表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソプラノ【完全版】  作者: バゴ・デュークオブマーマレード
34/300

スピリトーゾ 【前日準備といちゃもんと……】


11月27日(金曜日)


 [場所:廊下]


[繭子]:「あ、いたいた、ふーちゃーん。おーい」

[祐喜]:「ん? ねえ吹雪。繭子先生が呼んでるみたいだよ」

[繭子]:「おーい」

この近さなのに手を振る必要性はあるんだろうか。マユ姉はこっちに走り寄ってきた。

[繭子]:「ふーちゃんだ。元気ー?」

[吹雪]:「いや、朝も一緒に登校したし、第一一緒に住んでるんだから分かるだろ」

[繭子]:「むう、そういう返答を女の子は求めてるわけじゃないよー? もっと心に響くような返事をしなくちゃさあ」

[吹雪]:「どんなのだよ」

[繭子]:「例えば――ついさっきまではあんまり元気がなかったけど、お前の姿が見えたら、一気に元気が沸き上がってきたよ。見たいなー?」

[吹雪]:「何処のバカップルだよ、それ」

[繭子]:「いいのー? そんな風に否定してー? 全世界のカップルを敵に回しちゃうわよー?」

[吹雪]:「あんたは姉だろ? 姉にそんなこと言えるわけないだろ普通に考えて」

[繭子]:「――からの」

[吹雪]:「ねぇよ」

[繭子]:「もう、ふーちゃん冷たいなー。やっぱり吹雪だから?」

[吹雪]:「祐喜、行こうぜ」

[繭子]:「あーん、待ってプリーズ!」

服の裾をぐいっと引っ張られた。

[繭子]:「先生を無視するなんてひどいんじゃないのー?」

[吹雪]:「先生が生徒をからかっていいのかよ?」

[繭子]:「うぐ……からかってないもん。指導だもん」

[吹雪]:「生徒の名前を馬鹿にするのが指導だと?」

[繭子]:「馬鹿になんてしてないよー。遊んだだけだよー」

[吹雪]:「それが馬鹿にするって言うんだよ、馬鹿もの」

[繭子]:「先生に向かって馬鹿って言った? 先生に言いつけるよ」

[吹雪]:「あんたが先生だろうが」

[繭子]:「ああ、そうだったね」

話が前に進まない……。

[繭子]:「で? 何の話だったっけ?」

[吹雪]:「俺は呼んでねぇよ。つか忘れるな、その件は昨日聞いた」

[繭子]:「昼間からトリプル突っ込み、日に日に腕を上げていくね、ふーちゃんは」

[吹雪]:「マジで、用件あるなら言ってくれよ。祐喜もいるんだからよ」

[繭子]:「あ、ヨッシー。元気―?」

[祐喜]:「はい、出席の時に言った気がしますけど」

[繭子]:「うん、生徒が元気だと、ワタシも元気になる。これが、元気の連鎖ってものなのかしら」

[吹雪]:「……そんな世間話をしに来たのかよ」

[繭子]:「ううん」

[吹雪]:「……そろそろ切れちゃうぜ? 俺も」

[繭子]:「あーん、待って待ってー。プリーズウェイト!」

[吹雪]:「ならさっと言え、さっと」

[繭子]:「うんとね……そう、これこれ」

マユ姉は胸ポケットから一枚の封筒を取り出した。

[繭子]:「これを、フェルに渡して欲しいの。ワタシ、これから職員ミーティングがあるからさあ」

[吹雪]:「話す時間があったなら渡せたんじゃないのか」

[繭子]:「あはは、そうかもね」

笑ってごまかされても困るよな。

[吹雪]:「もう時間ないからさー。ねえ、お願い」

手を合わせて首を傾げられる。

[繭子]:「お礼は今度するからさー」

[吹雪]:「今までしてもらった覚えないんだけども?」

[繭子]:「じゃあ、お給料入ったら何か買ってあげるわー。ふーちゃんの好きなもの。それならいいでしょー?」

[吹雪]:「別にそこまでしてもらわなくてもいいよ」

仕方ないな。

[吹雪]:「早く行きな。遅れちゃうだろ」

[繭子]:「行ってくれるの? ありがとーふーちゃん。持つべきものはマーベラスブラザーだね」

[吹雪]:「ミーティング中に寝るなよ」

[繭子]:「うん、頑張って起きまーす」

[吹雪]:「起きてるだけじゃなくてちゃんと話を聞いてろよ」

[繭子]:「分かってるよー、これでも教師だもーん」

ふらふらーっと、マユ姉は職員室に戻っていった。

[吹雪]:「さて、ごめんな祐喜」

[祐喜]:「持っていかないといけないのかい?」

[吹雪]:「ああ、これをな」

預かった封筒を見せる。

[吹雪]:「昼食を早く済ませて行かねぇと」

[祐喜]:「そっか、じゃあ少し急ごうか」

[吹雪]:「ああ、悪い」

[祐喜]:「いいよ、これくらい」

俺たちは早足で食堂に向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ