スピリトーゾ 【前日準備といちゃもんと……】 4
[場所:グランド]
[吹雪]:「よし、舞羽、次頼む」
[舞羽]:「うん、行くよ」
舞羽は目を閉じ、精神統一に入る。
[舞羽]:「――悪しきものを振り払う凍てつく冷気、我に力を与えたまえ、アイスエッジ!」
舞羽の両手から、氷の刃が一斉に解き放たれる。
[吹雪]:「――エル・エルファンディス。全てを燃やし尽くす熱き波動、我に力を、バーニングエッジ!」
俺の手から飛び出した炎の槍は、舞羽の氷の刃を全て溶かした。
[吹雪]:「ふう、よし」
[舞羽]:「すごいよ吹雪くん、もう完璧なんじゃない?」
[吹雪]:「あはは、そうかな? もう一回やるよ、お願いできるか?」
[舞羽]:「うん、もちろん」
[吹雪]:「サンキュー、舞羽」
[舞羽]:「魔法は、何でもいいの?」
[吹雪]:「ああ、舞羽の好きなので頼む」
[舞羽]:「うん、分かった。じゃあ――風の精よ、我に力を与えたまえ、ウィンドカッター!」
風か、ならここは――。
[吹雪]:「我を守る強靱なる壁よ、我の前に現れん、リフレクト!」
透明の壁が、風の刃から俺の身を守る。攻撃が終わると、透明の破片が一面に散らばる。
[吹雪]:「よし、舞羽。一旦いいよ」
[舞羽]:「はあ……はあ……」
舞羽は息を荒げながらこっちに戻ってきた。
[吹雪]:「悪い、疲れさせちゃったか?」
[舞羽]:「ううん、大丈夫。私は明日出ないし、役に立ててるならそれで」
[吹雪]:「そこで待ってな。今ジュース買ってくるから」
[舞羽]:「え、いいの?」
[吹雪]:「付き合ってくれたお礼だ、気にするな」
俺は小走りで自販機に向かった。
……………………。
[吹雪]:「ほれ」
[舞羽]:「ありがとう」
二人一緒に喉を鳴らして飲む。
[舞羽]:「はあ、生き返るね」
[吹雪]:「だな」
[舞羽]:「かなり形になってきてるんじゃない? 吹雪くん」
[吹雪]:「そうか? まあ、舞羽に手伝ってもらったからな」
[舞羽]:「うん、この分なら優勝も夢じゃないよ」
[吹雪]:「はは、まあ全力は出し切るよ」
[舞羽]:「繭さんも、優勝候補筆頭だって嬉しそうに言ってたし」
[吹雪]:「筆頭ね、あのチビ介、話を勝手に盛ってやがるな」
[舞羽]:「それだけ期待してるってことだと思うよ」
[吹雪]:「ちょっとプレッシャーだな。――そう言えば、翔は結局明日出るのか?」
[舞羽]:「うん、そうみたい。昨日の休み時間にせっせとエントリー表書いてたから」
[吹雪]:「魔法を使えもしないのにか」
無謀にも程がある……。
[舞羽]:「気合いはすごく乗ってるみたいだったけど」
[吹雪]:「気合いだけじゃどうにもならないだろう。気合い玉でも打てるんなら話は別だが」
[舞羽]:「できないもんね、翔くん」
一回戦敗退筆頭だな、こりゃあ……。
[聖奈美]:「あら、そこにいるのは大久保吹雪ね」
この声は……。振り返った先にいたのはやっぱりあいつだった。




