第二十二話 その後の話
迷いの森の一件が終わりを迎え、とりあえずログアウトした。
ぱっぱと簡単な飯を作って食べ、まだ慣れない風呂に入り、今まで寝そべっていた布団に潜り込む。
意識することは避けていたが、やっぱり今の自分は女なんだな、と思い出す。ラウさんはゲームの中で姿が変わっていたが、自分は現実の中で姿が変わってしまっている。
「なんだかなぁ……」
どうして自分がこうなってしまったんだろうか?
いくら考えても仕方がないのだが、考えてしまうのが人間だ。
とはいえ、もう遅い時間だ。明日は、また病院にいって診察を受けることだし、考えるのはやめにして眠ることにする。
目を閉じようとしたとき、寝室の窓には満月があった。
───
翌朝。
目が覚めた俺は、いつもどおり顔を洗い、髪を軽く整え、朝飯を作る。
作るといっても簡単に食パン二枚をトーストして、ベーコン数枚と目玉焼き一つを焼くだけだが。
腹を満たしたあと、歯を磨き、着替える。前にサキに色々教えてもらいながら買った服からあまり派手じゃないものを選び、着る。
そして数分後、病院に向かって歩き出した。
───
診察は前と特にかわりなく、体に異常はみられないとのこと。
まぁ、異常が無いことはいいことなんだが、裏を返せば、俺はもう完全に女の体でもある証だった。
喜んでいいのか、悲しんでいいのかよくわからない、変な気分だった。どうすればいいんだか。
診察を終えた俺は、早く家に帰ろうと思い、病院の廊下を歩いていると、前の内科の扉が開いて人が出てきた。
どうやら医師から処方箋を貰ったらしきその女の子は、医師に一礼したあと、帰ろうとしてこちらを振り向く。
そして、俺の顔を見た直後、目を見開いて手で口を塞ぐ。
何を驚く必要があるんだと、怪訝に思っていると、彼女の口から驚くべき言葉が聞こえた。
「も、もしかして……ミナ、さん?」
「……えっ?」
初対面の人に名前を当てられたので、思わず彼女の顔をまじまじと見つめてしまう。
どうしてこの人が……と思っていたが、よく見るとどこかで見覚えがある顔をしていた。一体どこで見たんだっけ、と思っていたところ、再び彼女の口が驚きの事実を紡ぎだす。
「わ、わたしです、ミナさん!ラウです!」
「え、えっ?ら、ラウさん?」
「はい!」
割りと世間って狭いなぁ、と思った。




