表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏の《百物語会》 ― 人魚のはなし ー  作者: ぽすしち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/32

うそくせえ


「 もし、あんたが教えてくれたなら・・・。そうだな、なんにでもよく効く薬をやろう。死にそうな病人もとびおきるような効き目だ」



「嘘くせえ」



「そう、嘘くさい薬しか売っていないからねエ。 だが、これの効き目は本当だ。とあるオクニのお殿様に売るはずだったが、渡すより先にカタナで死んでしまってねエ」



「そんな高い薬をくれようってほど、・・・ニンギョは高いンか?」



「おや?あんた、頭がわまる女だな。ここを仕切ってる旦那の娘ってところか?まあ、いいか。 よくきいとくれ。 人魚はいまは漁師にしか知られていないが、こののちに世の中に名もしられ、その肉の効能も知られるようになる。生きたのをとらえて見世物になるが、まあ、すべて偽物だ。あんなバケモノ、人が捕らえられるわけねエ。ともかく、そんなで名がしれればたしかにこれからもっと高くなってゆくだろなあ。 だがねエ、この薬より高くなるなんてことはねえ。なにしろこりゃ、センニンがつくった薬だ」



「うそ」



「くせえ、って思うなら、まあ、このはなしはここまでだな。 ―― あたしは男たちが漁からもどるまで、あんたらがどこかに埋めた人魚をさがしまわるってだけだ。 でも、あんたがはじめからその場所を教えてくれりゃあ手間がはぶけるとおもって、声をかけただけさアね」



「 埋めたなんていっちゃいねえ」



「いいや、埋めただろう。 漁師が持ってかえれるのは、死にかけの人魚だ。おかにあげておけば、どのみち死ぬ。祟りをおそれて、どこかに埋める」


 じっとこちらをみる男の目は、わらっていた。




 あたしのことを。


 この浜を。


 漁をする男たちを。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ