モルト 【突然の宣戦布告!?】 3
[繭子]:「――というわけで、みんなよく頑張ったね。一先ずはお疲れ様~」
あれから翔は机に突っ伏してぴくりとも動かなくなった。どうやらビリということが結構ショックだったらしいな。
[繭子]:「特にふーちゃん、実技で1位はとってもすごいです。おねーちゃんは感動しました、また次も、1位狙って頑張ってね」
[吹雪]:「はいはい」
[繭子]:「あーちょっと~、口調が荒っぽいよ~? ふーちゃん」
[吹雪]:「今は、その呼び方はやめてください、先生」
[繭子]:「ぐすん……繭子悲しい……」
どうせウソ泣きだろ。
[繭子]:「えっと、後は……そうだ。大半の人は済ませたとは思うけどー、マジックコロシアムの締め切りは今日の夕方までだから、出ようか考えてる人は急いで生徒会まで行ってね~? それと、ピアニストとハーモニクサーの発表も、絶対に忘れないように~。いいですか~?」
[クラスメイト]:「はーい」
[繭子]:「はい、じゃあ朝のホームルームはこれで終わりー、みんなまた授業でね~、ばいばーい」
チビ介はトットコ走って教室を出て行った。
[愛海]:「おめでとう、ふーちゃん」
[吹雪]:「からかうなよな、日野」
[愛海]:「いいじゃなーい、愛されてる証拠じゃないの?」
[吹雪]:「学園では公私混同はしてほしくないんだよ」
学園に着いたら、あくまであっちは先生、こっちは生徒。
けじめはつけないとダメだろう。
[愛海]:「そんなこと言ったって、もうみんな分かっちゃってるわよ? 大久保くんと繭子先生の関係のことは」
[吹雪]:「まあ、そりゃそうだろうな」
あんだけ連呼されてれば、誰だって分かるだろう。
[愛海]:「今更気にしてもしょうがないんじゃないの?」
[吹雪]:「そうかもしれないけどよ……」
[愛海]:「それにかわいいしさ、ふーちゃんって呼び方」
[吹雪]:「やめんか、それは」
[愛海]:「吹雪っていう勇ましい名前を完璧に打ち壊す柔らかい呼び方、よく考えたものだわ、うん」
[吹雪]:「こっちは結構恥ずかしいんだぞ。しかもみんながいる前であんな呼び方されて……赤っ恥じゃねぇかよ」
[愛海]:「大丈夫よ、もうみんな分かってることだから」
[吹雪]:「何か納得いかねぇな、それは……」
[愛海]:「仲がいいってステキじゃない? ねえ舞羽」
[舞羽]:「あ、うん。そうだね」
斜め前の舞羽がこっちを振り向く。
[舞羽]:「吹雪くんと繭さんは、見ていて羨ましいよ」
[吹雪]:「ホントかよ?」
[舞羽]:「うん、今時珍しいと思うよ? あんなに仲がいいのは」
一方通行の気もするんだけどな、俺としては……。
[舞羽]:「私は、一人っ子だから分からないけど、繭さんみたいなお姉ちゃんなら欲しいと思うな」
[吹雪]:「あげるぞ? よかったら」
[舞羽]:「え、ええ? それは遠慮するよ」
[吹雪]:「何だよ、ウソかよ、舞羽」
[舞羽]:「そ、そうじゃなくて。いたらいいなってことで、実際にはもらえないよ……」
[吹雪]:「冗談に決まってるだろ? 本気にするなよ」
[舞羽]:「もう、イジワル~……」
――そんなゆったりとした会話をしている時だった。




