カランド 【癒しの喫茶店・バーバロ】 3
[繭子]:「あ、そうだ、ふーちゃん」
[吹雪]:「何だよ?」
[繭子]:「何だっけ?」
[吹雪]:「知るかよ俺が!」
思い出したからそうだって言ったんじゃないのかよ。
[繭子]:「ちょっと待って、今思い出すから、うーんと」
……待つことしばし。
[繭子]:「あ、そうだ!」
[吹雪]:「で、何だ?」
[繭子]:「……えっと」
[吹雪]:「しっかりしろ、同じ件でお茶を濁すな」
[繭子]:「そうだそうだ、今度こそ思い出したよ」
しっかりしてくれよ……。
[繭子]:「ふーちゃん、マジックコロシアム出るんだってね?」
[吹雪]:「あ、誰から聞いたんだ?」
[繭子]:「翔くーん。校内で言い回ってたのが聞こえてきたのー」
アイツ、別に教えてもいいが多分話を盛ってしゃべり散らしてるに違いない。
[繭子]:「出ないって言ってたのに、何でまた急に出る気になったのー?」
[吹雪]:「まあ、ちょっとな」
[繭子]:「ふーん。そっか、出るのであれば、優勝目指して頑張ってね? クラスで応援してあげるから」
[吹雪]:「そうか? でも、あんまり激しいのはやめてくれよ」
恥ずかしさを覚えるようなのは勘弁願いたい。
[繭子]:「分かった。情熱的なのにしてあげるねー」
[吹雪]:「分かってないだろ、絶対に」
[繭子]:「にひひ。でもそっかーふーちゃんが出場かー。何か一気に楽しくなりそうな予感がしてきたわー」
[吹雪]:「日野と同じようなことを言うんだな、マユ姉は」
[繭子]:「愛海ちゃんとー? そうなんだ、でも、普通の人はそう思うものじゃないの?」
[吹雪]:「俺に聞かれても分からんよ」
[繭子]:「だってー、何て言ったって魔法の実技1位でしょー? ふーちゃんは。その人が出るってなれば、イヤでも期待は高まるよー」
[吹雪]:「そんなもんかね?」
[繭子]:「そんなもんだよー。えへへー、さすがワタシの弟だね」
[吹雪]:「……」
[繭子]:「ど、どうしてそこで無言ー!?」
[吹雪]:「まあ、ほどほどにやるよ」
[繭子]:「……無理はしなくていいからね? 一応言っておくけど」
[吹雪]:「分かってる」
[舞羽]:「――でも、本当に吹雪くんには注目が集まってるみたいだよ? 愛海が言ってた」
舞羽が料理を持ってこちらにやってきた。
[舞羽]:「お待たせしました。ミートスパゲティとムニエルセットです」
[繭子]:「わーい、おいしそう」
[吹雪]:「日野が言ってたのか?」
[舞羽]:「うん、ハルモニア学園最大のイベントになるかもって楽しそうに言ってた」
[吹雪]:「あいつも翔と同じようなこと……」
まああいつらは性別は違えど、似たような性格をしてるからな。
[舞羽]:「実を言うと、私も少し期待しちゃってたり……」
[吹雪]:「おいおい、お前もかよ」
[舞羽]:「だって、吹雪くん実力あるのに全然出ようとしないし、もったいないなーって思ってたの。無理強いはしたくないから言わなかったけどね」
[吹雪]:「ああいうのは見てナンボだろう」
[舞羽]:「ええ? そうなの?」
[吹雪]:「俺の中ではそういう感じなんだけどな」
観戦するからこそ、コロシアムというのは最大限に楽しいものだと思う。自分が出るのは少々気が退ける。それに……まあ、これだけで理由としては十分だろう。




