グランディオーソ 【決戦!! マジックコロシアム】 21
[吹雪]:「――エル・エルフュリス、風の精霊よ、我を守る盾となれ。――エンブレイス!」
[聖奈美]:「く、何? ――バリアね、く、見てなさい、すぐに破壊してやるんだから」
これでしばらくは時間が稼げるはず。今のうちに魔法の詠唱をしなければ。
[聖奈美]:「――エル・エルゼクス、炎の精霊よ、我に力を与えたまえ」
くそ、あいつもあれが使えたのか。
[聖奈美]:「これで、すぐに壊してあげるわ。ふふ」
ただでさえ能力が上昇してるってのに、これ以上上げてどうするっていうんだ。急いで唱えなければ。とりあえずは、落ち着くんだ、俺。精神を集中させて、詠唱に入る。
[吹雪]:「――我を包み込む暖かな光よ。その力を今、我に与えん。――エル・エルフィリード、マーキス。光の精霊よ、我に大いなる力を与えたまえ。――セイクリッドスパークル!」
詠唱と共に、目映い光が杠を包み込んだ。
[聖奈美]:「えっ!? な、何!?」
どうやら状況を飲み込めていないらしい。光は尚輝きを増し、杠を包み込んでいる。
[聖奈美]:「うっ、な、何よこれ……どうして」
[実況者]:「な、何が起こったのでしょう? これは大久保選手の魔法でしょうか?」
俺はその状況をじっと見続ける。……お、徐々に杠のオーラが消えていくぞ。読みは、当たったか? しばらくして、輝きはなくなり、消えていった。だが、それと共に、杠のオーラも完全に消えていた。
[聖奈美]:「く……あんた、一体何を――」
[吹雪]:「魔法だ、お前が気づかれないように唱えていた覚醒呪文を掻き消したのさ」
[聖奈美]:「――っ!?」
[吹雪]:「最初は全く気づかなかった。そんな素振りは全く見えなかった、いや、見れなかったからな。それはそうだ、お前は俺に攻撃を放ちながら唱えていたからだ」
[聖奈美]:「…………」
[吹雪]:「普通の奴なら、一つの魔法を唱えている最中じゃあ集中力が続かないから唱えることはできない。考えてみれば単純なことだったんだ。ただ、そんなことが学生でできるなんて、って考えが先に働く。お前はそれを逆手にとったってわけだ」
[聖奈美]:「……ふ、そうよ。あたしは二つの魔法を同時に詠唱できるの。これに気づいたのは、あなたが初めてよ」
[吹雪]:「やっぱりか……」
[聖奈美]:「でも、それが分かったところであたしを倒せるのかしら? 勝負はまだ終わってないわよ。それにあなたが唱えたのは光魔法、消費は激しいんじゃない?」
さすが、伊達に成績が優秀じゃない、か。
[聖奈美]:「このまま押し切ってやるわ。見てなさい!」
[実況者]:「た、大変なことになってきました。このような試合が近年でありましたでしょうか! これこそ決勝戦、両者のハイレベルな攻防に目が離せません!」
[繭子]:「みんなー、ふーちゃんに声援をもう一度送りましょー! いくわよーせーの――」
[クラスメイト]:「フレー・フレー、ふ・ぶ・き。それ、フレ、フレ吹雪、フレ、フレ吹雪、ワー!」
みんなサンキュー、まだ、頑張れそうだ。
[聖奈美]:「さあ、まだまだいくわよ! ――アイスエッジ!」
よし、ここは戦法を変えていこう。奴の意表を突いてやれ。
[吹雪]:「…………」
俺は、気づかれないように準備を始める。




