三 姫第1号
今回は姫村ちゃんパート
初めにちょろっとでてきた姫ちゃんですね
はぁい!どうも皆さん、第1の姫こと、姫村 乙でーす!
、、、、はぁ、誰に向かって自己紹介してるんだろ、僕。
「結婚しろ!」
「いーやーでーす〜!!」
前よりも随分と高くなってしまった彼の声と、その横から必ずと言っていいほど聞こえる軽薄そうな声が耳に入った。
机の上に伏せて、思わずため息を吐く。すると僕の周りでたむろする男たち、、、いや僕も男だけど、、、がオロオロし出す。
大の高校生男子がそんなしゅんとした犬のような表情をしないで欲しい。みっともないから。
僕がこの学校に入学して2ヶ月。そんな短期間でまるで、火による蛾のように男どもに囲まれる生活が決定した。
母譲りの女顔なことは鬱陶しいほど自覚しているし、当然と言えば当然だけれど。
じゃあ、なんでそんな事が分かっていながら男子校に入ったか、、、。
彼は覚えていないと思う。二堂くんは、僕の中学の同級生だった。クラスは1度も一緒になったことは無い。だから、知らなくても当然だ。僕だって、他クラスの人の名前を全員言えるかと言われたらNOだし。
なんなら片手で数えられる程度しか言える自信が無い。
白状しよう。僕は二堂くんが好きだ。元の二堂くんが好きだったけど、今の姿もすっごい可愛い。ここに入ったのも半分追っかけだ。もう半分は家から近いからだけど。
だから、あんな会話をまじかで聞いてるのはメンタルがキツイ。
はぁぁぁぁ、文見くん。邪魔だなぁ。
、、、、ある意味物理的にも邪魔。そこを退け!僕と二堂くんを結ぶ直線上に立つんじゃない、二堂くんが見えない!!!
♢
昼休み、僕は日課の二堂くん観察をしていた。昼休みは僕の取り巻きはご飯を食べているので、周りにはいない。ので、堂々と二堂を見ることが出来る。
いや、居ても見るけど。
はぁぁ、前はかっこよかったし今は可愛い。最強だよ。アイドルになれるって。なって欲しくは無いけど。
僕の二堂くんが減る。
普通の人は、困惑するとか色々あると思うのだが、なんせ姫村は二堂に盲目気味だった。
そして、僕は後ろの気配に気が付かず、心の中で思ってればいいはずの言葉をポロリと口に出してしまった。
「、、、、あー、、、二堂くん、好き、、、」
「え、姫村様、今、なんと、、、、」
「、、、、え”」
そこには、僕の取り巻きの1人が立っていた。おおかた、昼食を食べ終わって戻ってきたのだろう。え、はや過ぎない?僕まだ半分も食べ終わってないんだけど。
顔が真っ赤になるのを感じる。
やばいやばいやばい終わった、え、死?死刑?僕
「、、、、き、聞いてた、、、?」
「、、、残念ながら、、、」
その瞬間、彼の胸倉をがっと掴んで
「何が欲しい、言ってみろ、お金?2万までなら全然出せるよ!?」
因みにここまでめちゃくちゃ小声である。
すると、彼はふるふると震え出した。
え、え、怒らせた?なんで!?
「、、、俺の推しは世界一です!あんな男、姫村様の手にかかればイチコロですよ!やりましょう!俺も手伝いますから!!」
、、、はぇ?
あと二堂くんをあんな男って言うんじゃない。
実は、この後初めて彼の名前は宮岸 篤人だと知った。僕はとことん二堂くん以外の人に興味が無いんだな。
「「くしゅっ」」
「誰かが俺の噂をしているのか。」
「それリアルで言う人初めて見たよ。」
知らぬが仏である。
♢
「、、、おはよう。宮岸。」
よくよく考えると、僕、今まで友達というものを作ったことがなかったかもしれない。
そう思い、少しドキドキしながら宮岸に話しかける。
すると、彼はだばっ、と涙を流し始めた。
「何事!?」
姫村が慌てて涙を流す彼の傍へ駆けていこうとすると、その彼が口を開いた。
「、、、、まさか、名前を呼んでもらえるなんてっっっ!」
ぽかんと空いた口が閉まらない。
暫く処理落ちした後、絞り出したのは
「、、、はぁ?」
という間抜けな声だけだった。
「え、そ、それだけで泣く、、、?」
「、、、二堂くんが姫村様に親しげに名前を呼ばれたらどうします?」
「気絶する」
「似た感じです。」
「とってもわかりやすい例えをありがとう。」
そんなことを話している当の二人は、宮岸に怨嗟の眼差しが向けられていることに気がついていない。
「「「「「彼奴、前世でどんな徳を積みやがった、、、、、」」」」」
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