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裏の《百物語会》 ― 人魚のはなし ー  作者: ぽすしち


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17/32

そのまま




 六、



 男をのせて小舟が島からもどったとき、浜の女たちは手に手に棒や網を持ち、まちかまえていたが、この男には手をださないよう首をふってみせた。



「 やれやれ。ここのおんなたちはたいしたもんだ。おとこたちも安心して漁にでられる」


「このままかえれ」



「 『このまま』かえるさ。 ―― 世話になったねエ。こういうはなしをてみじかにできるなんておもわなかったからねエ。たすかったよ」

 男はかかえた木箱をだいじそうにたたいてみせ、あつまった女たちをみまわした。

「さあ、人魚はこのとおりあたしが掘り出してもってゆくから、もう祟りをこわがらなくてもいい。あたしが、ちがうところでしっかり供養するさ」

 そういって木箱を背負いなおすと、もう後ろもふりかえらずに去っていった。



 あたしが、男たちは決して人魚のむくろをほりかえすことはないのだから、このことはだまっていようとみんなにいいきかせ、浜でいちばん年寄のばあさまもうなずいたので、海の神様のほこらのうらには、『そのままニンギョが埋めてある』ことになった。



 男たちはまだ船に塩を盛っていて、女たちに海の神様の祠へ、線香をあげるようにいいつけるので、みんなだまって従っている。




 あたしは、―― あの男にもらった薬を、タキちゃんにわたそうかどうか、まだ迷い、懐にいれたままだ。



 センニンがつくったなんにでもよく効く薬なんて嘘くさいものを、飲ませてもいいのだろうか?だが、その効能がもしほんとうだったなら、いつもタキちゃんの背でぐずっているいちばん下のあの子は、元気に大きく育つかもしれない。



 そうしたらあの子も、あたしとタキちゃんがいろんなところへ足をのばして遊んだように、遊べるだろうか・・・?



 いや、・・・



   『 十をすぎたらいいかもしれねえが、

       それより下の子にやると、逆に死んじまうことになる 』



 あの子はまだ、三つにもなっていない。




 でも、この薬をぜんぶやることはない。ひとなめだったら?いや、もっともっとすこしでいいのかもしれない。あの、ゴマ粒ひとつなら?それならちょうどくらいか?





 いや、  でもやはり あの男はあやしい。







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