表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/57

チャンス

61



「…アイ?」



 翌日の昼休み。部室でぼーっとしながらお弁当を食べていた私に、カイトが声をかけた。



「…ん? 何?」



 気づけばレンのことを考えてしまう。それが嬉しいような、恥ずかしいような…。



「今日はすごい上の空だね」



 困ったように微笑むカイトに、私もエヘヘと笑い返す。



「もしかして…レンが好きって、自覚したの?」


「………はぁ!?」



 あまりにも真正面から、ドンピシャで当てられて、わなわなと唇を震わせる。顔も熱いから、真っ赤になっていると思う。リンとカノンも、目を見開いてカイトと私を交互に見ている。



「ふーん。図星か…」



 カイトは面白そうにニヤニヤとしている。



「そ、そんなに…分かりやすいかなぁ……」



 それとも、カイトが鋭すぎるだけ?



「まあ、それなりには? で、いつ告白するの?」


「へ!?」


(そっか、告白…)



 素っ頓狂な声を上げてしまったが、よくよく考えてみればそうだ。私はレンに告白された状態で、今はその返事を保留にしている。彼のことを考えれば、すぐにでも返事をするべきだ。

 でも、自覚したばかりで…そんなことできる? 今までまともに恋愛したこともないのに?



「アイの気持ち、どんな形でもレンにはちゃんと伝わるよ」


「カイくん…」


「アイ先輩、告白するなら早いほうがいいですよ!」


「リン…」


「アイ先輩、頑張ってください」


「カノン…」



 それぞれから慰めと、背中を押す言葉を言われて、私は胸が熱くなる。こうやって、応援してくれる人がいるからこそ、勇気が湧いてくる。



「うん、私頑張る!」


「あ、あの時みたいに挙動不審になるのだけは勘弁してくださいね」


「! リン、いつも一言余計!!」
















 気持ちを自覚してから初めて会ったレンは、とても眩しかった。



(あれ、レンって…こんなにかっこよかったっけ)



 そんなことを考えた自分に対して、すごく恥ずかしくなる。当たり前のようにレンはいつも通りで、でも私にとってはいつも通りじゃなくて、上手く会話をできているのかも分からない。レンと話すの、緊張する。でも、レンがこっちを見て笑ってくれるのが、嬉しい。



(なにこれ、私レンのこと…めっちゃ好きじゃん!)



 好き———って言ったら、レンはどんな反応をするだろう。彼の顔を盗み見て、勝手に口角が上がる。


 喜ぶかな。嬉しいって笑ってくれるかな。俺も好きだよ…なんて言ってくれたり…。



「…アイ?」


「へっ! はい、何でしょう!」



 レンの話をちゃんと聞けていなかった。私は慌てて現実に戻り、元気よく返事をした。



「ああ、いや…別に大したことは話してないんだけど…」



 告白するなら早い方がいい、というリンの言葉がちらついて、そのことばかり気になってしまう。早いってどれくらい? もう今日伝えたほうがいいのかな?



「あの…今日、俺たち先に帰りますね。後は、お二人でごゆっくり」


「え、リン…?」



 リンを見ると、呆れたような表情に少しばかり応援の眼差しを含ませて、こちらに頷いてきた。これは…もしかしなくても、告白のチャンスを作ってくれているのでは?



「二人とも、もう帰るの?」



 いきなり帰る宣言をした二人に、当然ながらレンは驚きの表情を見せる。



「はい、まあ。たまには…良いですよね?」


「それは…もちろん」



 別に私たちの部活は厳しいわけじゃない。ただ自然とみんなが集まるだけだ。だから、たまにはこういう日があってもいいと、レンも納得したのだろう。



「じゃあ…また明日」


「お疲れ様です」



 リンとカノンがペコリと頭を下げながら部室を後にするのを、二人で見送った。

 その直後、部室の様子を見ていたかのようなタイミングで、カイトから連絡が来た。



『今日、僕は先に帰るから。アイも頑張って』









 さあ、舞台は整った。整ってしまった…必然的に!


 これを逃したら…次のチャンスがいつ来るか分からない。

 気を利かせてくれたリンとカノンのためにも、背中を押してくれたカイトのためにも…私は、伝えなければ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ