泡盛
噂の沖縄街に越してきた。街人たちは皆薄着で、女性はブラジャーだけで下の方にある口をパカパカと見せびらかしているのなど日常的で、男性なんかは逸物が包茎の者など一人としておらず、それは常に上空を見上げている始末。亀頭からは汗がにじみ出ており、ギラギラな太陽の祈りを受けて、常に神々しい光を放ち続けている。上半身はワイシャツ一枚だけである。汗がワイシャツの中を露呈させ、なんともいえぬセクシーさに満ちていた。妖艶。この言葉が似合う。私の背中にも汗が伝う。男性率の高い町なので、嫌でもいつの間にか観察してしまう。私が女であることも理由だろう。
この街の世界で唯一スカートを履く女。それが私だ。ここで。私が何故スカートを履いているのか理由を述べてみるが、その理由は至極単純で明快な答えで、人と被るのが嫌だからである。
この街の人々は皆、変態だ。そのため、平凡な私は非凡となるのだ。私はここで、特別な格好の人間となった。小柄な世界でも。
街を歩けば目に付くのは男だ。気持ち悪い顔の男から格好良い顔の男まで、常に開放的なので、私の視線もつい開放的になる。
私は所謂イケメンが好きだ。その条件、目が大きい背が高い躰が黒い長足そして。黒光りする逞しい男のドスも好きなのだ。越して数年も経つと、その全てを満たす男がこの世界にいないことを知った私は、奇異な目で私を見る美男不男な奴らの中で、お気にに入ったパーツだけを視線から切り取り、頭の引き出しに入れて楽しんでいた。どうやって楽しむかというと、絵に描いて現すことだ。それを見て、満足はできなかった。平凡すぎた。
私は、越してきてからのパートナーである布団を縦に二回折り、縦長の棒状にした。そして、その上に跨り、うつ伏せになって抱きしめた。
引き出しを開けた。