アンブリアメンテ 【選ばれたピアニスト】 2
[セフィル]:「今から楽しみにしているぞ」
[カホラ]:「お母さん、吹雪たちが作りたい物とかを優先させてあげようよ」
[セフィル]:「うん、それでいい。それを私が奪うというわけだ」
[カホラ]:「それって犯罪じゃないの?」
[セフィル]:「ギリギリ冤罪だろう」
[カホラ]:「ギリギリって……」
[セフィル]:「まあ暇があったらでいい。考えてみてくれ」
[カホラ]:「はい、分かりました」
[セフィル]:「さて、全員との面識を確認したところで、そろそろ本題に入ろうか」
[全員]:「はい」
[セフィル]:「一応聞いておくが、ピアニスト、ハーモニクサーを辞退したいって者はいないよな? うん、ないようだな。まあ不安は持ってる者が多いとは思うが、学園側が全力でサポートするから、あまり気を張らずに望んでほしい」
[全員]:「はい」
[セフィル]:「君たちのやるべきことだが、大体は把握してるはず。でも、今一度説明しておこう。君たちがしなければならないことは、ピアニストはピアノを弾き、ハーモニクサーはそれをアシストする。ただ弾けばいいわけではない。一番大事なことは、ピアノと心を一つにすること。ピアノと波長を合わせることで、ピアノに願いが届いて、来年も平穏な四季を送らせてもらうんだ」
[聖奈美]:「波長を合わせるっていうのは、具体的にはどういうことなんですか?」
[セフィル]:「言い表すのは少々難しいんだが、ピアノの気持ちになることが大事だろうな」
[聖奈美]:「気持ちになる、ですか?」
[セフィル]:「うむ、四季のピアノは生きている。私たちと同じで心がある。気持ちのいい弾きかた、気持ちが悪い弾きかた、良い悪いがあるだろう。ピアノが心地良いメロディーを奏でてやるのが、君たちがしなければならないことだな」
[舞羽]:「なるほど、生き物なんですね」
[セフィル]:「まあそうと言うほうが自然だろうな。君たちはピアノに選ばれたわけだ。
それは即ち、ピアノに心が宿ってるってことと同義だろう」
[吹雪]:「そうですね」
[セフィル]:「ピアノは四つ存在する。春を司る『桜花のピアノ』、夏を司る『海風のピアノ』、秋を司る『紅葉のピアノ』、そして冬を司る『風花のピアノ』。この四つを大久保弟以外の四人に弾いてもらう」
[繭子]:「名前からして、冬のピアノはふーちゃんが弾くのが妥当そうなのにな~」
[吹雪]:「名前で決めんな、名前で」
[聖奈美]:「でも、大久保が弾いたら冬が大変になるんじゃないですか? 先生」
[繭子]:「あーそっかー。常に豪雪になっちゃうかな~?」
[吹雪]:「だから、名前で勝手に想像すんな。なりたくてこの名前になったんじゃないんだよ」
[カホラ]:「珍しい名前よね、吹雪って」
[吹雪]:「まあ、あんまりいないみたいですけど……って今は俺の話じゃあないでしょう」
話が脇道に反れてってる。




