第八話 女の嗜み?
誤字を修正しました。
「んあ……?」
目覚めるとそこには見慣れない天井があった。そして、自然と落ち着く熱をもった何かがすぐそばにあった。
寝返りをうつと、柔らかくて熱をもつ何かに触れた。あー、落ち着く。このまま二度寝していいかな……。
むにゅむにゅ……、気持ちいいなぁ……。
「んー……ん、えっ、あっ、ちょっ、な……何、やってんの……?」
「んあぁ……?」
「と、とりあえず……起きろっ!」
「わぅっ!?」
強制的に起こされてしまった。気持ち良かったのに。そんな寝ぼけた思考回路のまま楽に質問する。
「何で無理矢理起こしたの?」
「……水が私の胸に顔突っ込んで抱き枕にしてたからよ」
「……なんか、ゴメン。気づけなくて」
「今なら別にいいけどね……気をつけなさいよ?」
そりゃ無理矢理起こすわな。納得。
その後、俺達は一緒に朝御飯を食べて出かける準備をした、のだが。
「スカートはやめておくれよ」
「何でよ、もったいない」
ヒラヒラは慣れてないからだよ、楽くん。落ち着いて考えようね?
「だったら尚更慣れるために履こうか」
「何でさ!?」
と、いうわけで。
「うぅ……スースーするよぉ……」
「我慢しなさい、可愛いんだから」
「……ほめてくれたことには感謝するよ」
俺は麦わら帽子とワンピース姿になった。どこの健康的な美少女だよ。
「というか、女の子はこんなヒラヒラを着て嬉しいのか?」
「人によって好みは違うけど……まぁ、女の嗜みみたいなものよ」
……女の嗜みって、何だ?
ーーー
さて、ショッピングモールに着いた。目的は俺の服だ。まぁ、女になったんだし、今まで着ていた服以外にも必要な服はあるのだろう。楽の様子を見る限り。
「何から買えばいいんだ?」
「下着よ」
えっ、ちょっと待って、下着? あのハードル高すぎじゃないの? えっ、下着だよ? 男から女になったばかりの人にとって最難関だよ?
「いや、ちょっと、心の準備が……」
「最初に一番難しいものを終わらせたら後が楽よ」
そうだろうけど、そうだろうけど!
……まぁ、抵抗むなしく連れていかれました、はい。目の前にはランジェリーショップ、下着を売っているお店があります。男の時からこの前を通ることすら憚れる謎のオーラを持ったお店です。つらい。
「店員さん、この子のサイズはかってもらえますか」
「はい、今すぐに!」
なんか勝手に話進んでるよ? あの、俺の話を、あっ、はい、聞いてくれませんか、そうですか。……ショボーン。
ーーー
「もう、いきたくない……」
「無理ね、これから先、かなりお世話になるわ。覚悟しておいてよね?」
「おう……」
そんな会話しながら進む。次は服屋だ。ちょっときらびやかだが、入れなくはない。
というか、女の服はこんなに種類があるのか。ワケわからんものばっかだ。まぁ、女物にはスカート類もあるかし、服も布面積が小さすぎるものから大きすぎるものもあるしな。納得はする。種類は分からんが。
服の選別は楽に任せた。女らしいものと男の格好に近いものを半々にしてもらった。流石にいきなり女物ばかりは難しいからな、段階的に慣れるようにしてもらった。大切。
最後は靴屋だ。何かブーツとかヒールとかの女物ばかり買っていた。スニーカーは男の時のものを使えばいいと言ってた。だからってそういうものを買っても、俺は困るよ?
とりあえず買い物を終了して、家に帰ることにした。わー1日ぶりの我が家だー。
「なぁ、楽? ゲームやらない?」
「何のゲーム?」
「FO。まぁ、暫く後になるだろうけどさ?」
「それ、私は既にやってるけど?」
「えっ、マジで!?」
本当にびっくりした。もうやってたのか。ということは俺と同じ三回目組かな?
「いや、初期組よ?」
「はぁ!? 何で今まで言わなかったんだよ!?」
「だって、水があんなに楽しみにしてるのに、私はもう始めたよって言ったら、悲しくなると思って……」
そ、そうか。気をつかってくれてたんだな、ありがとな。
「じゃあ、後でフレンドになろうぜ」
「別に構わないけど、今何処の町にいるの?」
「マジーア」
「了解。じゃあ、また後でね」
と言った具合に今日のところは別れた。
さぁて、ご飯を食べたらゲーム、始めますか!
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