グランディオーソ 【決戦!! マジックコロシアム】 16
[愛海]:「確かに、彼女はすごい人気よ。去年なんて本当にすごかった。だから、今年二連覇を果たせば、もう学園中の注目は彼女に集まるでしょうね」
[吹雪]:「まあ、そうだろうな」
[愛海]:「でも、バット」
[舞羽]:「ちょくちょく英語挟まなくても……」
[愛海]:「今年はその注目も真っ二つに分かれてる、何故って、それはユーが出てるからよ大久保くん」
[吹雪]:「関係ないだろ、俺は」
[愛海]:「あるわよ、おおあり地獄」
[吹雪]:「何だよそれは」
[愛海]:「今言ったとおり、大久保くんの注目は現在鰻登りよ。何でかって、初出場で決勝まで来たからよ」
[吹雪]:「それくらいでそこまで――」
[愛海]:「来るのよ、それが」
[吹雪]:「うわっ!?」
[愛海]:「確かに、みんな杠さんには注目してるわ。去年の鮮やかな勝ち方をみんな知ってる。でも、中には順当にいくのをつまんないって思う人もいるわけよ。あまりの強さに見応えがないって意見を持ってる人もいるわけ。そこに大久保くんが現れた。しかも、初出場で決勝まで。ダークホースの登場に、みんな期待は急上昇」
[吹雪]:「それなら誰でもいいじゃねぇか」
[愛海]:「それは違うわ」
[吹雪]:「何が?」
[愛海]:「みんな知ってるからよ、あの日のことをね」
[吹雪]:「あれか……」
確かに、声でかかったからな杠の。
[愛海]:「あんな大きな声で喧嘩してれば、気づくのは当たり前でしょう? みーんな集まってきてたわよ、何事かってね。おまけで私もたくさんの人に教えたし」
[吹雪]:「じゃあお前が情報を流したんじゃねぇかよ」
[愛海]:「大丈夫よ、主に三年生だから」
[吹雪]:「何が大丈夫なんだよ」
[愛海]:「まあまあ。それを抜きにしたって、二年生間では注目度マックスなことは確かよ」
[吹雪]:「ん、んん……」
[愛海]:「次の決勝、すごいことになってるわよー? きっと」
何か、無駄にプレッシャーだな。
[愛海]:「名勝負、期待してるからねー?」
[吹雪]:「まあ、全力は尽くす」
[舞羽]:「頑張って、吹雪くん」
[吹雪]:「おう」
舞羽の料理、食いたいしな。
[吹雪]:「よし、行ってくる」
俺は召集場所に向かった。
……………………。
[カホラ]:「あ、おーい吹雪」
[吹雪]:「あれ、先輩」
召集場所の近くに先輩がいた。
[吹雪]:「どうしたんです? こんなところで」
[カホラ]:「うふふ、ちょっとした後押し? 吹雪をね」
[吹雪]:「マジですか? ありがたいです」
[カホラ]:「もう私との約束は果たしたものね、準決勝進出は。次は決勝。優勝したら、もっといいご褒美を考えておくわ」
[吹雪]:「そんな、恐縮です」
[カホラ]:「ふふ、頑張って? ファイト」
先輩は握り拳を二つ作って、俺の前で力を入れた。
[カホラ]:「応援してるわ」
[吹雪]:「はい、全力で行きます!」
何ともありがたい後押しだ。余計に気合いが入ったぜ。よし、やってやる。