噛み付いて、昨夜の傷痕を残して
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
際どいと思われる事もあると思います。ご自衛お願いします。
何もしたくないと思った。何をするのも億劫で、ずっとこのベッドから出たくないと思った。半身を布団に埋め込ませて、虚ろな双眸で彼を見る。目が合った。彼は切れ長な双眸をにっこりと細めて笑うと、小首を傾げた。
「…………何もしたくない。この感情を溶かさないと動けない……」
「何して欲しいの?」
彼は掛け布団越しに体を撫でる。その手つきが優しすぎて、思わず泣きそうになった。このまま胸に顔を嗚咽を漏らしそうだった。私は涙を堪えた震え声で、今の欲望を素直に口にする。
「頭撫でてくれる? 抱き締めてくれる? ……キスして…………くれる?」
「仰せのままに」
彼は出していた右手を布団の中に潜り込ませる。隙間に指を入れて、寝癖で絡まった髪を一つ一つ解すように、撫でる。それから太い腕を背に回し、自分の胸元まで引き込んだ。柑橘系の化粧水の匂い。脳を麻痺させる匂い。それから、それから――。
「んぅ……」
奈良の鹿達が頭を下げるように、ぐっと首を下げるとキスをした。逃げられないように、髪の隙間に指を巻き付けて、黙ってベロ同士を合わせあった。今なら死んでもいい。いや、死んでしまいたい。この幸せの絶頂で逝けるなら、未練なんかない。連れてってよ……。
体勢が変わる。気が付くと顔の両脇に彼の肘があって、押し倒されたのだと感じる。その行為を受け入れるように、黙って平たい腹に手を這わせた。しっとりしてる癖に筋肉質で、生身の人間の肉の感触。あぁ、昨日の夜と変わらない。
「続きしよ?」
「ん、それは駄目」
そう言う割に離れる気は無いようで、体の上に覆い被さる。散らばった髪に顔を埋め、耳に吐息を吹き入れるように囁く。
「弱った君を喰うのは、とても気持ちが良いだろう。きっと戻れなくなる。だから起きようね?」
「ふぁっ…………」
生殺しにも程があるだろう。そう、恨めしく天を睨むと、これで最後とばかりに項に噛み付いた。昨夜の行為を刻むように。
「帰ったらご褒美ちょうだい」
「勿論。考えて置いてね」
じゃあ今日と同じ夜を。
読者様
短編の更新多くない?
作者
現実逃避したいだけです……。
お付き合い有難う御座います……!!
幸せの絶頂で死ねたのなら、もう未練なんかないなぁと思います。