第十五話 テンプレート
「ピギャー!?」
ゴブリン共の悲鳴が森に響き渡る。緑の皮膚を暗緑色の血で染め、涙を流しながら逃げようとするも、攻撃は続き、絶命を迎える。
血も涙もないのか、ゴブリンを蹂躙する者は手を止めない。身体中を返り血で染めようとも───
「……なんか、俺の方が悪役な気がする」
描写の仕方でいともたやすく、俺が悪役になっている。言葉って怖いなー……。
まぁ、事実、俺はゴブリン共を蹂躙しているわけなんだがね。とりあえず、トラベル流格闘術と魔眼のコンボはいい。魔眼で動きを止めて殴り飛ばしたり、死角に回って攻撃しようとする敵を投げ飛ばせるし。使い方次第で相手の動きを操作できるのは、いい。いきなりスキルを上げたせいで、初めは困ったがね。
【おい、ミナ!聞こえるか?】
オサムからのVR通信が届いた。
ーーー
というわけで現在、マジーアにいます。まさかオサムから呼び出しくらうとはなぁ。
「おい、ミナ……お前は何やってんだよ!」
「いったぁ!?」
何故かオサムに殴られた。後ろにいるオサムのパーティーメンバーと思われる方々は苦笑いを浮かべている。何故だ。
「ソロで何の対策もせずに、迷いの森に挑むとか……ただの自殺行為だっつーのっ!」
……怒られた。
ーーー
「で、オサムたちは迷いの森攻略に挑む、と。」
「そうだな、ミナはどうする?」
んー……まぁ、ラウさんに会いに行こうと思ってはいたし、いいか。
「ついていくよ」
「そうか、了解」
まぁ、攻略にいくことは決定したのだが。
「オサムのパーティーメンバーを紹介してよ」
「そういや、そうだな。皆、ミナに自己紹介してやってくれ」
すると、話を中断して寄ってきた。オサム含めて四人のパーティーなのか、見知らぬ三人が来た。
「ヤコウだ、よろしく頼む」
一人目は、フードと顔当てをした男の人だった。その見た目通り職業は暗殺者だそうだ。主に斥候と遊撃担当らしい。
「リリアよ、よろしくね」
二人目は、三角帽子に黒のローブを着たTHE魔法使いの格好をした女の人だった。やはり職業は魔法使いであった。火力担当だそうだ。
「ライナです、よろしくお願いします」
三人目は、正しくシスターであった。職業も神官とのこと。役割もヒーラーであった。しかも……。
「オサムは騎士みたいだな」
「まぁな」
オサムまで金属鎧を着こんだ騎士となると、かなりテンプレートなパーティーであった。
……何故か、肩身が狭く感じるよぉ……。




