モルト 【突然の宣戦布告!?】 5
[聖奈美]:「い、言っておくけどね」
[吹雪]:「何だよ?」
[聖奈美]:「あたしはアホじゃないわ。テストだって、ずっといい点数をキープしてるんだから。実技以外は、あなたよりもずっといい点数を取ってるんだから。全体順位だって、あんたよりもずーっと上なんだから」
[吹雪]:「だから何だって言うんだよ? 俺に自分の成績を自慢しに来たのか、お前は」
[聖奈美]:「分からないの? あんたは?」
[吹雪]:「何が?」
[聖奈美]:「杠の法則よ」
[吹雪]:「何じゃそりゃ!?」
[聖奈美]:「杠聖奈美=頭がいい=テストでいい点を取るのは当たり前=負けるわけがない=負けることは許されない=あたしが負けたというのなら、そいつはインチキを使ってる――ってことよ」
[吹雪]:「ただのやっかみじゃねぇかよ! アホ!」
[聖奈美]:「キー! あんた、またアホって言ったわね!?」
[吹雪]:「言われるようなことしてるからだろ」
[聖奈美]:「一度ならず二度までも、こんな屈辱味わったのは生まれて初めてだわ」
[吹雪]:「お前が勝手に来たんじゃねぇかよ……」
[聖奈美]:「うるさい、とにかく、あたしは納得できないの!」
[吹雪]:「お前になんて納得してもらわなくても結構だ」
[聖奈美]:「してもらわないと困るの。というかしなさいよ、あたしを唸らせて見なさいよ」
[吹雪]:「何で上から目線なんだよお前は! 仮にも負けたのはお前なんだぞ」
[聖奈美]:「あたしは負けてない。まだ決まってないわ」
[吹雪]:「決まってるだろ! 掲示板見ただろ!」
[聖奈美]:「あたしが決まってないって言ったら決まってないの。そう決まってるの」
何ていうエゴなんだ……本当にコイツ、風紀の鬼なのか? やってること無茶苦茶だぞ。
[聖奈美]:「大体何よ、その吹雪って名前は。氷系の魔法を得意とするあたしへの挑戦状?」
[吹雪]:「名前は関係ないだろ。俺の意思でこの名前にしたんじゃないんだよ」
変わってる名前だとはよく言われるが、今問題はそこじゃない。
[聖奈美]:「あなた、気に入らないわ」
[吹雪]:「俺の台詞だ! それは。ホントに何なんだ? お前は。俺に喧嘩売りに来たのか?」
[聖奈美]:「だから言ってるでしょ? 納得させて欲しいの」
[吹雪]:「それが人にものを頼む態度かよ?」
[聖奈美]:「見せてくれてもいいわよ?」
[吹雪]:「何も変わってねぇじゃねぇかよ!」
[聖奈美]:「とにかく見せてほしいの! それまであたしは、あなたが実技で1位だって認めないからね」
[吹雪]:「だから、お前に何て認めてもらわなくても……」
[聖奈美]:「逃げるの? あたしに怖気づいて、尻尾巻いて逃げるの?」
何なんだこの状況は……どうして俺が不利な状況に追い込まれているんだ。
[聖奈美]:「その程度の男なの? あなたは」
[吹雪]:「……ち、じゃあどうすりゃいいんだよ」
[聖奈美]:「ふふん、簡単なことよ。マジックコロシアムに出てちょうだい。それで、決勝の舞台であたしと戦って、見事あたしに勝てたならば、認めてやってもいいわ」
やってもいいって……俺が言いたいよ、その台詞。
[聖奈美]:「実技でそこそこの成績をキープしているようだし、まさか決勝までこれないということはないでしょう? あたしが直々に、あなたの力を試してあげるわ」
[吹雪]:「お前が決勝まで上がってこれるって保障もないだろう」
[聖奈美]:「何ですって!? あなた、去年のマジックコロシアムを見てなかったの?」
[吹雪]:「見てたけど、それがどうしたっていうんだよ」
[聖奈美]:「あたし、去年1年生だけど、優勝したのよ。自分の実力を学園中に知らしめたのよ。それを知らないっていうの?」
[吹雪]:「そうだったのか……」
[聖奈美]:「くうう……何よそのどうでもよさそうな反応は」
確かにすごいとは思ってるけど、コイツが言うとどうもすごいと思えなくなる。




