべて帰ってきてから、きゅうにからだのふしが痛みだし、熱がでて、からだの中から頭の中までゴウゴウと燃えるように痛み出し、このままでは死ぬかもしれないとおもいながら、あの薬を飲んだ。
すると、嘘のように頭の痛みもおさまり、ほかの具合もよくなって、次の日にはおきれるほどになっていた。
夫は、おれのいないあいだにフグでも食ったか?とはじめはわらっていたが、こちらのうめき声をきいて夜中に医者をよんでくると言い出したのをひきとめ、あの薬をだし、前に医者にもらったものだと嘘をいって飲ませてもらった。
もともと医者の薬はすべてありがたいと思っている夫は、それで具合が急によくなったのも不思議におもわなかったようだ。




