不思議な一日
「もう、昼の12時か」と寝癖のついた髪をかきむしながら言った。
鈴木亮太は、現在23歳。大学卒業後、食品製造の工場に就職したが、半年で退職した。退職理由は、予想以上の肉体労働に耐えらなかったことや在籍している社員とも上手く馴染めなかったことだ。そこの会社にしか就職できなかったのは、亮太にも問題があると自覚していた。学生時代は、サークルには入っていなかった。バイトは、飲食店でキッチンとして働いていたが、1年近くでやめた。理由は、ただただ仕事がキツかったことや飽きぽっいことが問題だった。その後、派遣アルバイトで音楽イベント等の仕事をしていた。就活は、やっぱり苦労した。なぜなら、自己PR等の書くエピソードが無いため、苦労した。30社ぐらいて受け続けたが、最終的に3月下旬に内定もらったのが、食品製造の工場だった。しかし、半年で辞めたのであった。
そして、現在彼は、退職して1ケ月後過ぎたが転職活動もせず、郊外にある実家に住んでいた。
亮太は、そのままリビングに行き、席につき食事をした。母親の和江は、亮太の向かいに座り、開口一番に「亮太、早く次の仕事を見つける気ある?美咲は、しっかり働いているのに。亮太は。お父さんも心配してるわよ。」と言った。亮太は、2つ上の姉の美咲がいて、現在は、実家から離れ大都市で働いている。
亮太は、カップラーメンを食べながら、答えた
「そりゃ、あるけど..なかなか書類選考が通過しないんだよ。面接まで進まないんだよ」それに対し和江は、「あんたがすぐ辞めるからよ」と返した。
和江と喋る度に、こういう会話しかないため、嫌気を差していた。そして、亮太は、カップラーメンを早く食べ、食べ終わったカップを台所にあるゴミ箱に捨て、自分の部屋に戻った。
そして、インテリアデスクの上にあるスマホを手にとりメールボックスを見た。
「また、お祈りメールか…」とつぶやき、そっとデスクの上にスマホを戻した。そして、亮太は、すぐにベットの上の毛布に潜り込んだ。
目を覚ますと、夕方の3時になっていた。そこで、亮太は、気晴らしに散歩に出た。自宅の付近にある一周3kmの自然が多い大きな公園行った。
「久しぶりの公園だなあ、何年ぶりだろ?小学生以来かな」散歩道を歩きながら、周りを見ると、小学生たちが鬼ごっこしていて、楽しそうな声も聞こえてきた。また、周りには、緑の木が多いため、空気がいいと亮太は感じた。そのまま歩き続けているとその時、茶色の野良猫が道の真ん中にいた。
亮太が少し撫でてやろうとした瞬間、「軽々しく触るんじゃねえ」と聞こえきた。
しかし、周りには人がいない。もう一度触ろうすると、「だから軽々しく触るんじゃねえと言ったろ」
亮太は、腰を抜かし、ただただ驚いた。
「今、猫が喋った。これ夢じゃないだろうな」とつぶやき、自分でほっぺたを叩いたが、ただ痛かった。
猫が喋るわけがないと思い、そっと立ち、そのまま歩き続けた。
歩き続けている間にも、カラスの声が聞こえてくる「あいつ、腰抜かしたぜ。マヌケだな。」
こんな変な公園だったかな……心の中で呟いた。
思いがけない出来事に疲れて、ベンチに座った。
座っていると、あの茶色の猫が現れた。亮太に話し続けた「さっきは、悪かったなあ。まさかおれの声が人間に聞こえるとは思ってなかったよ。」
やっぱり猫が喋っている……
「いや僕も悪かったよ。勝手に触ろうとしたから。」
猫は、亮太の隣に座った。
「あんたは、学生さんか?」
「いや、違う。大人です。でも社会人ではないな」
猫は、亮太の横顔を見ながら、言葉を発した
「そうなのか。大人ってことだな。人間ことは、よく分からないが取り敢えず複雑そうだな」
亮太は、猫に話続けた
「猫って、喋るんですね。」
その質問に猫は、「聞こえてるのは、お前だけだと思う。人間同様に感情はあるからな、動物にも」
亮太は、ふと思った。このやりとりを他人に見られたら、相当ヤバイ奴に見えるだろう。その後も、人間の話、猫の生態の話で盛り上がった。
日が暮れてきたので、亮太は別れを告げた「今日は楽しかったよ。また、会えたらいいね。」
「もちろんさあ、じゃ、またな。」と告げ、亮太に背を向けて、ゆっくりと歩いていった。
今日は、亮太にとって不思議な1日だった。
喋る猫と会った後、就活は上手くいった。その後、亮太は、プログラマーにキャリアチェンジに成功し、有能な人材として社内で活躍している。
亮太は、その猫を幸運を呼ぶ猫を呼んだ。