アンダンテ 【吹雪の日常】 15
[吹雪]:「ま、とりあえず、正解したから入っていいわよー」
俺たちはようやく中に入れてもらった。中にはまだ誰もいなかった。
[舞羽]:「愛海、一人だったの?」
[愛海]:「うん、空けた瞬間、冬を彷彿とさせるとても肌寒い風が私を包み込み、全身をブルブル震えさせながら待ってたわ」
[吹雪]:「いや、ストーブついてんだろこの部屋」
[愛海]:「う……」
部屋は十分暖かかった。
[吹雪]:「話を盛ろうとするな」
[愛海]:「……えへ♪」
[舞羽]:「かわいく言ってもダメだよ、愛海」
[愛海]:「お茶目よ、お茶目。笑って流してよ」
[舞羽]:「もう」
[吹雪]:「とりあえず、だ。3人になったし、あれ、やり始めよう」
俺たちは部室の奥の、開発中の品を持ってくる。
――魔法研究部。俺たちが所属する部活だ。その名のとおり、魔法を研究する部活だ。歴史、実践、魔法のアレンジなど、魔法に関することを色んな視点から見て学び、魔法に親しむのがこの部活の目的だ。実は俺が部長、舞羽は副部長だ。あまり人員は多くないが、みんなそれぞれ楽しく活動できているようだから問題はない。翔も一応この部活所属なんだが、魔法が得意ではない故、あまり足しげくここに来ることはない。まあ、来てもしゃべってるだけだから、居ても居なくてもあまり問題はない。
まあ、そんなことよりだ。
[舞羽]:「もう少しで完成するね、吹雪くん」
[吹雪]:「そうだな、頑張ったからな」
俺たちが作っていたのはマジックプラネタリウムだ。魔法を主な動力源として動かす星を見る装置だ。普通に作ったんじゃおもしろくないってことで、魔法を軸にして作っていたんだ。まずは動力となる魔法ブースターを中に仕込み、周りをピンホールの形に模っていく。外側が出来たら、今度は内側に仕込みを入れていく。ここがかなりの難問だ。投影フィルムを貼り付け星の構造を作っていくわけなんだが、何か一工夫あるものにしたいという意見が満場一致で決まっているんだ。で、決まったはいいのだが、その先はノープランだったというわけだ。
[吹雪]:「でも、ここからどうするよ?」
[舞羽]:「うーん、そうだね。このままじゃあ、在り来たりだもんね」
[愛海]:「シンプル・イズ・ベスト! じゃダメなの?」
[吹雪]:「悪くはないがな……ってか、最初に一工夫入れようって言ったのは日野だったじゃねぇかよ」
[愛海]:「あり? そうだったかしら?」
[吹雪]:「言ってたよな?」
[舞羽]:「うん、私たち魔法研究部の実力を学園に知らしめてやりましょーって確かに言ってた」
[愛海]:「……そう言われると、そうだったかしら?」
[吹雪]:「忘れんなよ、言い出しっぺだろ? 何か案はないのか?」
[愛海]:「そうねー……誘惑系の魔法を練り込んでみる?」
[吹雪]:「却下だ。学園の生徒をおかしくするつもりか?」
[愛海]:「私の得意分野なのに~」
[吹雪]:「だから困るんだよ、そんなもんを使われると」
日野の誘惑系魔法はかなりの威力を誇ってるんだ。この前噂で聞いたんだが、男子学生が陶酔して腰砕けになっていたらしい。何を見せられたのかは知らんが、とりあえず、気持ち良さそうな顔をしていたらしい。




