第四話 旅人の秘密
「うわぁ……」
「ちょっと大き過ぎないか……」
俺たちは今、神殿の前にいる。問題はその神殿の大きさだ。
現実世界でいうイギリスのビクトリア宮殿と同等といっていいほどの大きさだ。
最早城である。なんなんだこの神殿は。えっ、俺こんなとこに来たのにも関わらず旅人になるの? えっ?
「転職がお望みでしょうか」
「「は、はい!」」
「どうぞ奥へ」
入口にいた女性神官さんが奥へ連れていってくれた。
「冒険者殿よ、転職をお望みかな?」
「「はい!」」
「それではそこの男性から来なさい」
オサムが老人の神官の下に歩みを進める。
荘厳な雰囲気に包まれたこの場の空気は心なしか重く感じる。うわぁ緊張する……。
「汝、転職を望むか?」
「はい! 俺は騎士になることを望みます!」
「よかろう! 天におられる我らが神々よ!
この者に、騎士としての才を分け与えたまえ!」
そしてオサムに柔らかな光が降り注ぐ。これが転職の儀式なのか?
「ふぅ……これで、汝の転職は果たされた。
では次の者はわしの下に来なさい」
俺の番だ。
オサムとバトンタッチして前に出る。
「汝、転職を望むか?」
「は、はい! わ、私は旅人になることをの、望みます!」
「そうかそうか……よかろう。では、わしから才を分け与えよう」
えっ? ど、どうして神官から?
「ど、どうして、ですか?」
「あぁ、わしから与えることが不思議だったか。
その理由はのぅ、人自身が初めて生み出した新たな職が旅人だからなんじゃよ」
な、何だって?
人が初めて生み出した職? えっ、どういうことだ?
「汝に、我らから新たな祝福を与えん!」
へ? え、えぇぇぇぇぇ!?
ーーー
旅人にあんな秘密があったとは……。
「初めて作った職だから、あんまり強くないのかもな」
「オサムの言う通りだと俺も思う……」
そんな背景があるなら不遇職なのも納得だ。
だがしかし、それでへこたれる俺ではない。
「なぁ、オサム」
「何だ、ミナ?」
「燃えてきたぜ、旅人!」
「お前なら言うと思ったよ、ミナ」
さぁ、早速検証だぜ!
次回から本格始動になるのかな?






