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その男、召喚師ソロモン

相も変わらず見切り発車。

なんとなく進んでいきます。

ソシャゲの設定はいつか書くかも。

 気が付いたら頭上には青い空が、足元には雲が平行線の彼方まで広がっていた。

 奇麗な場所だな。


「てかどこだ、ここ。」


 目の前には大きな白い台座に収められた透明な宝玉とその手前に虹色に光る八面体の宝石がある。


「これは、始まりの台座か?こっちはどう見ても召喚石だな。」


 始まりの台座は、無幻召喚物語というソシャゲの、初めに召喚を行う装置のことで、

 初回召喚以降は出てこないチュートリアル召喚装置のことだ。

 無幻召喚物語は現代日本において一部界隈で熱狂的な人気を誇ったソシャゲで、

 様々なジャンルの召喚獣を呼び出し、世界を発展させていこうという内容のゲームだった。

 大まかなストーリーは存在するものの基本的にはプレイヤーの自由で進められることが、

 人気の理由の一つ位だった。


「召喚石は10個か。ゲームと同じだな、召喚には1回3つ必要だから3回分に合わせてあまりの1個。

 ロスト対策だろうとは言われてるが微妙な数字だよな。10連させてくれよ。」


 無幻召喚物語はソシャゲでありながらロストの概念があり、瀕死になった召喚体が攻撃を受けるなどの要因でロストし、復活には召喚石が1つ必要になる。

 さらに、召喚体には個別に感情値が設定されており、ロストすると感情値が大幅に減少されてしまうので大変恐れられていた。

 ちなみに、感情値は+になるとステータスが上昇し、-になると下降する仕様であり、感情値によるステータスの変化の上限値下限値はキャラごとに違う。


「これが、本当に始まりの台座なら3回召喚の内1枠はSR以上確定か、一番欲しいのは現況最強のUR竜族のドラゴ・ノヴァ、だがあいつは存在進化しないと本領発揮できない上に進化コストがでかすぎる。召喚し終わった後に異世界に行くのだとしたら、ここはヒーラーかタンクを優先すべきか...。」


 ぶつぶつと喋りながら、召喚石を手にする。

 すると、目の前に半透明なモニターが出現する。


「うお、これは...。"名前を入力してください"か。ソシャゲの画面そのままだな。まぁいいか。もちろん俺は、ソロモンだ。サービス開始から付き合ってきた名前だからな。俺が死んでるのかどうかはわからんが。異世界で本名はアレだからな。しかも、ソロモンは召喚者の代表みたいなものだからな。」


 モニターが目の前から消えると、始まりの台座の宝玉が淡く光りだす。


「いろいろ考えても仕方ないか。とりあえず引くぞ~!テンション上がるぜ!」


 淡く光る宝玉に召喚石を3つ放り投げると、石は宝玉に吸い込まれる。

 すると、宝玉は大きく黄色に光りだす。


「土属性か!しこもこれはSR確定来ました!」


 光が収まると目の前には黄色で金の装飾が施され、中に鬼の図柄が刻印された石があった。


「お、これは金剛鬼か。どっちだろうなぁ。」


 黄色の保管石を手に持つとモニターが現れる。


 SR☆☆☆☆ 妖魔族/土 タンク

 金剛鬼 ダビラ

 特性:金剛体 研師の心得

 能力:身体強化 破壊のオーラ 武器修復 地鳴


「あら、ダビラの方か。ガビラの方が初見では武器作成ができてうれしいんだが、まぁ現状素材が手に入るかもわからんから、そんなに違いはないか。武器作成も限凸しないと真価を発揮しないしな。しかし、男か...。モン娘を狙いたいところなんだがな。気を取り直して、もう1回」


 もう一度、召喚石を投げ入れる。

 今度は緑色に光り、召喚される。

 召喚されたものは緑に銀の装飾が施され、槍の図柄が刻印されたものだった。


「Rか、いやでもこれはリビングウェポンか?ならまだ当たりの部類かもしれん。」


 緑の石を持つとモニターが現れる。


 R☆☆☆  魔法族/風 アタッカー

 リビングウェポン(槍) 

 特性:浮遊移動 刺突強化

 能力:追風 巻風 自己修復


「自己修復持ちのリビングウェポン、当たりだな。欲を言えばSRの称号持ちが来てほしかった感があるが、

 まぁこんなもんか。さて、最後だ。SR以上確定枠、来てくれUR!何ならSSRでも良い!SRじゃなければいい!」


 強く光るその色は白、それ以外の演出はない。


「SR確定じゃねーか!おい!」


 排出された保管石をつかんだ途端、目の前が真っ白になり意識が飛んだ。


 --------------------------


「運が欲しい...。っは!ここは、森...か?」


 気が付くと木々の中にいた。

 地面は枯れ葉で覆われてはいるが木々の間隔はそこそこ広く、林といったような感覚だ。

 木漏れ日がよく差しており、眩しいほどに目に入ってくる。

 そして、目の前には先ほど召喚した保管石が2つと、手には最後に召喚した保管石が掴まれていた。


「最低保証SRめ、かなりやばそうだ。ストーリーに沿って動くとかなり苦戦しそうだな。

 今が、ストーリーのどこにあるのかが分かれば動き方を考えられる。まずは、街に行かないと。

 いやまずは最後の召喚体の確認をしないと。」


 白い保管石に目を向けるとモニターが現れる。


 SR☆☆☆☆ 人族/光 ヒーラー

 神官長 ミネルバ

 特性:聖なる心 薬師の心得

 能力:回復魔術 調薬術 戦棍術 神聖魔術


「およよ、ミネルバ...男...。しかし、ヒーラーはリアルになった今ありがたい、しかも素材があれば状態異常にも対応できる調薬術を持っているのもポイント高いな。限凸優先候補だ。よし、そろそろ召喚するか。」


 目の前の保管石を拾い、3つともを投げる。

 するとそれぞれに対応した光を出して中から何かが飛び出してくる。


「金剛鬼ダビラ、御身のもとに。」


 それは、ぼろぼろの狩衣をまとった蓬髪の偉丈夫で、目は爛々と赤く光り肌は青白く牙と爪が鋭く尖っている。

 まさに鬼といった風貌だった。


「...。」


 それは、穂先は大きく、根元に突起がついている形をしており、その穂先は鋭い光を放ち、磨かれた柄は緑色で金属製の石突は鈍く光っている。

 空中にゆらゆらと漂い、こちらの様子をうかがっているかのようだ。



「神官長ミネルバ、お呼びいただき感謝の至り。」


 それは、簡素な神官服に装飾の入った布を肩にかけた長い金髪を後ろに流した色男で、背丈ほどの金属製の長い杖を持ち、大きな肩掛け鞄を背負っている。切れ長の目を細めながら薄く微笑んでいた。


「お、おう。俺の名はソロモン、よろしくな。早速だが、まずはこの林を抜けだし街に向かいたい。道中で敵対魔物が出てきたら倒しつつ、行こう。ミネルバは見つけられれば、各種薬草を積んでいこう。薬草鞄はもっているか?」


「はい、調薬道具も所持しておりますよ。ただし、大変残念ながら現状で調薬できるのは回復薬(微)のみとなります。」


 大きな肩掛け鞄を見せながら、ミネルバは話す。


「主よ、儂は何をすればええ。」


「まずは俺とミネルバの護衛だな。武器はどうする、リビングウェポンがあるからそれを使うか?ミネルバは杖を持っているようだが。」


「儂は武器の心得はない故、必要ない。そいつは、主が使うがええ。」


 すると、浮遊していたリビングウェポンが近寄ってくる。


「俺も武器なんか使ったことなんてないけどまぁいいか。よし!出発するぞ!」


「お待ちください、主様。行先は分かりましたが、街がどこにあるのかお分かりなのですか?」


「もちろんだ!恐らくここはチュートリアルである、微風の林。ここからどう行けば街に着くのかはだいたい分かってる。しかし、確信を得るために固有の魔物が見つかればいいんだがな。」


 林の木々が風のようなもので揺れ出すと、木の影から何かが飛び出してくる。


「ビンゴ!風イタチだ!微風の林の固有種、これで確定だな!ダビラ、属性有利だから、被弾はある程度気にせず行こう!ミネルバは全員に簡易結界!」


「御意、フンッ!」


「神の御加護を此処に。」


 ダビラが気合いを込めると体から赤い湯気のようなものが立ち上り、ミネルバが杖を掲げて祝詞を言祝ぐと透明な膜のようなものが全員を包む。


 キッキー!


 風イタチは風をまといながら突進してくる。


「リビングウェポン、追風!いけ、ダビラ!そのままカウンターだ!」


「チェェイ!」


 鈴の音がなるような音がしたすぐあと、鈍い打撃音が響く。


 キィー...!


「あら、一撃か。いや、CとSRの能力差ならこんなものか。いやーインフレ時点のガチャで助かったな。未強化でこれか。でも簡易結界は単発防御とはいえ風イタチの攻撃で破壊されるのか、どれくらいでダメージ貫通が起きるのか試しとかないとダメだな。」


 チュートリアルクリア!

 魔物を倒してみよう。

 報酬:ストレージ


「うお、チュートリアルクリアした。しかし、ストレージねぇ。定番っちゃ定番か。」


 モニターが消えると、倒した風イタチの体が光り、その光がソロモンに向かって飛んでいく。


「危なっ、いや痛くないな。これがストレージってやつか?」


 光が吸い込まれた胸に手を当てると、ストレージの内容が頭に浮かんでくる。


 風イタチの爪(風)×1


「ドロップ1つやっぱチュートリアルエリアは渋いな。さっさと街に行って、ミネルバの限凸をしないとな。状態異常対策は早いほどいい。」


「お、私が最優先ですか。嬉しいですね。」


「1凸目はミネルバが最優先だな。あとは、今後の召喚体次第だが、ダビラが優先だ。武器修復がリビングウェポンにも有効だからな。リビングウェポンはとりあえず、凸に必要なptが低いから、道中である程度たまるだろう。」


「戦力でも、武器修復でもしっかり役立とうてやるからの。」


 一行は、度々遭遇する魔物と戦闘をしつつ街へと進んでいた。


「イタチ2、ウルフ3!まずは、イタチからやる。ミネルバ、簡易結界を。ダビラ、右は任せた。」


「捻り潰してくれるッ!」


「俺は左だ。リビングウェポン!追風!」


 構えた槍から力強い風が流れ出し、吶喊していた自身の体を後押しする。

 思いもよらぬ速度に風イタチは対応しきれず刃に討たれる。

 その攻撃の隙をついてヒルウルフが強襲してくる。


「危ないですよっと。ふぅ、戦棍術も有効化していないのでやはり火力は出ませんね。」


 ミネルバが自身の杖でヒルウルフを払いのける。


「助かった、やっぱりアタッカーが足りないな。ダビラの方は...。」


「ふんぬッ!これで終いじゃ。」


 背後から近付いていたダビラがヒルウルフの脳天に一撃を食らわせ止めを刺す。


「タンクとはいえ、最高でUCしか出ないチュートリアルエリアにSRは過剰戦力だな。」


 討たれた魔物が光り、ソロモンに吸い込まれる。


 丘オオカミの牙(土)×2

 丘オオカミの毛皮(土)×1

 風イタチのしっぽ(風)×1

 風イタチの爪(風)×1


「しっぽが出たなレアドロだ。よし、進むぞ。そろそろエリアを抜けるぞ。ここら辺から抜ければ、始まりの街道へ出られるはずだ。街道へ出られたらあとは1本道で街道からずれなければ魔物も出ない。日が落ちる前に街へ入りたいな。」


「まずは、宿をとることを考えなければいけませんね。私共は、保管石に戻れますので1部屋でいいのは行幸です。」


「いやいや、君らはしっかりと部屋で過ごしてもらうぞ。俺はソシャゲ時代も保管石はほぼ使わないプレイスタイルだったしな。まぁ、召喚体を召喚不可の場所は保管石に戻ってもらうが。」


「ほほ、主は優しいお人じゃ。」


「ははは、これはいいですね。まぁ、本当に厳しい時は保管石にお戻りいたしますよ。それ以外はお言葉に甘えさせていただきます。」


 一応警戒しつつ、進んでいくと林の切れ目が見えてくる。

 林から出ると、奇麗に整備された石畳の街道が現れた。

 街道の広さは三車線道路程度の大きさはありそうだ。


「これで、あとは進むだけだ。」


 街道を進んでいくと、人や馬車が増えてくる。

 馬車は人が多く乗っている乗合馬車や荷物が多く乗った商人らしき人が連れている馬車、

 人は、獣人や、耳のとがったエルフのような人、背が以上に小さい割に横幅の広いドワーフのようなものもいる。


「は~、すごいなこれは。始まりの街っていうが、こんなに栄えているんだな。」


「はははっ、始まりの街だなんて古い名前をよく知っているね。若そうなのに長命種なのかい?」


 後ろから声をかけられたので、振り返るとそこには飛んでも美人がいた。

 艶やかな紅の髪は長いものの溌溂とした性格を表すように跳ねており、

 またパッチリした二重の中にきらきらと輝く青い瞳は思慮深さを感じさせる。

 幼子のような無邪気な笑みはその快活さをよく表している。

 さらに、硬い革の防具に負けぬと反発するその胸部装甲は素晴らしく筆舌に尽くしがたい。


「あんた、見たところ召喚師だね?しかも、かなり強そうだ。」

ミルの言葉遣いを若干修正

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