悪のナルマニュアルキャラクター作り編!
僕が道端で拾った中くらいの大きさの黒い本にはこんなことが書いてた。「ナルです! 今日は悪のナルマニュアルと題しまして、キャラクター作りについて書くです!」
「まず主人公です。あえて映画の主人公に限定するです。まず映画を見ている観客と似た人物が主人公です。ただ眺めているだけの観客と似たように、事件等の出来事に対して受け身的です!」
(うーん? ナル? よく分かんないけど受け身じゃ主人公じゃなくない?)
「そうです!そこのあなた!実は主人公の主人公たるゆえん、主体的な行動は後半に現れるです! 主人公は後半、反転攻勢で積極的に前に出るです!」
(まあ受け身な主人公が後半活躍するのはよくあるかも)
「ふっふっふっ……これは観客の期待が関わってくるですよ。前半で、受け身な主人公と受け身な観客が同調してくると、観客は何もできないことにイライラしてくるです。焦らされているです。そこからの脱却として、受け身な主人公が反撃に転じることを渇望し始めるです。十分感情移入した観客の期待を叶え、予想を裏切る形で後半に主人公は攻め始めるです」
(うん? なんか大事なことのようなそうでもないような……まあいっか)
「受けと攻めは表裏一体です! 前半主人公が受け身なら攻めている者がいるはずです! 後半主人公が攻めなら受け身な者がいるはずです!」
(攻めと受けって、なんだっけ、BLか?)
「ううう、ナルがこんなに真剣に語っているのになんという体たらく……この卑劣漢! ナルを置いていかないでー」
(いや、いやいやいや)
「ナルは受けです!」
(何を言ってるんだこの作者は)
「そして前半受けだったナルは後半反転攻勢で大地に立つです!」
バリバリバリっーー
本が避けて中から小さめの体の男が出てきた
ガッツポーズしている
「ナルはついにここに来て大地に生まれ落ちたです」
「……(今、本から出てきたよなあこいつ)」
「序破急と起承転結と発端葛藤危機頂上結末、この違いが分かるですか?」
「(私は何も見なかった)」
「ぷっこんなことも分からずに創作家気取ってるですか?笑えるです」
「いや、気取ってねえよ」
「ぷぷぷぷぷー」
「序破急は三幕構成、起承転結は四幕、発端葛藤危機頂上結末はどうせ五幕構成だろ?」
「なるほど、では同じところはどこですか?」
「同じところ?」
「結論から言うです。この表の縦は同じものを表してるです」
序 破 急
起 承 転 結
発端 葛藤 危機 頂上 結末
何度も見ているとそんな気もしてきた。僕が無言で渡されたメモの表を見ているとこの「ナル」はまだまだ話し始めた
「そして、三幕と四幕と五幕、違いは劇の長さです。」
(そうかもしれないでもだから?)
「今から、敢えて一番最初に長い五幕構成の中での、主人公の動き方を示すです」
攻め 登場→活躍→危機→対決→去る
受け 予兆→異変→抵抗→犠牲→脱出
「どうですか? 見知らぬ少年!」
「あ、あはは、またメモ用紙に表ですか、そんなのもう受けないですよ」
言ってやった、これこそ反転攻勢では? この話の主人公は僕なのだ
ナルはすぐに話し始めたが僕の言葉に対しては無視していた。
「攻め側が登場すれば、受け側はそれを予兆として感じ取るです。攻め側が活躍すれば受け側としてはそれは異変です。受け側が抵抗すれば攻め側にとっては危機です。攻め側が対決に進めば、受け側は犠牲を払います。攻め側が去れば、受け側にとっては反撃や脱出の成功となるです」
「確かになんか表裏一体……だね……」
「主人公の定義は受けから攻めに転じる人物であることです!であれば、予兆異変抵抗犠牲脱出に始まり、登場活躍危機対決去るの流れに乗るはずです」
「あー無駄に話が繋がった」
「むむっ! 無駄とはなんですか! きーーー」
「どんなにいいこと言ってもナル何かに言われてもなんとも思わないよ」
僕がけなしすぎたのか、ナルはぷりぷり赤ら顔を振りながら去って行った。
(あー最後に去られるとそいつが主人公になっちゃうな)とか考えていたら、横の土管からナルが出てきた。
ポンッーー
「先ほどの物語の段階に対応して役割を持った人物が出てくるですよ」
「おー びっくり」
「活躍には」
続く