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初めて(既プレイ)の限界突破

ゆっくり更新

頑張ります。

ついでに召喚キャラの標記を若干修正

 ミルが急に後ろから肩を組んでくる。


「おわっ。やめてくれよ、びっくりするだろ。」


「びっくりさせてるのさ。さぁ、今日はもう遅い。あたしのおすすめの宿を見繕ってやるから、さっさと素材を売ってきな?」


「え?ああ、ん?」


 チュートリアルクリア!

 ギルドに登録しよう。

 報酬:召喚石3個


「どうしたんだい、買取はこっちだよ。」


(よし、チュートリアルクリア。確か、チュートリアルはあといくつかあったはずだ。やっと召喚石ゲットか。後で、召喚しよう。)


「ああ、今行くよ」

(魔物の素材は限界突破に使わないのか?いや、当座の資金は必要だ。レアドロ以外は売ってしまうか。)



 移動した先はカウンターの横の通路を進んだ場所で、天井が高く地面が土の広い部屋だった。


「ここは解体場兼買取所だ。獲物を持ってるってことだったけどどこにあるの?」


「ああ、ストレージだよ。どこに出せばいい?」


「ああ、ストレージの中に閉まっていたのか。だけど、これからは貴重品だけを入れるといいぞ。あれは容量が小さいからなぁ。」


「え?そ、そうだったな。いや、レアドロップだけ入れてあるんだ。容量が小さいから売れそうなものだけでもって。」

(容量が小さい?どう考えても微風の林で、ドロップしたやつは多い。これは知らせない方がいいかもな。)


「ああ、なるほど。そういうことか。だが、レアドロップは極力売らない方がいいんだが、あれは召喚体の限界突破に使えるからな。通常ドロップは、武装の素材にしかならないから売るか、それで防具とかを作るとかだな。」


(な、なに?通常ドロップが限凸に使えない?冗談じゃないぞそれは。これは1度試してみるしかないな。)


「まじか、限界突破はしにくいんだな。」


「ああ、限界突破はとてつもない可能性を秘めてはいるが、成長限界もあるんだ。Rでも、3回しか出来ないと結論付けられているのさ。」


(存在深化も、知られていないっぽいなこれは。いやもしかしたら秘匿されている可能性もあるか。)


「ああ、でもミルにおんぶにだっこのままじゃダメだからな。値段次第で売ってしまうよ。」


「おお!それはありがたいぜ。召喚師はレアドロップをほぼ買取に回さねぇからよ。属性を付与できる素材をドロップするのは召喚師しかいねぇってのに余っても仲間内で回しとるからな!レアドロップは属性付与率が他のより断然高いから他の職業からも需要が高ぇってのに。」


 そう大声で話すのは頭2つ分ほど背が低い代わりに全身に筋肉が付きまくって樽のような体になっている、ドワーフの男だった。


「仕方ないだろう。あたし達も命はってるんだ。生存率を高められるなら他に回してる余地は無いのさ。」


「そんなことはわかっとるわい。ああ、自己紹介がまだだったな。俺はドワーフのマンガイ。解体師だ。で?何を持ってきたんだ、あんちゃんは。」


(1番多い風イタチのしっぽでも出すか。とりあえず様子見で、1つにしとこう。)

「あーっと、これですね。」


 胸に手を当てて、風イタチのしっぽを取り出す。


「おお!!これは風イタチのしっぽか!あんちゃん相当運がいいな!なかなか出ないやつだぞこれは!これなら、かなり高い値が着くだろう。ミルの紹介する宿だったら1ヶ月は暮らせる値段になるぜ。」


「お、おいおい!そんな物売りに出すんじゃない!自分のために使うべきだ!あの素早い風イタチを倒すのはいくら体力が最低に近いからと言ってかなり難しい。それにさっき門で見たあんたのリビングウェポンは風属性だろ?尚更あんたのために使うべきだろう。宿なら1週間程度なら私が立て替えてもいい。」


 喜ぶマンガイと、焦るミルの対照的な光景に驚く。


「あ、あーいや実はもう1本あるんだ。だから大丈夫だよ。ミル。」


「え?ああ、え..?あんた、かなり運いいんだね。それか、それだけ多く狩ったのか。まぁ、あんたがそういうのならいいさ。好きにしな。」


「1本だけでも売りに出たんだ。もう片方については別になんも思わん。さて、少し待っててくれ。査定を出してくる。」


 そう言って解体場に併設された事務所に入っていくマンガイ。


「あんた、豪胆だな。じゃあ金が入ったら早速宿に行こうか。」


「ああ、そうだな。いくらになるか楽しみだ。」

(ゲーム時の値段は200ダラくらいだったかな?)


 そうすると、すぐマンガイが帰ってくる。

 その手にはかなり脹れた小袋とほとんど中身の入ってない小袋の2つを持っていた。


「今、ちょうど相場表を作っていたところでな。ほれ、風イタチのしっぽ1本。締めて4000ダラっちゅうところだわい。こっちは1000ダラ硬貨3枚に100ダラ硬貨が5枚、こっちは10ダラ硬貨が、50枚だ。確認してくれい。」


「しっぽ1本4000...?」


「ほら、あんたはあれの価値がしっかり分かってなかったんだよ。」


「返せって言われとももう遅いぞ。」


「いや、言わないけど、まじか。じゃあ、確認を。」


 萎んだ小袋の中には金貨が3枚、膨れた小袋の中には

 銀貨が5枚と、銅貨が50枚きちんと入っていた。


「まじか。」

(嘘だろ。20倍だぞ、ゲームの時とは勝手が違いすぎるな。しかも、Cのレアドロでこれはかなりやばいだろ。)


「あんたは、呆けるのが好きだね。さ、いくよ。」


 ミルに連れられて宿へ向かう。

 外はもう暗くなりかけていた。


「さ、着いたよ。ここがあたしの定宿、灰銀のしっぽ亭さ。」


 木の骨組みと石で組み合わされた温かみのある外観に軒先に木に猫のような模様が

 彫られた看板が掛けられている。外観から見るに、3階建てのようだ。

 添え付けられた分厚い木のドアを開けると、

 1階の食堂兼受付は人であふれていた。


「いらっしゃいませ~!宿泊ですか?お食事ですか?お食事ならお席にご案内しま~す。」


 片手には木のジョッキ、もう一方に皿の乗ったお盆をもって、顔だけこちらに向けた美少女がいた。

 深い海のような紺碧の髪に翡翠色の目が吊り下げられたランタンや暖炉の光で、

 宝石のように輝いている。

 長い丈のチュニックにベストを羽織り、赤いバンダナで髪を纏めている。

 机と差し出される酔っぱらいの手を華麗に避けながら注文された品を運ぶ様は

 まるで踊り子のように可憐で余裕のある服の上からでも分かるほどの曲線美はなるほど

 酔っぱらい達が手を出してしまうのもわかる代物だった。


「いや、宿泊でよろしくね。ルシルちゃん」


「あれ?ミルさん?ああ、その人が宿泊ね。ならあちらへどうぞ~。お母さ~ん宿泊だよ~。」


「はーい。今行きます。」


 奥から楚々と出てきたのは、これまた美人だった。

 ルシルと呼ばれた少女と、同じ紺碧の髪と薄く開けられた瞼の奥には深い藍の瞳が見える。

 とても柔らかい雰囲気を持っており、強い包容力が感じられる。

 先ほどの少女を大人にしたかのようで、また違う魅力を醸しだしている。

 なお、曲線美は少女より強く主張している。


「はい、お待たせいたしました。一泊150ダラになります。一か月以上の連泊ならお安くいたしますよ。途中から、延泊なさる場合でも大丈夫です。お部屋はどうされますか?」


「あ、じゃあ...。」


「とりあえず、10泊にしておけば大丈夫だろう。途中で他がよくなれば、止まらなかった分は帰ってくるしな。まぁ、残念でもあるが。」


「じゃあ、10泊で。部屋は...。」


「私たちは、睡眠は必要ございませんが、気になるようでしたら保管石に戻っておりますよ?」


「ああ~流石に部屋を分ける余裕はないな。男同士だしいいか、一緒の部屋で。」


「かしこまりました。では、1500ダラとなります。これから、お食事にされますか?それとも、お部屋に行かれますか?」


「食事にします。いいよな、ミル。」


「ああ、そうしようか。」


「では、ご案内します。」


 案内された席に着く。


「おーい!ルシル、まずはエールを、2...。」


「いや、4杯でお願いする。二人も飲むだろ?」


「おや、私たちは主の魔力で稼働しておりますので食事は必要ではございませんよ?」


 驚いた様子で返すミネルバ。


「いやいや、流石に何も食わん二人の前で飲み食いはできんよ。もちろん食事も頼んでもらうからな?」


「呵々、これは豪気な主じゃあ。では、お言葉に甘えるとしようかの。火酒はあるかの?」


「ダビラ、あまり主様の慈悲に甘えすぎてはいけませんよ。」


「ははは、いいさ。じゃあ、エール3杯にあれば火酒を1つ。」


 そこに、注文の品を運び終えた様子のルシルが寄ってくる。


「エール3に火酒が1ね~。食事は、マルマル鳥の香草焼きとヒルブルの煮込みがあるよ。」


「じゃあ、俺はマルマル鳥の香草焼きにしようかな。」


「あたしは、煮込みで。」


「二人はどうする?」


「儂は、香草焼きかのぅ。」


「では、私は煮込みでお願いいたします。」


「はい、かしこまりました~。」


 元気のいい声で厨房へ消えていくルシル。

 さほど時間を置かず、飲み物が配膳される。


「はい、ルーキー誕生に乾杯!」


「「「乾杯」」」


「くぅ~。疲れた体に効くな。」


「料理お待たせしました~。」


「お、来たな。」


 マルマル鳥の香草焼きは、なんとでかい半身が皿に盛られており、

 これだけで二人前はありそうなボリュームだ。

 絶妙な火加減で火入れされた肉は、溶けた脂でコーティングされており素晴らしい照りを纏っている。


 ヒルブルの煮込みは、でかい一枚肉が深皿に盛られスープに浸かっている。

 こちらは、少々スパイシーな香りが漂い、胃を刺激する。


「早速食べますか。」


 まずは、マルマル鳥を一口。

 初めは、ソースに使われているであろう果実の爽やかな香りが鼻を抜ける。

 その後、鳥の旨味がバチンと弾けて口の中に甘い脂が広がっていく。

 噛めば噛むほど香草の上品な香りが滲みだし、ソースと相まって昇華していく。


「美味いな、これは。」


「ああ、ここは防犯がしっかりしているのもあるが、とにかく食事が美味いからね。それもおすすめの理由さ。」


「呵々、これは火酒にも合うの。」


 よっぽど、腹が減っていたのか、数刻もせずに食べきってしまう。


「ふぅ。食った食った。」


「はは、いい食べっぷりだったよ。で、明日はどうする?見るに、武器は召喚体で何とかなるだろうけど防具は今着てる、服ぐらい見たいだけど。」


「あ、いや正直な話これ以上世話になるのはって思っていてな。とりあえず、明日はギルドの依頼を受けてみようと思ってるんだ。危険の少ないやつを中心にな。」


「む、そうか。親切を押し付けるつもりは毛頭ないからな。また、何かあれば会えた時に言ってくれ。食べ終えた見たいだし、部屋に戻るか?」


「そうするよ。そういえば会計はどこでするんだ?」


 食べ終えたのを確認したのか、ルシルが近づいてくる。


「テーブルでの支払いですよ~。メイン4つにエールが3杯、火酒が1杯で200ダラです。」


「ここは、あたしが出すよ。」


「え?いいのか?」


「出世払いってことでね。またどっかで奢ってよ?」


「ああ、ありがとう。」


 食事の後、カウンターに向かうと鍵を渡される。


「お部屋は、階段を上がった先にございます。鍵番号と同じ番号が扉に示されてますので、お願いいたします。」


「はい。じゃあ、またなミル。」


「ああ、お休み。ソロモン。」


 部屋につくと、簡素な机と椅子が一組。床には絨毯が敷かれており床にも座れるようになっている。

 ベットは頑丈な造りをしており、現代のマットレスほどではないもののそこそこ柔らかい。


「ふぅ~。やっと、一息つける。」


「主様、これからどうされますか。」


「早めに確認したいのは、限界突破のやり方だな。手持ちの属性とかやりやすさでまずは、リビングウェポンからだな。」


 ストレージから、リビングウェポンの保管石を取り出し、リビングウェポンを解放する。


「よーし、どうするかな。適当にならべてみるか?」


 解放したリビングウェポンを床に置き、道中手に入れた素材を円状に並べていく。


「うーん、何も起きないな。オラ!限界突破!」


 特に何も変化がないので、リビングウェポンを回収しようと円の中に入り、

 柄を掴むと周りの素材が光に包まれていく。


「お、正解引いたな。」


 光の塊になった素材達はソロモンを経由して、リビングウェポンに伝わっていく。

 光が収まるとそこには装飾の変化したリビングウェポンが掴まれていた。


 穂先の根元に薄い緑の槍纓が付き、柄にも紋章のようなものが刻まれている。


「おお~いいね。じゃあ、鑑定してみるか。」


 R★☆☆ 魔法族/風 アタッカー

 リビングウェポン(槍) 

 特性:浮遊移動 刺突強化

 能力:追風 巻風 自己修復


「これで、巻風が有効化されたわけか。アクティブスキルは限界突破して有効化しないと使えないのは困ったもんだよな。まぁ、生産系のスキルとかはパッシブ扱いなのは助かるけどな。パッシブはパッシブでかなり制限されるからさっさと限界突破してやらないと。」


 チュートリアルクリア!

 初めて限界突破しよう。

 報酬:召喚石3個


「あ、これもチュートリアルだったな。」


「主を守るためにもはようしてもらいたいもんじゃ。」


「ああ、ここの北には土属性が主に出てくる土蜘蛛の荒野があるから、そこで素材集めだな。せっかく召喚石が貯まったから明日起きたら、早速召喚するか。今ので残りが7個だから1回召喚しても、復活で使う分のマージンがちょうど4つ残るからな。」


「それはいいことです。主様を守る同志は多いほど良いですからね。」


「ああ、じゃあお休み。俺は寝るよ。」


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