第十二話 祠
私、ミナは現在、大変なことになっております。端的にいうと遭難してます。ヤバイ。思わず私って言ったり、ニュースのキャスターさんみたいな言い回しをしたりするくらいには。
いや、本当にね? これは不味いのですよ、はい。どのくらい不味いかって、このまま出られずにゴブリンとかに会って無惨に死にそうで怖いんですよ、ええ。
いやー困った。困ったよ、本当に。何回試しても祠に戻って来たんだけど。目印をわざわざ変えてメモしながら移動したのに戻って来たよ? 本当にヤバイんだよ。
仕方ないんで、キャンプの準備してる。ほら、安全にログアウト出来るようにね? インしたら、死んでるとか笑えないよ、全く。
で、あらかた準備出来たので、もう一度祠を調べる。とはいっても以前と得られることは全く変わらない。やることなすこと意味がないのはつらいなぁ……。
今のところゴブリンとかは一切来てないから、ここはセーフティエリアかな? まぁ、もしものためにキャンプ場は作って、ログアウトするんだけどね。
まぁ、そんな話をしてると出来上がったんだよ、キャンプ場。
よし、ログアウトしよう。
そう思ってメニューを開こうとすると違和感に気づいた。足下の違和感に。具体的にいうと……
「木の蔓?」
どうしてテントの中なんか、に!?
「ちょっ、まっ……ええっ!?」
ヤバイ、木の蔓に足をすくわれた、いや、これは……
「植物型の魔物か……?」
そう思って辺りを見渡すも影が見えない。そして俺は、そのまま……。
「宙吊りにされて持っていかれるのかよ……おいおい、マジかよ」
マジだった。




