第十三話 本当にどうしてこうなった……
謎の植物に吊るされながら、俺は森の奥の開けた場所に連れ込まれた。俺生きてるー?生きてる、うん。はようログアウトしたい。
その植物は俺を下ろすと、森の奥に消えていった。いや、なんで?
ちょっと訳がわからないな。ここに連れ込んでまで立ち去るとは、目的はなんだったんだ?
そんなわけで俺が困惑してると背後から気配がした。
「あの、すみません……」
「ふぇっ!?えっ、え、ど、どなたっ!?」
突然話しかけられたのでビックリした!いや本当に誰……ん?
よくよく見れば話しかけて来た相手は人ではなかった───アルラウネ、であった。
女性の姿をしているが、その緑の肌と体にまとわりついている植物が、彼女が人ならざるものであることを証明している。
「あの、ここまで連れてきたのは私なんです」
「あっ、そうですか……って、なんで?」
素朴な疑問だった。何でわざわざ俺を?彼女の態度からは敵対するような意思を感じない。
なにかクエストのようなものなのか?
「その、ですね………えっと……」
彼女は口下手なのか中々切り出さない。一体なんだって言うんだ?
「その……一緒に冒険させて下さい!」
……えっ、ええええええ!?
───
衝撃の理由だったが、その後の彼女の話を聞くと納得できる理由であった。
本来、彼女はプレイヤーであったのだ。しかし、アルラウネと戦闘して、負けてしまったそうだ。これは困ったと、彼女は再びログインすると───
「何故かアルラウネの姿だったんです……」
「おう……」
まだ、誰も知らないような情報だった。これがバグなのか仕様なのかは分からないが、仕様だとしたら滅多に起きないイベントであろう。ちなみにリスポーン地点までこの森に変更されていたらしい。
……こりゃ仕様だな。滅多に起きないだろうが。彼女は単身アルラウネに挑んで負け、この姿になったそうだ。
ということは?これと同じ状況であれば再現できるかもしれない。女性限定なのかもしれないが。まぁ、再現するつもりはない。
彼女も、あとで攻略サイトにあげるか、その前に運営に聞くか悩んでいたらしい。
ちなみに、二つ次いでに判明した。一つ目は、彼女の名前はラウというそうだ。二つ目は、あの植物はアルラウネの姿になって身につけたスキルだそうだ。
「ビックリしましたよ……だから、プレイヤーさんが来たらいいなぁ、って思ってたんです」
恐らくこの姿になったので迂闊に動かないようにしていたのだろう。まぁ、妥当ではあるが。
「じゃあ、俺はログアウトするよ」
「ここはセーフティエリアだから安全ですしね」
やっぱりそうだったのか。
ということで、俺は新たな出会いをして、ログアウトすることにした。
とは言っても……。
「どうしてこうなった……」




